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エレファント速報

1 : 以下、名... - 2018/05/30 15:29:05.28 OsyhJzOS0 1/13

曇天。後ろより光に透かされた灰色の朝。響くのは雨音のみ。

人の往来まだなし。また平素にさえずる鳥の羽音もなし。

雨に塗られたアスファルトとブロック塀が存在の重みを増していた。

水たまり。その水面は雨につつかれ幾重かの波紋に揺られる。

ぱしゃり。時雨が横切った。黄色い洋傘をさしている。

傘生地の裏ごしから時雨に届く雨の響きは弱い。

元スレ
提督「時雨、梅雨、雨、かたつむり」

2 : 以下、名... - 2018/05/30 15:30:26.13 OsyhJzOS0 2/13

傘を畳んでしまってもかまわなかった。

側路にはいかにも梅雨景色らしくアジサイがあった。

時雨は立ち止まる。

小さな花びらの器が並び、ところどころに雨のしずくが溜まっては、線を引き、流れ落ちていく。

しゃがんで観察する。

かたつむりが一匹。あじさいのなかに紛れ引っかかっていた。

3 : 以下、名... - 2018/05/30 15:31:38.68 OsyhJzOS0 3/13

いまにも落っこちてしまいそうだったので、指を添えてバランスをとらせる。

安定。ぐるぐるうずまき模様の殻を背負ってゆっくり進みだす。

ちょんちょんとつついて、かたつむりを何度か萎縮させて遊ぶ。

ひととおり楽しむと、時雨は立ち上がる。

傘を回す。水滴は飛ばない。

歩き出す。


おわり

5 : 以下、名... - 2018/05/30 15:34:58.39 OsyhJzOS0 5/13

朝潮ちゃんは声を聞いた。それは「朝潮ちゃん!」と聞こえた。

後ろを振り向く。誰もいない。上を見上げた。シャンデリア。鏡を覗き見る。朝潮ちゃん。スカートの中に顔を突っ込む。謎の光。

室内には誰もいない。そして、室外は存在しない。なので、誰も朝潮ちゃんを呼んでいなかったと結論付けられる。

関心を失した朝潮ちゃんは、すぐに朝潮ちゃんらしい仕方で寛ぎ始めた。

まさに朝潮ちゃんがいるお部屋という様相を呈してきた頃合い、再び声を聞いた。「朝潮ちゃん!」と変わらずに聞こえた。

朝潮ちゃんは己が幻聴しているのかと疑ったが、思い直した。