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森きのこ!

2: ◆Zg71aiNoxo 2018/03/07(水) 04:01:28.08 ID:4AxK2nik0


私は果てしなく広い海の上にいた。
浮き輪に乗ってぷかぷかと浮かびながら寝ていたらしい。
身体を起こそうとすると、勢いあまって浮き輪から
落ちてしまいそうになり、
慌てて浮き輪にしがみついた。
海の底は見えなかった。
私はそこで気づいた。
広い海に浮かんでいるのは私一人で、周りには
ただ黒い水がうごめいているだけだった。
夜なのか空には月が浮かんでいたが、
月の光は微かに私を照らすのみだった。
それ以上に、空には月以外の星がなく、
世界は漆黒の闇に覆われていた。
私はひどい孤独感に襲われた。
この場から逃げ出したくなったけれど、逃げ場はなかった。
出口のない海の上で、私はただ孤独を受け入れるしかなかった。


そこで突然けたたましい音が鳴った。
四方八方から聞こえるその音はとても不快だった。
けれど、その音を強く認識するにつれて、
目の前に広がる景色はだんだん薄くなっていった。




「ああ、夢か......」

寝ぼけた目を擦りながら、すっと目覚まし時計に手を伸ばした。
さっきまでこの世の終わりを告げるかのような音が響いていた
私の頭に静寂が流れ始めた。

時計の針は七時過ぎを示していた。
本当はこんなに早く起きなくてもいいのだけれど、
昨日の夜に目覚まし時計をこの時間にセットされてしまった。
私は犯人を恨むようにベッドに目をやった。
犯人はそんなことを気にも留めていない様子でこっちを見ていた。

「杏ちゃん、おはよ!」

朝からよくもまあこんなに眩しい笑顔が出せるなあと感心した。
普通はここで負けないぐらいの笑顔を返すのだろうが、
寝起きの私にそんな気力はなかった。
そんな心の内にある申し訳なさを伝えたいというわけではないけれど、
私は軽く苦笑いをした。

「おはよう、きらり」