1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 23:02:43.09 ID:v526sWaco


夕暮れ。公園。ブランコ。

ジャングルジムの影の網目。ベンチに置き去りのランドセル。赤と黒。
水飲み場のそば。濡れた土。砂場に埋まるジュース瓶の王冠。

敷地を示すフェンスの内側。道路側からは覗けない、滑り台の影。

「ねえ......」

ぼくらは。

「キス、しよ?」

ぼくらは。

誰かを好きになるなんてこと、言葉の上ですらよくわからなかったぼくらは。
ただお互い、すぐに近くにいたというだけの関係で。
他の誰よりも近かったという、ただそれだけの理由で。

その気持ちが、他の誰かに対して抱くものと、どう違うのかさえ分からないままに。
それでも真実だと信じて。

好奇心や興味じゃない、ましてや欲望なんかじゃない。
そんなまがいものの感情なんかじゃないと、信じて。

ぼくらは。


2:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/22(日) 23:03:12.57 ID:v526sWaco


「好きだよ」

キスをした。
誰にも見つからないように。
他の誰にもわからないように。

キスをした。

嘘みたいに綺麗な夕焼け。
むせかえるような、雨上がりの草いきれ。

間違っているって、最初から分かっていた。

オレンジの夕闇に包まれた街の中、住宅地の児童公園は人影どころか誰の気配もなくて。
世界からぼくら以外の人が消えたような気がしていた。
世界が、ぼくらを隠してくれているような気がした。守ってくれているような気がした。
錯覚なのかもしれない、そんな祝福を、たしかに肌で感じていた。

こども、だった。