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森きのこ!

えすえすMode

1: :2014/07/09(水) 17:53:09.27 ID:

VIPに落とした奴の修正だよ

2: :2014/07/09(水) 17:54:03.98 ID:

六月も半ばに入ってエアコンが時々仕事をしだした。
杏もデビューして早二年になる。
仕事はボチボチ。あるいはまぁまぁ、もしくはそこそこ。
ランクで言うならCランク位。知ってる人は知ってる。
外出るときは変装する。

事務所のソファーに寝転がったまま三十分。
視界の端にうつる時計は午前十時を指している。
その下のスケジュール表を見る限りもう少しは他のアイドルが来ない。

「長い休みが欲しい。具体的には一ヶ月くらい」

ふと、思いついたように。自然な調子を装いながら
キーボードを叩くプロデューサーの背中に声をかける。

「あー、そりゃ無理だな」

困った様に笑いながら却下された。
その顔はこっちを見ず、モニターに向かったまま。
でも、声だけで表情まで浮かんでくる。
いつもの表情、いつもの声。

「ちぇー」

とか言って見るけれど。実は別段落ち込んでなんかいなかった。
わかってて言っただけだから。むしろほっとしている。
働きたくない。休みたい。そこそこの頻度で杏が口にする言葉。
半分は、本音だけど。もう半分は言葉にできない。

3: :2014/07/09(水) 17:57:20.30 ID:

「それより、レッスンスタジオに行く準備しとけよー。
今日は定期測定あっただろ?」
「あー」

言われて気分が滅入る。半年に一回やって来る最も嫌いな仕事。
仕事? んー、ちょっと違うか。まぁ、でも。やらなきゃいけない事。

「行きたくない、休みたい」

素直な気持ちを口にして見る。
今度は十割本音。

「ん~、そういわれてもな。今日行かなくても別の日にやることになるぞ?
......先送りにするのはやめておけ」

また困ったように笑いながら、でも真面目な調子で返された。
ずるいんだ。その顔で、そう言われたらもう行くしかなくなる。

「......ん。じゃあ行く、から飴頂戴」
「はいはい」

キーボードを叩く音が止んで、代わりに引き出しの開く音がする。
そんで寝てる杏に寄ってきて口に入れてくれる。
優しい味、甘くてまんまる。

丸くて甘くて優しい。まるでプロデューサーじゃんと、一人で笑うと
プロデューサーは少し目を細めて微笑む。
多分、飴を貰ったから杏が笑ったんだと勘違いしてる顔。

「行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」

今度は普通の笑顔で見送られた。
事務所の外、蒸れた空気が肌に纏わりついて、憂鬱。

「......はぁ~あ」