神谷奈緒「最高記録」


1: ◆TOYOUsnVr. 2017/09/16(土) 01:42:16.66 ID:QcRc5/5m0


あたしたちアイドルは、たくさんの人からの期待に応えなくちゃいけない。

その上で予想を裏切っていかないと、とてもじゃないけど一番になんてなれっこない。

だからこそ、自分の最高記録を更新し続ける必要があるんだ。

中でも、あたしには、今までもらった期待の分だけ応えたい相手がいる。

その応えなきゃいけない相手が期待をかけるに足る存在であり続けるために。




2: ◆TOYOUsnVr. 2017/09/16(土) 01:43:31.25 ID:QcRc5/5m0


◆ ◇ ◆ ◇ ◆



夏休みも明けて、九月も半ば。

日中はまだ少し暑いけれど、朝夕は半袖じゃあ少し肌寒いくらいの、そんな季節。

いつもどおり帰りのホームルームが終わると、クラスメイトたちに手を振り学校を出て、目的地である事務所へと向かうべく、電車に飛び乗った。

スクールバッグからスケジュール帳を取り出して、今日の予定を確認する。

お仕事は取材が一件だけだし、今日はみっちり自主練できそうだ。

自主練のためにプロデューサーさんにレッスンルームを押さえてもらってるはずだから、その部屋番号も聞いとかないと。

ぱたん、とスケジュール帳を閉じて再び鞄に戻し、代わりにケータイを出した。

電源を入れて、メールから今日の取材で聞かれる事柄と、それに対するあたしの回答を確認する。

あたしとしての回答と事務所としての回答の擦り合わせだとか、まだ出しちゃいけない情報だとか、そういうのにも気を使わなくちゃだから、取材は結構疲れる。

でも、ファンのみんなはそれをアイドル神谷奈緒の言葉として受け取るんだから気合を入れないと。

よし、と心の中で呟いてケータイを鞄にしまうと、車内アナウンスが間もなく事務所の最寄駅に到着することを告げた。
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