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おかしくねーしSSまとめ

1 : ◆yufVJNsZ3s - 2018/04/26 19:59:58.44 zmYsrQkn0 1/17


うだるような暑さが続いていた。天気予報によれば、先週から途切れることなく今日で十日目。四国の方ではとうとう渇水による節水令が出たというし、随分とまぁ自然現象も頑張るものだ。
ここ一週間ほど深海棲艦の出没情報は出ていなかった。あちらさんもこの酷暑には随分と堪えているのかもしれない。勿論単なる偶然の可能性は大いにあったが、これ幸いとばかりに艦娘たちは避暑地――海中へ飛び込んでいる。

艤装が灼熱していて背負えない、持てない、使えない。果ては膨張による誤作動の可能性がある。そう力説してくれたのは遊びたい盛りの駆逐艦たち。ご丁寧に連名で署名まで頂いた。

そんなわけがあるか。

入れ知恵をしたのは川内か、北上か。大穴で龍驤か最上あたりも候補に挙がる。まぁどうでもいいことだった。艦娘が動けば提督である俺の仕事も増える。汗だくで書類と向き合うほど、俺は仕事が好きではない。
嘘にはいい嘘と悪い嘘がある。俺は時折ひどく鈍感なきらいがあるらしいので、駆逐艦の嘘でさえ気づかないのだ。これはまいった。

元スレ
曙「百年早い」

2 : ◆yufVJNsZ3s - 2018/04/26 20:00:57.24 zmYsrQkn0 2/17


窓の外はすぐに海。全開にしているものの、目視できる木のそよぎほどには風が入ってくるように感じられなかった。首を振る扇風機も、こう室温が生ぬるくては、気休めにしかならない。
消波ブロックの上では麦藁帽を被った人物がのんびり釣竿から糸を垂らしている。顔はひさしに隠れて見えないが、シャツの背に「瑞雲」と書かれているので誰何は容易だ。

「……散歩にでも行くか」

部屋の中に籠っているよりかは、そちらのほうがいくぶんか健康的に思えた。
サンダルをつっかけ開襟をいつもよりボタン一つ分外す。帽子は目深にかぶって、冷蔵庫からミネラルウォーターを確保。

「ふぅ」

玄関の庇しが作る陰から一歩踏み出そうものなら、太陽が熱く俺を歓迎してくれる。そんなものはいらない。たまにはお前にだって休みをくれてやるというのに、強情を張るんじゃない。
悪態を内心でつきながら、陽炎の中に身を投じた。アスファルトは輻射熱が地獄のようだ。それでも海沿いに建っている我が鎮首府は、遮るものがなければ最高の海風を届けてくれる。