2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:31:38.71 ID:FfaCcpyw0
ボッチでいるからには周りに不快感を与えてはならないと思う。ただ吃ってしまうしゃべり方はどうしようもならないし、友達のいない雰囲気は消すことが出来ない。だからせめて清潔であろうと思った。自分は長風呂であるし、綺麗になっていくのは好きだ。

引用元:

 

posted with
プレックス (2014-07-12)
売り上げランキング: 87,728
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:32:13.00 ID:FfaCcpyw0
「フヒ…それに湿っているとキノコも育つしな…」

4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:32:52.62 ID:FfaCcpyw0
まずは洗面器でお湯をくみ体にかける。すると自分の長い髪が背中にくっついてなんだかくすぐったい。髪が長いと大変だから切りたいけど、美容院などというコミュ力必須の場所に行く勇気はない。一回行ったのだけど店員の言われるがままになってしまい逃げるように帰ったのだ。それ以来怖くて行けない。

5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:33:20.80 ID:FfaCcpyw0
石鹸を使い髪を洗う。自分には石鹸が一番似合っている。分相応というかそれ以上お洒落なものを使うのは申し訳ないというか…そういえば幸子ちゃんの髪はいい匂いがする。きっと椿とかそういう自分とは別世界のものを使っているんだろう。憧れないといえば嘘だけど、自分が使っている石鹸の香りが好きだ。

6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:33:52.21 ID:FfaCcpyw0
やっぱり髪を切りたい。洗い終わるまで一苦労だ。親友が元美容師のアイドルをスカウトしてくれれば美容院に行かなくても髪が切れるな。そんな都合のいい話はあまりないんだと思うけど。風呂に入っている少しの時間だけはそんな空想を許されいる気がするな。洗面器の湯を被ると現実に戻ることになる。

7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:34:44.85 ID:FfaCcpyw0
また石鹸を泡立て今度は体を洗う。首や脇、そんなに成長していない胸を通りすぎ、お腹に流れ、ヘソに入る。足を付け根からふくらはぎまでマッサージするように何往復かする。次に背中を一直線に流れる。全身泡だらけになると少しだけ気持ちよさを感じる。とても幸せ。
「な、なんだか変態みたいだな…」

8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:35:12.58 ID:FfaCcpyw0
湯を被り現実に戻る。綺麗になったのでいよいよ湯船に入る。お湯は少し熱めにしてある。足がピリピリ痺れるような感じがして心地いい。一気に湯船に浸かると今日一日の疲れがどこからともなく現れる。そのまま眠くなってしまうのをぐっと堪え足をバタバタさせる。嫌なことも良いこともみんな溶けていく。

9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:35:55.44 ID:FfaCcpyw0
P『なあ輝子』
輝子『フヒッ…いきなりどうしたんだ親友?』
P『食レポとか興味ないか?』
輝子『…ボッチに食事の感想を求めるとかイジメか?』
P『オファーが入っているんだ。142`sで商店街を食べ歩くってやつが』
輝子『小梅ちゃんと幸子ちゃんと一緒なら…』
P『頼んだぞ』

10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:36:53.16 ID:FfaCcpyw0
ここの所自分を喋らせようとする仕事が増えてきた。私はライブがやれてキノコについて語れればいいと思っていたんだけど。どうやら大人の事情とは簡単なものではないらしい。こんなボッチを見てみんな笑っているんだろうか?馬鹿にされているじゃないだろうか?時々すごく不安になる時がある。

11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:37:22.50 ID:FfaCcpyw0
きっとアイドルになるってことはそういうことなのかもしれない。シンデレラは半分笑われながら、もう半分は応援されながら舞踏会で踊るのだ。踊り終わった時のことなど誰も分からない。ガラスの靴を落とせる人もいるし、魔法使いに連れられて元の世界に戻る人もいるだろう。まだ私がどっちか分からない。

12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:37:54.17 ID:FfaCcpyw0
出来ればガラスの靴を残せる側であって欲しい。メタルをやっている時の自分も、ただのキノコ好きボッチでいる時の自分も、そんな自分のことを応援してくれるファンのみんなも、そしていつも支えてくれる親友も大好きだ。…うん。自分で思っているだけでも照れるな。やっぱりこういうのは似合わないな。

13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:38:34.82 ID:FfaCcpyw0
でもそれとは反対の気持ちも確かにあるんだ。この気持ちは親友にとっても私にとっても事務所のみんなにとってもよくない気持ち。だからなにがなんでも隠し通さなければならない。アイドルは可能性が生まれただけでもアウトだからな。フヒヒ…誰も知らないところに生えるキノコみたいなものだ。

14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:39:09.23 ID:FfaCcpyw0
飛鳥『輝子っていうんだっけ?』

輝子『フ、フヒ…?』

飛鳥『驚かせるつもりはなかったんだ。少し聞きたいことがあっただけで』

輝子『答えられることなら…答えるぞ…』

飛鳥『君の本質はどっちなんだい?』

輝子『?』

飛鳥『言葉が悪かった。ライブをやっている君と普段の君どっちが本質?』

輝子『どっちかな…?考えたことなかった』

飛鳥『そうかなら簡単だ。君にとってどっちも本質なんだね』

輝子『どっちも本質?』

飛鳥『蕾には花を内包しているように花が咲いた時に蕾は消えてなくならない。蕾を否定したものが花という答えを出す。弁証法だね』

輝子『そうなのか…難しいな…』


15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:39:41.21 ID:FfaCcpyw0
今なら昼間の二宮さんとの会話もなんとなく分かるような気がしてきた。ありたい自分も否定しようとしている自分も同じ自分で、どんなに隠そうとしてもその自分が出てきてしまうんだろう。それはどんな形であれ確実に。だからこういう考えを持っていること自体自分が変わってきているという証明だ。

16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:40:13.95 ID:FfaCcpyw0
お風呂に入っていると余計なことまで考えてしまう。半身浴はとても気持ちいい。でもここで沈みこむ。俯瞰したらクラゲみたいになっているだろう。最近本当に友達が増えてきた。友達といると幸せだ。でもボッチにはボッチの楽しさがある。両方の良いところを取り合わせればいいなって思う。

17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 17:41:03.47 ID:FfaCcpyw0
小梅『輝子ちゃん…』

輝子『…ん、どうした?』

小梅『…DVD借りてきたから…見よう?』

輝子『…怖いやつか?』

小梅『うん』

輝子『…付き合うぞ』

幸子『ボクは付き合いませんからね!』

小梅『えっ…ダメ?』

幸子『うるうるした目で見てもダメです!もう怖いのは懲り懲りですから!』

輝子『…幸子ちゃんダメか?』

幸子『勿論です!』

小梅『Pさん、この映画のシリーズ好きなんだって』

幸子『へえそうなんですか。ちなみに聞きますがどんなあらすじなんですか?』

小梅『…それは見てからのお楽しみ』

輝子『…秘密だな』

幸子『フギャー!見ればいいんでしょ!見れば!』