鷺沢文香「階段のお話」


1: ◆TDuorh6/aM 2017/10/18(水) 23:17:34.53 ID:nmXeqSyFO

これはモバマスssです


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2: ◆TDuorh6/aM 2017/10/18(水) 23:18:30.84 ID:nmXeqSyFO


「さて、そろそろ帰るか」

雨の止まない秋の夜。
これから外に出なければいけない事に溜息を吐きながら、傘を片手に立ち上がった。
夜になれば弱まると思ったが、そう上手くはいかず、むしろ昼ごろよりも強まっている気もする。
窓ガラスに吹き付ける雨の音は、暖房の音すら掻き消して存在感を主張していた。

「あ、プロデューサーさん......よろしければ、一緒に......」

ドアを出ようとしたところで、担当アイドルである鷺沢文香にそう声を掛けられた。
特に断る理由も無いだろう。
駅までの短い道のりだが、一緒に話せる相手がいるとより短く感じられる。

「構わないぞ。それじゃお疲れ様でした、ちひろさん」

「お疲れ様でした......」

「お疲れ様です。プロデューサーさん、文香ちゃん」

3: ◆TDuorh6/aM 2017/10/18(水) 23:19:15.12 ID:nmXeqSyFO

部屋から出ても、廊下の奥にあるガラスからは外の風景が見える。
先ほど見たのと同じく、吹き付けられた雨がガラスを埋め尽くしていたが。

「......プロデューサーさん。せっかくですし、階段で降りませんか......?」

「ん、別にいいけど」

エレベーターはきっと今頃フル稼働しているだろう。
よしんば上からこのフロアへ辿り着いても、おそらく人で埋まっている。
ならまぁ、ここは六階だし階段で降りるのも悪くない。
それに最近運動不足気味だし。

「少しでも長く、二人で......」

文香が何かを言っていたが、雨音に掻き消されて聞き取れない。
そのまま廊下を歩き、階段へと繋がるドアを開けた。

暖房が効いていないからか、廊下と比べてかなり冷える。
同じ建物内なのにまるで別世界の様だ。
壁も床も灰色一色なのが余計寒々しい。
今すぐにでも回れ右してエレベーターを使いたくなったが、まぁ数フロア分だし我慢するとしよう。

ギィィ、と音を立ててドアが閉まる。
さっきまでの雨音は、もう聞こえなかった。

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