【モバマス】アナスタシア「Сириус」【後半】

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150: ◆Tw7kfjMAJk 2017/04/19(水) 21:02:28.31 ID:nhXCd10e0



――【薄荷】

151: ◆Tw7kfjMAJk 2017/04/19(水) 21:02:58.24 ID:nhXCd10e0


優しい旋律。
どこか儚げで、温かい。
そんなイントロからこの曲は始まる。

ステージライトが加蓮を包むように照らして、その表情がわかる。
儚げで、今にも消えてしまいそうで――そんな印象とともに、強く、深い想いを感じる。
そしてそのまま、歌い始める。

薄荷。

昔の自分。弱虫だった自分。そんな自分を助けてくれた人。そんな大切な人と、いつまでも一緒にいたい。
この会場にいる者で加蓮の過去を知る者は少ない。凛と奈緒、それからPくらいのものだろう。
加蓮の過去、加蓮の想い......それを知っている者は少ない。

だが、その歌は――願うように、祈るようにして歌われるその歌は、見る者の、聞く者の胸を打つ。

――Pさん、Pさん、Pさん。

加蓮は思う。今までのこと。Pとのこと。好きな人のこと。大切な人のことを。

あなたと会えたから、今の私がある。
あなたがいたから、今の私がいる。
あなたと一緒にいたい。
あなたと、一緒に......。

会場にいるただ一人に向けての歌。

あなたと一緒にいたい。

その願いの歌。その祈りの歌。

「......本当、自分勝手だね」

観客席、凛がつぶやく。

「こんな大きなライブバトルを開催しておいて......一人のためだけに、歌うなんて」

言って、微笑む。

「でも、だからこそ――」

聞いているだけでわかる。痛いほどに伝わってくる。
その願いが、その想いが、強く強く胸を打つ。
自分勝手な歌だ。これだけの人に見られていながら、一人だけのために歌っている。
たった一人のためだけに......その一人にさえ届けばいい。その一人にだけは、届いてほしい。
感情が溢れている。会場いっぱいに、その想いが溢れだす。

自分に向けられた歌ではない。

だが、それがどうしたと言うのだろう。

自分に向けられていなかったとしても、これだけの想いが込められた歌を胸に響かせられて......それで心が動かされないわけがない。
この想いに。この願いに。儚く、切なく、しかしそれでも決して消えることない、深い想い。

観客席から、誰かの泣いている声が聞こえる。
油断すると、自分も泣いてしまいそうになってしまう。
感情が、溢れてしまいそうになってしまう。

たった一人の少女の歌。たった一人に向けられた歌。

一途な歌。一途な想い。

会場がその想いに満たされていく。

加蓮の想いに、満たされていく。

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