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プロエス!

1: ◆Kg/mN/l4wC1M 2018/06/12(火) 00:00:09.94 ID:fE378DvDo

「アイドル」。
その言葉の意味は、それを認識する人の数だけ答えがあるのだろう。
偶像と仮面。出会いと成長。道と輝き。そして、夢と願い。
それはきっと、彼女自身にとっても同じこと。
この想いがあるから。それでも、信じたいものがあるから。
無数の線は──。


2: ◆Kg/mN/l4wC1M 2018/06/12(火) 00:02:29.28 ID:fE378DvDo

彼女はステージ脇から、スタッフたちによって最終準備が行われているステージを見つめていた。
そこではポップアップやリフターの動作のチェックや、特殊な機材を用いた音響の微調整が行われていた。
照明のスタッフはステージ上部のライトを見上げ、ステージから客席へと向かう、光の軌跡を確かめた。
今までにない規模でのライブということもあり、たくさんの人々がこのステージに関わっている。
もちろんこのステージを作り上げようとするのはもちろん彼らスタッフだけではない。
彼女たちを応援してくれるひとたちの存在、そしてなにより彼女たち自身が経験したすべてがこのステージにつながっている。

出演者自身の最終確認が終わった後のこの時間、彼女は不思議な居心地の良さを感じていた。
スタッフたちの会話が、モニタに流れるテスト用の映像が、がらんどうとした客席が、あと数時間たらず先の熱と歓声の舞台を予感させ、胸を高鳴らせるのだ。



3: ◆Kg/mN/l4wC1M 2018/06/12(火) 00:03:44.64 ID:fE378DvDo

壁を背にしてしばらくその光景を眺めていたところで、彼女は自身がよく知る存在を見つけた。

「あら、プロデューサー。」

「このみさん、ゲネお疲れ様です。何か問題とかなかったですか?」

「ええ、こっちは大丈夫よ。」

いつからかこうして、どちらが言い出すでもなくゲネ終わりに舞台脇で話をするようになっていた。
とはいえ、たいていこの段階で問題が生じることはあまりなく、いつも何でもない話をするだけであった。

「そうですか。それならよかったです。」

彼はそう答えながら、遅くなってしまって少々きまりがわるい、といったように頬をかいた。
もちろん約束をしていたわけではないのだが、ふたりはそういう関係性でもあった。

「プロデューサーもお疲れさま。もしかして、そっちは何かあったの?」

「照明のスタッフさんと最終の打ち合わせを。……と言っても事項の確認くらいでしたけど。」

そう言いながら彼女の隣で彼は壁に身を預けた。
ふたりの目線の先には、数時間先の光り輝く舞台を予感させる、確かなものが存在した。