317 : ◆LKuWwCMpeE - 2011/01/19 22:32:18.92 wF5uQZlDO 153/455


「時間だ」

『ぶち殺しゃいいンだろォ?』

「早まるな。クロだった場合だ」

暗闇の中、男の声が響く。金髪にサングラス──土御門は感情のない声で内容を電話先に伝える。電話先──一方通行もつまらなそうに早急に済ませたいようだ。

──俺もそうしたいんだにゃー。

『グループ』としての土御門。彼は仕事を迅速に、そして確実にこなす。
今回の仕事、というのも学園都市に潜り込んだ「外」からの「脅威」と言う事は聞き及んだ。

──……脅威、ねぇ。

依頼元が何を思ってそういうのかは知らないが、恐らく学園都市の能力やら科学やらを盗みに来た輩であろう。そしてその輩が。

動いた──。

「クロだ」

「ぐあああぁぁぁっっ!!」

告げた瞬間、輩の身体に無数の穴が空けられ、悲鳴と共に命の灯が消えた。

「戻るぞ」

死体もそのままに、土御門は無表情のまま踵を返す。放っておいてもすぐに回収される手筈になっている。

──早目に終わってよかったにゃー。そう言えば、カミやんが言ってた知人って誰だったんだろうな?

もう土御門の思考には『グループ』の事はない。特に感慨もなく、土御門は「お疲れさん」と戻って行った。

318 : ◆LKuWwCMpeE - 2011/01/19 22:33:23.46 wF5uQZlDO 154/455


日も完全に落ちてから、大分時間が経ったのだろうか。ディスプレイを見つめ、たまにキーボードを叩き、またディスプレイを見つめる。その作業をずっと繰り返している。

「ふぅ……」

疲れた目元を揉みほぐし、木山は背もたれにもたれ掛かった。

──コーヒーでも飲もう。

いつもなら夕食はとっくに食べ終わっている時間。しかしお腹は空く気配は無い。小休憩を取る為、その場に立ち上がるとドアが開いた。

「少しは休んだらどうだい?」

コンビニか何処かで買ってきたのであろうか、小さめのビニール袋を持った冥土帰しが入ってきた。中にはクラブハウスサンドとコーヒーの缶が入っていて、木山にそれを渡すと部屋の窓側に立った。

「…………どうも」

礼を言い、コーヒーの缶のプルタブを開ける。ブラックのいい匂いが漂い、木山はそれに口をつけた。

「何か見つかりそうかい?」

窓の外を眺めながら、冥土帰しは口を開いた。

「今のところは」

何も。と言う言葉を無言で告げる。

現在分かっている事は、レベル5級の能力を観測した事と、その時に上条の頭に無数の人間の「声」が響いたと言う事。

「ふむ、声、ね」

そこで冥土帰しが振り返った。その声の事については冥土帰しに既に伝えており、彼も思案顔をして治す手立てがないか頭の中で模索しているようだ。

「その声について、内容とか何かが分かればよかったんだが」

木山はそう呟くが、それは仕方のない事だ。
今は恐らく寝ているであろう上条。彼に再びあの状況を再現してもらうなどという方法は取れない。

それで何かが掴めるとしても、荒療治過ぎる。それに再びあの声が聞こえるとも限らないし、また上条に異変が起きうる事を避けたかった。