双葉杏「日本は、義理チョコをやめよう」


2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 12:38:55.76 ID:p6iGZwjEO

オフィスはとうに無人だった。

事務員などは定時で帰るし、定時を過ぎればあとは個々人の裁量で退社できる。

仮にやるべきことが残っていても、その大半は会社に残らないといけない業務ではない。

だから午後九時までわざわざ残業していく社員などは、俺の他に誰もいなかった。

パソコンの電源を落としてから、フロアの電気を順に消していく。非常灯だけが照らす足元は少し頼りなかった。

先ほどまで暖房を効かせた部屋にいたためか、廊下に出ると冷えた外気が肌に刺すようだった。

身体を震わせながら駐車場へと向かう。キーを片手に自分の車の前まで歩くと、もこもこの防寒具に身を包んだ妖精がそこに座り込んでいた。

薄い金色の長い髪。巻き込むようにマフラーを首に巻いている。耳当ては彼女には大きすぎるようで、耳からはみ出して頬までも覆っていた。

光沢のあるジャケットを着込んだ少女は、紛れもなく双葉杏であった。

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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/02/10(土) 12:40:02.84 ID:p6iGZwjEO

「よす」

「おっす。......こんなとこで何してんだ。もう九時だぞ」

「そーそー。プロデューサーいつまで仕事してんのさ。すっかり冷えちゃったよ」

「いや、知らんがな......」

プロデューサーからすれば、帰ろうと駐車場に来たら自分の担当アイドルが座り込んでいたのだ。

もちろんこんなところで待っているよう指示したつもりはないし、そもそも今日は三時間以上前に帰らせたはず。

本来いるはずのない存在に、怪訝そうな表情を浮かべるのも無理はなかった。

「ま、大方家まで送らせようって魂胆か......にしたって三時間は待ちすぎだろ。さっさと帰ればよかったのに」

「だーかーらー、プロデューサーがこんな時間まで仕事してなきゃよかっただけでしょ。人の迷惑も考えてよね」

「はいはい。分かったから乗ってけ」


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