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エレファント速報

1: ◆Kg/mN/l4wC1M 2018/01/05(金) 19:03:17.51 ID:dxik6X9do



とある演劇の舞台で起こった事件の、その前日譚。
この人物は今では周囲から「往年の大女優」と。そう呼ばれている。


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2: ◆Kg/mN/l4wC1M 2018/01/05(金) 19:05:14.50 ID:dxik6X9do

ああ、いつからだったかしら。他人を演じるということにこんなにも慣れてしまったのは。
思い返してみれば、いっぱしの会社の事務員だった私がこうして光当たる舞台の上に立っているなんて、人生って面白いものね。
その自分の人生に満足していないわけではないのに。どうして。
どうして、こうも満たされなさを感じてしまうのかしら。

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3: ◆Kg/mN/l4wC1M 2018/01/05(金) 19:06:12.51 ID:dxik6X9do

誰もいない控室はとても暗く、思わずため息が零れた。
手探りで電気のスイッチを探し、付けてやる。

劇場の裏にある、舞台から切り離された場所。
肩にかけた小さな鞄を置いて、着飾ったコートを脱いでいく。

ふう。お洒落をするのも大変ね。こう見えて結構重さもあるから。
ようやく自由になった肩に手を当てながら息を吐いた。

準備中の控室を訪ねてくるものはほとんどいない。
自分で遠ざけたつもりはないけれど、集中の邪魔をしてはいけない、というのがいつからか関係者の間ではよく知られたことになっていた。
まあ、私にとってもあまりむやみにのぞかれたくないものだもの。
むしろ都合がよかったかもしれないわね。


4: ◆Kg/mN/l4wC1M 2018/01/05(金) 19:06:43.92 ID:dxik6X9do

そういうこともあって髪もメイクも、できるだけ自分で。
最後にメイク室で本職の人に仕上げてもらうのが常だった。
だから今日もまたいつもと同じように、舞台に立つための準備をここで。

腰まで長く下していた髪をそっと編んでいく。
舞台で生きるあのアイドルになるために。
ファンデーションで素顔を覆っていく。
光の強い舞台の上でも輝けるように。
声出しだって、もちろん忘れない。
だってこの子は、自分の歌に気持ちを載せて届けることができるんだもの。

自分の想いも一緒に、誰も触れない場所に隠してしまおう。