包みに籠めた気持ち


1: ◆K5gei8GTyk 2017/08/06(日) 23:36:32.07 ID:ao4zzOCX0

一次創作です。
短いかも。


2: ◆K5gei8GTyk 2017/08/06(日) 23:37:53.29 ID:ao4zzOCX0

あたしは彼のことが好きだ。

幼馴染で、家が隣で、元気だけが取り柄で、誰に対しても分け隔てなく優しくて、世界一かっこいい彼のことが。

だけど向こうはあたしのことをただの仲のいいお隣さんとしか捉えていないみたいで、ふざけあって笑うことはあっても、喧嘩していがみ合うことはあっても、親友の領域を飛び出すことはないみたい。

怖いくらい居心地のいいはずのこの距離感が、時々とても居づらくなる。


3: ◆K5gei8GTyk 2017/08/06(日) 23:39:13.68 ID:ao4zzOCX0

ある日、近い内に彼のお母さんが社員旅行だとかで一晩家を空けるらしいことを偶然耳にしたことが、すべての始まりだった。


またとないチャンスだと思った。
なにって、彼にお弁当を作ってあげられることが。


小さい頃のこととはいえ、一緒にお風呂にも入った仲だし、漫画の趣味も聴く音楽の種類もお互いわかりきった上に合わないあたしに、いまになってできることは料理ぐらいだった。

簡単な料理くらいしかできないあたしだけど、ここで胃袋をがっちりと掴むことができたら、二人の距離は縮まるだろうか。
淡い期待に胸を膨らませながら、あたしはママに頼み込んで料理の特訓を始めた。

いざ、お弁当大作戦。


4: ◆K5gei8GTyk 2017/08/06(日) 23:41:37.04 ID:ao4zzOCX0

「おはよ、洋介」

「おお、あかり」

特に約束するでもなく朝は一緒に登校する。当たり前の日常が嬉しい。
夏休み前だからか、朝早い時間でも日差しがきつい。
それでも隣にはいつものようにのんびりと歩く彼がいるから、どうだってよかった。

「ね、洋介、お昼どうするか決めてる?」

胸の高鳴りを抑えて尋ねた。色々方法も考えたけど、やっぱり正面突破がいい。逃げも隠れもしちゃいけない。

「あーそっか、弁当ないんだった。学食かコンビニかな」


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