姫川友紀「その手に掴むもの」


■関連SS

姫川友紀「その手に掴むもの」


1 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:00:52.32 :A4BQZlQT0

P「さて。この書類届けた後は、スタジオ寄って、みんな迎えに行って......ついでに買い物か」

P「女子が多いと、こんな時ほど頼りになるよな。うんうん」

P「ユッキは...いいや、放っとこ。どうせ忘れて寝てるか遊んでるんだろうし」


P「......メールの1つぐらい入れといてやろう」


コンコン

??「こ、こんにちは...」


2 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:05:36.76 :A4BQZlQT0

P(...? 今、ノックと一緒に女の子の声がしたような...お客さんかな)

P「はいはーい、どちら様でしょう」


「お邪魔します」

P「あれ、君は確か...」

「どうも、お久しぶりです。友紀さんのPさん」


――



3 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:07:14.33 :A4BQZlQT0

これの続きだったり 続きじゃなかったり


4 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:11:29.32 :A4BQZlQT0

【近所の公園】


ワーワー


姫川友紀「ほらほらー! もっと腰低くしないと、またトンネルだぞー?」カーン

「おねーちゃん、つよく打ちすぎだってばー」

友紀「弱音を吐くなぁ! そんなんじゃ甲子園はまだまだだぞ!」

「おれたち高校生じゃないんだけど」

「こうしえんはもう終わったよぉ」

友紀「まだ春のセンバツもある! 来年の夏に向けた闘いは、もう始まってるんだよ!」

友紀「闘魂を、込めろぉーー!!」カキーン


??「......あ! 見つけた」


5 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:12:32.82 :A4BQZlQT0

「友紀さーん!」

友紀「んん? あたしのノックを受けたがってるのは誰...」クル


秋月涼「お久しぶりです、友紀さん」

友紀「......涼?」

涼「はいっ」

友紀「涼だ! うわぁ、ビックリした!」

涼「えへへ、また会えましたね」


6 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:13:11.82 :A4BQZlQT0

友紀「ほんと、久しぶりだねぇ!」

涼「半年ぶり...いや、もっとでしょうか」

友紀「うんうん! 元気だった?」

涼「えぇ、元気です! ......元気、ですけど」

友紀「?」

涼「友紀さん、何をしてるんですか?」


7 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:13:44.36 :A4BQZlQT0

友紀「何って、ノックだよノック! 受けてく?」

涼「え、遠慮しておきます...」

友紀「そっかー」

涼「...どうして、ノックなんてしてるんです?」

友紀「ふっふっふ......この辺の野球少年たちに有名な"ご近所やきゅうおねえさん"とは、ズバリあたしのことなのさ♪」

涼「は、はぁ」

友紀「たまにこうして、練習に付き合ってあげてるんだよっ」

「練習試合にも、前に飛び入りしたよねー!」

友紀「ああ、そんな日もあったねぇ!」

涼「何をしてるんですか......」


8 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:14:42.64 :A4BQZlQT0

「おねーちゃん、この人だぁれ?」

友紀「あたしの友だち! 秋月涼...涼ちゃんっていうんだ!」

涼「ど、どうも」

「なんか見たことある気がするなー」

「りょーちゃんも野球するの?」

涼「いや、私は...」

友紀「参加してっても良いんだよっ」

涼「あ、いえ、その...今日は用事が」

友紀「用事?」

涼「はい。友紀さんに、ちょっとお話があって来たんです」


9 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:15:21.81 :A4BQZlQT0

友紀「あたしに?」

涼「もし、忙しいようなら......いつか、また、出直しますけど」

友紀「ううん! そんなことないよ」

「おねーちゃん行っちゃうのー?」

友紀「ごめんね、今日はここまでってことで! また今度!」

「またねー」

「りょーちゃんも、ばいばーい!」

涼「ば、ばいばい」

友紀「じゃあ、ベンチにでも座ろっか!」

涼「はい!」


10 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:16:03.62 :A4BQZlQT0

――

友紀「はい、スポドリ!」

涼「あ、ありがとうございます」

友紀「いやぁー、良い汗かいたなぁー!」ゴクゴク


友紀「......っぷはぁっ! うまい!」

涼「ふふ。運動した後って、いつもより美味しく感じますよね」

友紀「お、分かってるじゃん!」

涼「何だろう、身体に染み渡るっていうか」

友紀「汗をかいたらその分、ちゃんと水分取らないとね!」


11 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:16:33.78 :A4BQZlQT0

涼「この公園には、よく来るんですか?」

友紀「うん! さっきみたく少年たちに混じったり......後は、みんなと遊びに来たり」

涼「事務所のみなさんと?」

友紀「そうそう。よく誘ってるんだよね、キャッチボール!」

涼「...ふふ」

友紀「ん? どしたの」


12 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:16:59.09 :A4BQZlQT0

涼「友紀さんのPさんが、言った通りだったので」

友紀「へ?」

涼「さっき事務所に寄ったんです。......でも、友紀さんいなくって」

友紀「そ、そうだったんだ」

涼「そうしたら『多分ここの公園で誰かと野球やってるだろ』って、Pさんが教えてくれたんです。正解でした」

友紀「あちゃ~、ごめんね......」

涼「いえいえ。それと、伝言が1つあります」

友紀「伝言?」


13 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:17:32.25 :A4BQZlQT0

涼「『こっちが良いって言うまで、今日は事務所に戻って来ないこと』って」

友紀「えっ」


友紀「......え、えぇっ?! なんで、なんで...?」

涼「ふふ、どうしてでしょうね」

友紀「どうして...? あたし、なにか怒らせるようなことしちゃったかなぁ......」

涼「あ、大丈夫です。怒ってた訳じゃなくって」

友紀「じゃあ?」

涼「色々と、準備があるみたいですよ」

友紀「準備...」


14 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:18:01.89 :A4BQZlQT0

友紀「何の準備......? ね、ねぇ、なんであたし帰っちゃだめなのかな」

涼(『今日が何の日かすら覚えてないかもしれないから、ちょっと脅かしてみると良いよ』、なんてことも言ってたけど。本当に大正解だ...)


涼「......あっははは」

友紀「ちょ、ちょっと! 笑ってないで教えてよぉ」

涼「す、すみません......ふふっ、面白くって、つい」

友紀「あたしは面白くない...」

涼「実は、私の用事とも被ってるんですけどね」ゴソゴソ


15 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:19:03.84 :A4BQZlQT0

涼「はいっ! 友紀さん」

友紀「へ? なに、この包み」

涼「お誕生日、おめでとうございます」

友紀「たんじょうび...?」


友紀「......あーっ!! 今日、あたしの誕生日かぁ!」

涼「やっぱり気付いてなかったんですね...」


16 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:19:37.52 :A4BQZlQT0

友紀「うわわ...、貰っちゃっても良いの?!」

涼「はい、どうぞ」

友紀「ありがとー! ......ハッ。準備ってもしかして」

涼「事務所でちょっとしたパーティをするための、準備の時間が欲しいそうですよ」

友紀「そうだったんだ...そういうことかぁ...」

涼「ふふ。みんなでお祝いなんて、雰囲気の良い事務所ですね」


友紀「昨日、事務所でこっそり缶ビール開けたのがバレたのかと思ったよ......良かったぁ」

涼「あはは...それは......」


17 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:20:19.99 :A4BQZlQT0

友紀「それにしても、あたしにナイショにすることないのに」

涼「い、一応教えるつもりはあったって言ってましたけど」

友紀「そりゃあ、気付いてなかったあたしもあたしだけどさー。言ってみれば、あたしは今日の主役でしょ? ヒーローインタビューだよ?」

涼「ヒーロー?」

友紀「主役を差し置いてパーティの準備なんて楽しそうなことしちゃって!」

涼「友紀さんがいない方が都合が良いからでは...?」

友紀「プロデューサーってば全く! 今夜は、朝までつきあってもらわなきゃ」プンスコ


18 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:21:00.52 :A4BQZlQT0

友紀「とにかく、ありがとね!」

涼「どういたしまして」

友紀「......開けても良いかな?」ウズ

涼「良いですよ?」

友紀「わあい!」


友紀「...おぉー! キャッツのタオルと、リストバンド!」

友紀「え、え? なに? 涼ちゃん、もしかして野球知ってる? キャッツのファンだったの?!」

涼「あ、いえ、野球自体はそんなに。友紀さんがキャッツ好きって聞いてたので...」

友紀「そっかそっか、なるほど」

涼「なんだかすっごく普通のものになっちゃいましたけど...」

友紀「そんなことないよっ! 嬉しいなぁ!」


19 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:21:46.53 :A4BQZlQT0

友紀「早速使うね!」スッ

涼「...ふぅ、良かった」


涼「チョコにしようか悩んだんです、本当は」

友紀「チョコ?」

涼「イベントの時にお世話になったお礼も兼ねて、何かプレゼントしよう...って決めてて。またチョコを作ってプレゼントにしようかなって思ったんです」

友紀「お礼だなんて、そんな...」

涼「改めて、友紀さん。あの時は、お世話になりました」

友紀「う、う~ん......お礼を言われるようなことは、何もしてないんだけどなぁ」

涼「私、たくさん学ばせていただきましたよ?」


20 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:22:23.94 :A4BQZlQT0

涼「一度決めたら、迷わずとことんやりきること。ファン1人1人に応える気持ちが大事だってこと。それから...」

友紀(む、むず痒い...!)

涼「...あの旅でまた1つ、強く成長できました。本当に、感謝しているんです」

友紀「そ、そっか」

涼「友紀さんがグイグイ引っ張ってくれたからこそ、旅行もお渡し会も上手くいったんだと思います」

涼「だから、お礼を言わせてください。ありがとうございます」

友紀「......うん。そこまで言われたら、どういたしましてだね!」


21 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:23:18.75 :A4BQZlQT0

涼「......だけど、やっぱり形に残る物の方が良いかなと思って。今日はなんとかバレンタインってことで、変な意味になってもいけないですし」

友紀「そっかぁ」

涼「大した物じゃないですけど、喜んでもらえたのなら良かったです」

友紀「すっごく気持ちのこもったプレゼントだよ? ありがとう!」

涼「......」


涼「それと、友紀さん。今日は......、」


22 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:24:06.49 :A4BQZlQT0

友紀「涼はっ?」

涼「へ?」

友紀「涼の誕生日は、いつなの?」

涼「わ、私ですか...」

友紀「うん! 貰ったんだから、あたしも何かプレゼントしたいなーって」

涼「そんな、お気になさらず...」

友紀「気にするの!」

涼「いや、でも」

友紀「でもじゃない!」


23 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:24:56.06 :A4BQZlQT0

涼「...えーっと」

友紀「はーやーくー!」

涼「......あ、」

友紀「あ?」

涼「明日、なんです」

友紀「そっか! 明日ね? 明日、あし、た......」


友紀「あした?」

涼「はい」


24 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:26:17.57 :A4BQZlQT0

友紀「今日は、何日だっけ」

涼「9月の14日......って、友紀さんの誕生日でしょう」

友紀「そ、そっか。あたしのたんじょうび」

涼「はい」

友紀「で、明日が」

涼「15ですね」

友紀「誰が誕生日だって?」

涼「私です」

友紀「たんじょうび...」


25 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:26:52.90 :A4BQZlQT0

友紀「...ちょっとぉ!」

涼「うわあ?!」

友紀「何でもっと早く言ってくれないの!?」

涼「ひえぇ......そ、そんなこと言われても」

友紀「危ないところだった......! みすみす見逃し三振するところだったよ......!」

涼「その、あまり気にしないでですね」

友紀「こうしちゃいられない!」

涼「えっ」


26 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:27:29.17 :A4BQZlQT0

友紀「今から一緒に、プレゼント買いに行くよっ!」

涼「え、ええぇ!?」

友紀「ホームランを届けるんなら、本人の好みに合わせて狙い打ちした方が良いに決まってるもんね!」

涼「いやあの、ほんと大丈夫なので...」

友紀「もらってばっかりは、あたしの主義じゃない! 欲しくないの?」

涼「貰えるのなら、うれしい...ですけど」

友紀「それに、事務所に戻っても、なんだか準備中なんでしょ?」

涼「それは、まぁ」

友紀「しばらく戻れないんなら、あたしも都合が良いし!」

涼(僕の都合は~~~!!?)


27 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:28:09.03 :A4BQZlQT0

友紀「ね、何が欲しい?」

涼「いきなり言われても...」

友紀「おねえさんが何でも買ってあげるよ」

涼「うわぁ、そこはかとなくアブナイ雰囲気が」

友紀「なにが?」

涼「あ、いえ......何でも」

友紀「何も無ければ、家に余ってる応援グッズ一式にしちゃうけど」

涼「えぇ...。嬉しいような、嬉しくないような...」


28 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:29:31.60 :A4BQZlQT0

涼「そ、そんなすぐには出てきませんよ」

友紀「ふーん。あたしだったら、いっぱい思いつくのに」

涼「...例えば、何ですか?」

友紀「そうだなぁ。まず、新しいユニフォームは外せないよねっ!」

涼「ユニフォーム......。あ、ステージ衣装のことですか?」

友紀「違う違う、キャッツのユニフォームだよ」

涼「え...」

友紀「新しいシーズンが始まるとね、毎年違ったユニフォームを着て選手はプレイするわけ」

友紀「ホーム用とビジター用でも違ったりしてさ。新しいのは、やっぱり揃えたくなるんだ!」

涼「そ、そうなんですか」


29 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:30:22.28 :A4BQZlQT0

友紀「それと、新しいバッティンググローブかなぁ」

涼「ばってぃ...?」

友紀「打席に入る時の手袋! あるのとないのとじゃ全然違うんだよ?」

涼「へぇー」

友紀「そうだ、グローブ磨くセットも新しくしなくちゃ。クリームにオイルでしょ、それに......」

友紀「あぁっ! ねこっぴーのパーカーが先週発売したんだった! あれ、着てみたいんだよなぁー」

涼「あはは......見事に野球ばかりですね」

涼(キャッツのグッズをプレゼントして、正解だったかも~...)

友紀「当然! あたしあるところに野球あり、だもんね」


30 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:30:53.24 :A4BQZlQT0

涼「欲しいものがそんなにあるなんて、すごいなぁ」

友紀「へへっ。アイドルやるんなら、これくらい貪欲にやらなきゃ!」

涼「貪欲...」

友紀「絶対打つぞ!って、ガツガツ喰らい付いていかないと」

涼「......なるほど」

友紀「涼には、そういうのないの?」

涼「と、いうと」

友紀「趣味とか好きなことで、これだけはハズせない! っていうの」

涼「趣味かぁ......うーん」


31 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:31:23.12 :A4BQZlQT0

涼「料理は、よくしますね」

友紀「......料理」

涼「はい。お休みの日には下ごしらえもして、けっこう本格的に。よく作りすぎちゃって困っちゃうんですけどね」

友紀「へ、へえ~......」

涼「大根のお味噌汁とか、上手にできると柔らかくてとっても美味しいんですよ?」

友紀「そうなんだ......みそしる......」


32 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:32:11.37 :A4BQZlQT0

涼「友紀さんは、お料理したりするんですか?」

友紀「ふぇぁ?! あたしは......ま、まぁ、やるよ? うん」

涼「そうなんですか! 自分で1からしっかり作るの、楽しいですよね」

友紀「う、うん! た、楽しいよね、クッキング! ええと...おにぎりでしょ、おつまみに、チョコも...」


友紀「......レモンのはちみつ漬けって、料理に入る?」

涼「え? ま、まぁ、入れても良いと思いますけど」

友紀「だ、だよねーっ! セーフセーフ! あたし、料理できてる! よし!」


33 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:33:13.50 :A4BQZlQT0

涼「......あ、そういえば」

友紀「?」

涼「料理で思い出したんですけど。エプロン、買わなきゃいけないんだったな...」

友紀「エプロン?」

涼「はい......前から使っててもうボロボロだったんですけど、洗濯したら破れちゃって」

友紀(エプロンって、ぼろぼろになるまで使うものなんだぁ)

涼「一応、縫えば使えないこともないんですけど。どうせなら新しくしようかなって思ってたところだったんです」

友紀「...ほほう」


34 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:33:45.98 :A4BQZlQT0

友紀「なら、決まりで良いんじゃないかな」

涼「良いんですか?」

友紀「うん! こんなに良いもの貰ったんだから、あたしにも何かプレゼントさせてよ!」

涼「......なら、お言葉に甘えることにしようかな」

友紀「よーし決定! そうと決まれば、ダッシュで行くよ?」

涼「...」


35 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:34:42.42 :A4BQZlQT0

涼「......本当に、大丈夫かな」

友紀「何が?」

涼「一緒に外出してるのなんて見られたら、友紀さんに迷惑じゃないかなって思って」

友紀「へ? 迷惑って?」

涼「えっと...パパラッチでもされて、アイドルなのにデートしてるなんて変な噂にでもなったら......」


友紀「...女の子2人で遊びに行くのって、そんなに変かなぁ」

涼「......ハッ」


36 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:35:21.68 :A4BQZlQT0

涼(ぎゃおおおん! や、やってしまったあぁぁ!)


涼「ぁいや! その、事務所が違うのに一緒に遊ぶのは、おかしいかなと思ったというかっ 何というかっ!」

友紀「そう?」

涼「あ、あはは...」

友紀「......」

涼(うわあぁ やばい! 友紀さん、絶対変な目で見てるよぉ...!)


37 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:36:04.77 :A4BQZlQT0

友紀「別に、大丈夫だと思うけど」

涼「...え」

友紀「あたしだって、他の事務所の人ともよく飲みに行ったりするよ?」

涼「そっ、そうですか!?」

友紀「うん。楓さんとか、美優さんとか」

涼「それくらい、普通なんですか!」

友紀「フツーフツー」

涼「そうなんだぁ、あー、良かったなぁ!」


38 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:36:55.02 :A4BQZlQT0

友紀「それに、涼ちゃんは女の子なんだよね?」

涼「は、はい」

友紀「何かあっても、女子2人で遊んでるようにしか見えないって!」

涼「ですよねっ」

友紀「だから大丈夫、大丈夫!」

涼「そうですね、心配しすぎてました......あは、あはは...」


涼(あ、危ない危ない...なんとかなったかな)


39 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:37:35.92 :A4BQZlQT0

涼(......ん、あれ?)


涼「友紀さん、今なんて...、」

友紀「それじゃあ気を取り直して! 行こっか、涼ちゃん!」

涼「ぎゃおおん! ...ひ、引っ張らないでぇ~......!」


――



40 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:38:44.27 :A4BQZlQT0

友紀「......と、いうわけで。そこそこ大きいショッピングモールに来ました!」

涼「どこ向いて喋ってるんですか?」

友紀「何でもない!」


友紀「エプロン、どこに置いてあるかなぁ」

涼「雑貨のところかな......あ、あそこに案内板がありますよ」

友紀「雑貨、雑貨...これ?」

涼「2階みたいですね」

友紀「よし、レッツゴー!」

涼「おー!」


41 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:39:13.17 :A4BQZlQT0

【キッチン雑貨コーナー】


友紀「おぉー、カワイイのいっぱいあるね!」

涼「そうですね。あ、このミトンいいなぁ」

友紀「ミトン! 良いよねぇ。フィット感といい、軽量感といい......」

涼「買っちゃおうかな」

友紀「一緒に買ってあげようか?」

涼「でも...」

友紀「良いの良いの! 2対2の大型トレードってことで、ね?」

涼「......ありがとうございます!」

友紀「さてさて、肝心のエプロン置いてある場所は...あっちだっ」


42 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:40:17.18 :A4BQZlQT0

友紀「涼ちゃんにはどんなのが似合うかな」

涼「うーん、緑とかは好きですけど」

友紀「緑、みどり......おっ、これとか」パッ

涼「ちょ、ちょっとかわいすぎないですか?」

友紀「あー、確かに。フリフリしすぎてるかな」

涼「もうちょっとシンプルな方が好きかも」

友紀「シンプルなやつ......むむむ」


43 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:41:16.02 :A4BQZlQT0

友紀「......これっ」スッ

涼「無地っ!?」

友紀「ちょ、ちょっとシンプルすぎたか...」

涼「すごいや、もはやただの布ぐらい何も描かれてない...」

友紀「次! 次のやつ!」


友紀「エプロン1つ選ぶのもむっつかしいんだなー......あっ!?」

涼「どうしたんですか?」

友紀「こ、これはッ」


44 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:41:53.82 :A4BQZlQT0

友紀「キャッツ公式、ねこっぴーエプロン、だと......!」

涼「ねこ...?」

友紀「しかも、地味に今年のバージョン...。なんてことだ...生きていたのか......」

涼「ええと、それもキャッツのグッズなんですか?」

友紀「うん! あたしの持ってるエプロンとは、別のやつみたい。ほら、ここのマークの位置が違ってて...」

涼「へ、へぇ」

涼(よく分からないけど...)


友紀「ヤバい、ヤバいよこれ......欲しくなってきた」

涼「あはは...」

友紀「涼ちゃんのエプロン買いに来たはずが、こんなものに出会えるなんて...」


45 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:42:59.90 :A4BQZlQT0

友紀(エプロンあんまり使わないから、持っててもしょうがないかな。...でも、欲しい)

友紀(いつか使う日のために、今買っておくのが正解かも。着る機会なんてあるか分かんないけど)

友紀(着てるの見たら、何て言うかな。新しいのだよって、気付いてくれるかなぁ......)


友紀(......って、いやいやっ! なんでプロデューサーに見せる必要があるの?!)

友紀(そりゃ、見てほしいのはやまやまだけど。別に、今それ関係ないし!)

友紀(っていうかエプロン姿見せるって何!? どんなタイミングでエプロン着て台所に立つっていうのさ!)

友紀(意味分かんない! 満塁のファーストゴロで1塁踏みに行くぐらい意味がわからないよ! あたしのばかっ! 何のための前進守備だ!?)


ひめかわは こんらんしている ▼


46 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:43:42.20 :A4BQZlQT0

涼「あの、友紀さん?」

友紀「......ハッ。な、何かな」

涼「なんだか顔が赤いですけど、大丈夫ですか」

友紀「ぅぁ......へ、へーきへーき! 料理のイベントでは着ないといけないもんね、エプロン!」

涼「イベント?」

友紀「お仕事なら仕方ないよね、うんうん」

涼「...ええと。良く分かりませんけど、それよりも」


47 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:44:46.17 :A4BQZlQT0

涼「それ、買うんですか?」

友紀「う、うん。悩んでる」

涼「だったら、私にも貰えませんか」

友紀「え?」

涼「2つ買ってお揃いにしましょうよ」

友紀「でも......良いの?」

涼「はい! 友紀さんの好きな球団なら、私も興味あります」


48 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:45:27.50 :A4BQZlQT0

涼「それに、普通のじゃなくこういうものの方が、友紀さんから貰ったーって感じがあって嬉しいですから!」

友紀「そ、そう? 涼ちゃんがそう言うなら......」

涼「お願いします! ...って、貰う側なのに、偉そうにすみません...」

友紀「......あはは。涼ちゃん、ほんといい子だねぇ」


友紀「うん、買っちゃおっか! 自分へのプレゼントだ!」

涼「はいっ」

友紀(......よしっ)


49 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:46:02.60 :A4BQZlQT0

アリガトウゴザイマシター


友紀「さて、目的はこれで達成した訳だけど...」

涼「まだ何かありますか?」

友紀「んー...せっかく来たのに、このまま帰るのも勿体ないなーって」

涼「なら、適当に回ってみましょうか」

友紀「だねっ! よーし、姫川探検隊、出発!」


50 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:46:48.13 :A4BQZlQT0

――

涼「靴売り場、ですね」

友紀「スパイク売ってるかなぁ」

涼「いやあ...流石に置いてないかと」

友紀「そっかー」

涼「スポーツショップにはあると思いますよ?」

友紀「あ、確かにそうだね。次はそこに行こっか!」

涼「はい。...あ、このシューズカッコいいなぁ」

友紀「ほぉー、涼ちゃんこういうのが趣味なんだね。あたしは......」


51 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:47:47.47 :A4BQZlQT0

――

涼「友紀さんは、スカートとかって穿きます?」

友紀「普段着では、あんまり...」

涼「あ、やっぱり」

友紀「動くのに邪魔だし、なんかスースーするのが気になるっていうか」

涼(わかる)

友紀「まぁ、着てみればそれなりに気に入ってくる時がほとんどなんだけどね」

涼(......わかる)

友紀「だから、こういうスカート売り場、しっかり見たことないんだ」

涼「なるほど...」


52 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:48:22.58 :A4BQZlQT0

友紀「ステージではけっこう着てるし、衣装の方は着慣れてきたつもりなんだけど」

涼「ぼ......私は、衣装もまだ慣れない時が」

友紀「そうなの?」

涼「蒸れるし、ちょっとこすれるというか、食い込むのが苦手で......」

友紀「あぁー...。たまにいるよね、食い込んでくる手ごわいのが」

涼「そうなんです! 私だけじゃなく、みんなそうなのかなぁ」

友紀「んー、今度みんなにも聞いてみよう」


53 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:49:32.98 :A4BQZlQT0

――

友紀「アクセサリーかぁ」

涼「友紀さん、こういうの好きですか?」

友紀「うーん。買うのはヘアピンと、たまにネックレスぐらいかな」

涼「...ヘアピン」

友紀「ピンだけは、けっこう数持ってるんだよ? あたし」

涼「そうなんだ...」

涼(プレゼント、その手があったのか......自分が普段使わないから、思いつかなかった)


友紀「チャラチャラいっぱい付けるの、あんまり好きじゃなくってね」

涼「ふふ、運動する時に邪魔だから、ですか?」

友紀「あははっ、そうかも!」


54 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:50:09.95 :A4BQZlQT0

友紀「涼ちゃんは?」

涼「そうですね......私もあんまり付けないので、自分で買ったことはないかもしれません」

友紀「お。ってことは、貰う側だな?」

涼「はい、ファンの方々からよく頂くんです、アクセサリー」

友紀「モテモテだねぇ、このこのー」

涼「あはは...」


55 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:50:50.53 :A4BQZlQT0

涼「でも、結局付ける機会が少ないから、ちょっと申し訳なくって」

友紀「それ分かるなぁ~。色々貰えるのはすごく嬉しいんだけどね」

涼「LIVEで衣装着る時に、付けれるものは少しでも付けるようにしてるんですけどね。腕輪とか、ブローチとか」

友紀「へぇ...」

涼「プレゼントちゃんと受け取ってます、ありがとうって。ファンの方に伝えられたら良いと思って」

友紀「な、なんて思いやりの心だ......」

友紀(その手があったか、なるほど。賢いなぁ)


涼「思いやりだなんて、そんな...」

友紀「アイドルの鑑だね。...おっと、これは」


56 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:51:38.24 :A4BQZlQT0

涼「腕輪、ですか?」

友紀「うん。ちょっと目に入ったんだけど、どうだろ」

涼「ひまわりの腕輪かぁ。良いですね」

友紀「あたし、ひまわり好きなんだ!」

涼「ふふ。夏っぽい感じ、ぴったりです」

友紀「でしょ~? "サンフラワー"ってユニットもやっててさ」

涼「ユニット...」

友紀「うん。早苗さんでしょ、夕美ちゃんに唯ちゃん、それに仁奈ちゃん! 良いチームだなって自分でも思うよ」


57 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:52:23.02 :A4BQZlQT0

涼「......実は私、ユニットって組んだことないんですよね」

友紀「あ、そうなんだ?」

涼「今までずっと、ソロの活動がほとんどでしたから」

友紀「あたしも、基本的には1人でやってくのが多いからなぁ」


友紀「でも、ユニット活動も良いものだよ? 他にも組んでる子は...智香ちゃんでしょ、晴ちゃん、幸子ちゃんに紗枝ちゃん、それから......」

涼「け、けっこういますね」

友紀「ふふ、まぁそれなりに。みんなと一緒に練習してステージに上がれるのって、それだけで楽しいし、心強いっていうかさ」

涼「ふむふむ」

友紀「何より、みんなで心を1つにできるって、なんだか嬉しいなって。やってて思った!」


58 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:53:08.62 :A4BQZlQT0

涼(ユニットか。事情が事情だし、正直あんまり考えたことなかったけど)

涼「......ちょっと羨ましいかも」

友紀「涼ちゃんもいつか、いいユニット仲間に会えるよ、きっと!」

涼「そう、だと良いですね」

友紀「あれ...なんか他人事?」

涼「そ、そんなことないですよ! ユニット、組めると良いなぁ」

友紀「......ま、いっか」


友紀「よし、次行こう!」

涼「はい!」


59 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:53:34.13 :A4BQZlQT0

――――――


―――




60 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:54:03.59 :A4BQZlQT0

友紀「お買いもの、終わりー!」

涼「見て回るだけでも、楽しかったですね」

友紀「色々目移りしちゃって、ちょっと首が...」

涼「あはは。私もです」


61 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:54:42.03 :A4BQZlQT0

友紀「大分時間潰したつもりなんだけどなぁ」

涼「連絡、ありましたか?」

友紀「うーん......電話もメールも来てない」

涼「そうですか」

友紀「呼ばれてないってことは、まだ帰っちゃダメってことだよね」

涼「ですね...」


友紀「......そうだっ、涼ちゃん、これからまだ時間ある?」

涼「はい? えぇ、大丈夫ですけど」

友紀「ちょっと行きたいところがあるんだよね」

涼「どこですか?」


62 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:55:29.33 :A4BQZlQT0

友紀「すっごく気持ちいいところ!」

涼「......えっ」

友紀「なんか、身体動かしたくなってきちゃってさ!」

涼「ちょ、あの、それって...」

友紀「さあ行くよ! 付いてきて!」

涼「ぎゃおおおん! ちょっとぉー!?」


――



63 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:56:02.59 :A4BQZlQT0

【バッティングセンター】


友紀「ヘイヘイ、カモーン! ピッチャーびびってるぅー!」キンッ

涼「......あの、友紀さん?」

友紀「ちょっと待って涼ちゃん、まだボール来るから!」

涼「あ、はい」

涼(気持ちいいところって...。どこかと思えば、バッティングセンターか...)


友紀「今日はオレ流ならぬ、あたし流 神主打法! ぃよいしょーー!」カーン!


64 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:56:42.61 :A4BQZlQT0

涼「......良い当たりだなぁ」

友紀「おっ、分かる?」

涼「あっいえ、何となく。ボテボテより、上に飛んでく方が良いのかなと思って」

友紀「ふふ、良いセンスしてるね......っとぉ!」カキーン!


テーレッテレー♪


涼「えっ?」

友紀「おっ、ホームラン! 1本目~!」

涼「当たった...」


65 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:57:30.39 :A4BQZlQT0

友紀「おじさーん、今のホームランあたしねーっ!」

「おぉーやるねぇ。はい、1回無料券」

友紀「すぐに使っても良いかな?」

「はいよ」

友紀「よっしゃー!」

涼「すご...」

友紀「やったね、バースデーアーチ! 今のホームランは、涼ちゃんに捧げる......よっ!」カキン!

涼「あっ、これも惜しい!」


66 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:58:08.51 :A4BQZlQT0

友紀「ちぇ、2打席連続とはいかなかったかぁ」

涼「上手なんですね、友紀さん」

友紀「まぁね~。ちっちゃい頃からずっとやってた、しッ!」キーン

涼「小さい頃?」

友紀「うん、お兄ちゃんとキャッチボールしたりね」

涼「へぇー...」

友紀「未来の日本代表、なんて昔は言われてたもんよ!」

涼「そうだったんですか」


涼「そんなに上手なら、野球部でも大活躍だったんだろうなぁ」

友紀「.........っ、」


ボスッ


67 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 22:59:08.73 :A4BQZlQT0

涼(あれ、見逃しかな)


友紀「......う、うん。そう、だね」

涼「友紀さん、野球部だったんですよね?」

友紀「うん、入ってたよ。...マネージャーで」

涼「あれ? でもさっき、ずっと野球やってたって...」

友紀「...ぇと。選手としては、中学生ぐらいまで......だったかな。あんまり覚えてないや、あはは......」

涼「そうなんだ。すごいなぁ!」

涼(中学生っていうと、僕ぐらいの頃の話かな。僕、友紀さんぐらい運動できる自信ないよ......うん、すごいや)

友紀「.........」


68 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:00:11.61 :A4BQZlQT0

涼「ボール、来ませんね」

友紀「......ぁ。そ、そっか、もう終わりか。ボーっとしてた」

涼「? どうかしたんですか」

友紀「ううん、何でもない!」


友紀「そ、それより......ほら! 次は涼ちゃんの番!」

涼「えぇっ、私?! 友紀さん続けてできるんじゃ...」

友紀「良いから良いから! 1回分奢ったげる」

涼「でも私、やったことないですよ?」

友紀「大丈夫、とりあえずやってみなって! 楽しいから!」

涼「そ、そうですか。じゃあ......」

友紀「ふぁいとっ」


69 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:00:50.94 :A4BQZlQT0

――

涼「ぜ、全然打てなかった...」

友紀「うーん、腕だけのスイングになっちゃってたねぇ」

涼「すみません...」

友紀「謝ることないって! 練習すれば、上手く打てるようになるから!」

涼「うぅ」

友紀「次、あたしのスイング見てて? もっとこう腰を使ってだね......」

涼「はい、今ケージから出ま...」


ガッ


涼「あっ」


70 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:01:19.99 :A4BQZlQT0

涼(やば...、足元のでっぱりに躓いて......!)


友紀「体重は右足に残し...え?」

涼(目の前には友紀さんが......ぶつかる......っ!)


友紀「ちょちょっ、涼ちゃ、あぶなっ


むにゅ


友紀「ひゃっ...」


71 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:01:56.36 :A4BQZlQT0

涼(ゆ、友紀さんに受け止めてもらう形になってしまった)

涼(両手に、何か柔らかいものがふにゅっと...ってそんなことより!)


涼「ご、ごめんなさい友紀さん! 大丈夫ですか?!」

友紀「ぅ、うん...だいじょうぶ、だけ、ど......」

涼「すみません、足元躓いちゃって...!」

友紀「あ、あぁ、うん。そう、なんだ」

涼「...ホッ、怪我がなくて良かった」

友紀「......うん」


72 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:02:29.64 :A4BQZlQT0

友紀「...え、えーっと...」

涼「や、やっぱりどこか痛みますか?」

友紀「......ぁ、あたしの番かなっ! 打ってくる!」

涼「あ、はい。どうぞ」

友紀「よ、よーし...打つぞ~......」


友紀(今、触られたよね...?)

涼(やっぱり本物は、触り心地がちょっと良いんだなぁ)

友紀(ま、まぁ。涼ちゃんが相手なら、女の子に触られたみたいで割と平気、かな。うん)


73 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:03:25.49 :A4BQZlQT0

友紀「......って、そんなわけあるかぁっ!」グワラゴワガキーン

涼「わぁっ すごい打球」


テッテレー


涼「またホームラン...」

友紀「あぁぁああ、もうっ! なんかすっごいモヤモヤする!」

友紀「涼ちゃん!!」

涼「は、はいっ」ビク

友紀「今日はこれから、あたしの気が晴れるまで付き合ってもらうから!!」

涼「えぇっ?! それ、どういう...」

友紀「青春の、バカヤローーッ!!!」ガッキーン


――――

――



74 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:06:30.18 :A4BQZlQT0

《Side R》


涼「た、ただいま、公園...」

友紀「いやぁ、楽しかったねー!」

涼「そうですね...はは......」

友紀「いっぱい打てて、満足満足! ほんっと気持ちよかったよ!!」

涼(結局友紀さんは、あれから4回もホームランを打って大暴れだった)

涼(『今年の三冠王はいただきだ!』...なんて言ってたけど。三冠王って何だろう。ホームランをたくさん打てばなれるのかな)


友紀「んー、ちびっこ達はもう帰ってるかぁ」

涼「そうですね...って、まだやるつもりだったんですか」

友紀「いやぁ...流石にちょっと疲れちゃったし、もう無理だよ」


75 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:06:59.23 :A4BQZlQT0

友紀「さてと。買い物もしたし、いっぱい遊んだし。今日はここらで解散かな」

涼「ですね」

友紀「明日はどこ集合にする? プレゼント渡すの、またここで良いかな」

涼「明日ですか...」

友紀「それとも事務所にしよっか。今度は、あたしが涼ちゃんとこに遊びに行こうかな」

涼「......それも、良いですけど」

友紀「あ。でもあたし、朝はダメかもないかもしれない」

友紀「ほら、明日起きれる自信なくって。できれば、集合も午後からだと嬉しいんだけどな......」


76 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:07:34.77 :A4BQZlQT0

涼「...えっと、」

友紀「ん? どしたの」

涼「その、大変身勝手なんですけど」

涼「......貰うんなら、今が良いかな、なんて」

友紀「今? 別に構わないけど...。明日じゃなくって?」


77 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:08:10.72 :A4BQZlQT0

涼「......実は明日、大事なミーティングがあるんです」

友紀「大事な...」

涼「武田さんのこと、覚えていますか」

友紀「うん。『プロ野球ハイライト』の」

涼「『オールド・ホイッスル』ですよ...」

友紀「あっはは! 冗談冗談」


涼「...武田さんと、うちの社長と。私の今後を左右する、大事な決め事をするんです」

涼「番組への出演ももう決まってますし、これからのスケジュールも埋まってしまってて」

涼「だから、明日からは時間が取れなくって......」

友紀「...そうなんだ」


78 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:09:31.63 :A4BQZlQT0

友紀「じゃあ、はいっ」

涼「!」

友紀「へへ。1日早いけど...誕生日おめでと、涼ちゃん」

涼「...ありがとうございます。大事に使います!」

友紀「うん! ねこっぴーをよろしくね!」

涼「...あの、」

友紀「?」

涼「......。友紀さん、ちょっと良いですか」


79 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:10:31.12 :A4BQZlQT0

友紀「ど、どしたの? 急に改まって」

涼「今日会いに来たのには、理由があったんです」

友紀「...あ、うん。プレゼント、ありがとね!」

涼「あぁ、いえいえ、どういたしまして......って、それだけじゃなくて」

涼「誕生日もそうですし、バレンタインの時お世話になったお礼をしに来たっていうのも、もちろんあるんですけど」

友紀「お礼なら、さっき......、」


涼「1つだけ、謝らなければいけないことがあるんです」

友紀「...謝る」

涼「はい」


80 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:11:50.13 :A4BQZlQT0

涼「さっきも言いましたけど、明日からすごく大事な用事があるんです。私にとって、すごく大事な」

涼「もう少ししたら、私を取り巻く環境が色々変わって...しばらくドタバタするし、周りも騒がしくなると思うんです。きっと」

友紀「ふんふむ」

涼「今を逃したら、もう友紀さん達とは、しばらく会えなくなるような...そんな気がして」

涼「だから、今日直接会って伝えなくちゃ駄目だと思いました」


81 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:13:08.38 :A4BQZlQT0

友紀「......前にも、こんなことあったよね」

涼「はい」

友紀「それは、必ず謝らなきゃいけないことなの?」

涼「アイドルとして、そんなのは些細なことだからと。前に友紀さんは、私を止めてくれましたね」

友紀「...そうだったかな」

涼「だからこそ。今日の私は...アイドルじゃない、秋月涼として。友紀さんに伝えに来たんです」

友紀「涼として...」


82 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:14:04.25 :A4BQZlQT0

友紀「もしかして......アイドル辞めちゃう、とか」

涼「いえ。アイドルは、辞めません」

友紀「そ、そっか。良かった」

涼「...そうだな。まずはそちらの報告からしなきゃいけないですね」


涼「私、別のプロダクションに所属することになったんです」


83 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:15:27.42 :A4BQZlQT0

友紀「...移籍するってこと?」

涼「あっいえ、移籍ではなく......名義を残して掛け持ち、というか」

友紀「??」

涼「今後は、2つのプロダクションに在籍しながら活動することになる...というか。あんまり上手く説明できないんですけど」

友紀「球団に所属しながらプロ野球の選手会にも入る、みたいな感じかなぁ」

涼「ええと...? まぁ、そんな感じだと思います......多分?」

友紀「ふーん?」


84 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:16:27.85 :A4BQZlQT0

友紀「...ねぇねぇ、どこの事務所に行くの?」

涼「それは、」

友紀「涼ちゃんぐらいのアイドルなら、大手かな。765さんとか?」

涼「...」

友紀「あっ! もしかして...あたしたちのとこだったりして!」

友紀「謝るって、うちに来るの秘密にしてたから、とかかな?」

友紀「うちの事務所、ルームがあんまりおっきくないからなぁ。涼ちゃんが来たら、また狭くなっちゃうね! あははっ」


85 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:17:07.01 :A4BQZlQT0

涼「......すみません、友紀さん」

友紀「...うん」

涼「とても、とっても魅力的なお話なんですけど。...友紀さんの事務所ではないんです」

友紀「じゃあ?」

涼「まだ、言えません」

友紀「まだ...」

涼「正式に発表があるまでは、私の口からは...」

友紀「......そっか」

涼「きっと、ビックリさせてしまうから」


86 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:18:44.27 :A4BQZlQT0

涼「謝りたいというのも、それに関係してることなんです」

友紀「...」

涼「私、友紀さんに隠していたことがあるんです」

涼「友紀さんだけじゃありません。今まで私を見てくれていた人、みんなに」

友紀「......どんな、隠し事?」

涼「...それも言えません。今はまだ」

友紀「まだ、か」

涼「近い内に必ず、表沙汰になることなんですけど...上の偉い人たちから、箝口令が出てしまって」

友紀「...そういう業界だもんね」

涼「本当なら、この話題を出すことすらNGかもしれませんが...友紀さんなら内緒にしてくれると信じて、言いました」


涼「私からは何も言えないくせに、こんな話を持ち出してしまって...本当にすみません」


87 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:19:38.03 :A4BQZlQT0

涼「自分でも分かってるんです。曖昧にぼかして、今はただ謝ることしかできないなんて......そんなの、ズルいですよね」

涼「でも、どうしても謝りたかったんです。みんなに嘘をついて隠している自分が許せなくて」

涼「友紀さんやお世話になったみなさんに、本当の自分を隠したまま、もうずっと会えなくなるんじゃないかと思ったら......そっちの方が、絶対に後悔しそうで」

友紀「それで、わざわざあたしに会いに」

涼「あっ...えっと、プレゼントを渡したかったのも、本当なんです...。ついでとかではなくってですね......」

友紀「ふふ、分かってるよ。ありがと」


涼「本当に...すみませんでした」

涼「許してください、だなんて言いません。ただ、どうしても謝りたかった。それだけなんです」

友紀「そっか」

涼「......ごめんなさい」


88 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:20:04.84 :A4BQZlQT0

友紀「...許すもなにもさ、」

涼「え?」

友紀「別にあたし、怒ってなんかないけど」


89 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:21:26.85 :A4BQZlQT0

友紀「誰にだって、隠し事の1つや2つあるって」

涼「で、でも」

友紀「大切なのは、相手を大切に想う気持ちがあるかじゃないかなぁ」

友紀「謝りたいって気持ち、涼ちゃんからはしっかり伝わったよ」


友紀「あたしたち、友だちで、仲間でしょ?」

涼「友紀さん......」

友紀「だったら、気にすることなんて何もないんだよっ」

涼「...良いんですか?」

友紀「うん! 気持ちを真っ直ぐ投げ込んできてくれて、ありがとね涼ちゃん」


90 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:22:55.26 :A4BQZlQT0

涼「......どうしても都合が合わなくて、七海さんと裕美さんには、直接は会えませんでした」

友紀「なら、いつかあたしから言っておくよ」

涼「お願いします」


友紀「...1つだけ、良いかな」

涼「? 何でしょうか」

友紀「その新しい事務所ってさ...、」


91 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:23:27.22 :A4BQZlQT0

友紀「涼ちゃんは、行くの嫌?」

涼「っ!」

友紀「本当はやりたいことがあるのに、仕方なく......とかだったら。それは良くないよね」

友紀「涼ちゃんはそこでちゃんと、やりたいことできる? 心に嘘、ついてない?」

涼「......」


92 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:24:59.45 :A4BQZlQT0

涼「...嫌なんかじゃ、ありませんよ」

涼「むしろ、自分から進んで入りたいと思ったくらいなんです」

友紀「うん」

涼「私、夢がありました。憧れというか、目標というか...」

涼「アイドルになったのも、その夢を叶えるためだったんです」


涼「大変だったけど、自分なりに少しずつ進んできて......あと一歩のところまで来てるんです」

涼「夢を実現させるチャンスが、ようやく転がり込んできたっていうか」

友紀「...それが、その事務所なんだ」

涼「はい。このチャンス、逃す訳にはいかないんです」


93 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:25:54.23 :A4BQZlQT0

涼「......諦めたくない」

友紀「...っ!」

涼「きっとこれからも、辛かったり苦しいことはたくさんあるかもしれない。所詮は、叶わない夢かもしれない」

涼「みんなに受け入れてもらえるか不安もあるけど、それでもやりたいんです!」

涼「夢は、夢じゃ終われないから」

涼「...僕が背負う夢は、もう僕だけのものじゃないから」


94 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:26:59.81 :A4BQZlQT0

友紀「......そっか。なら、大丈夫だね」

涼「心配してくれて、ありがとうございます」

友紀「良いの良いの♪」


友紀「ねえ、涼ちゃん」

涼「はい?」

友紀「......いや、涼っ!」ガシッ

涼「は、はいっ」

涼(右手を、掴まれた)


95 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:28:20.82 :A4BQZlQT0

友紀「...」ギュ

涼「友紀さん?」

友紀「......」ニギニギ

涼(手を調べられている...?)


涼「あ、あの」

友紀「うん。良い手してるね、やっぱり」

涼「へ?」

友紀「大きくて、力強くて、ガッシリしてて......」


96 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:29:09.79 :A4BQZlQT0

友紀「これが...さっき、あたしの...っ」ゴゴゴ

涼「いだ、いだだだ! ちょ、友紀さ......?!」ミシミシ

友紀「......とにかく。立派な手だよ」


友紀「涼の手は、ちゃんと夢を掴める手だ」

涼「そう、でしょうか...あいてて......」


97 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:30:38.78 :A4BQZlQT0

友紀「大丈夫、涼ならできる。きっと叶えられるよ」

友紀「正直で、真っ直ぐで、すっごくいいヤツだもん。涼の頑張りは、きっとみんな見てくれてる!」

涼「はい...」

友紀「それに、アイドル応援団長の、このあたしがついてるんだからね」

涼「...えへ、頼もしいなぁ」

友紀「でしょ~? へへっ」


98 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:31:36.90 :A4BQZlQT0

友紀「涼の夢、あたしは応援する!」

涼「......ありがとうございます」

友紀「周りの目なんか気にしないで、強気でガンガンかっと飛ばしていけば良いんだよ!」

涼「大事なのは心、ですよね」

友紀「うんうん! 目指せ、アイドル界の二刀流! ってね」

涼(ッ!)

友紀「頑張るんだよ、涼!」

涼「...はいっ」


涼(友紀さん。あなたは、やっぱり......)


99 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:32:21.58 :A4BQZlQT0

――

友紀「......もうこんな時間かぁ」

涼「あ...そうですね。日が暮れちゃう」

友紀「そろそろ、あたしも帰って良い頃かな?」

涼「えぇ、きっと」

友紀「今日ぐらいは、事務所でビールもおっけーだよね♪」

涼(昨日も飲んだんじゃあ...)

涼「...帰る前に、Pさんに連絡してみると良いんじゃないでしょうか」

友紀「うん、そうする! 楽しみだなぁ~」


100 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:33:16.96 :A4BQZlQT0

涼「それじゃあ、私も帰ろうかな」

友紀「......そうだね」

涼「はい」


友紀「今日は、本当にありがとね。涼ちゃん」

涼「......こちらこそ、ありがとうございます。とっても楽しかったです」

友紀「へへっ。武田さんとか、夢子ちゃんにもよろしく」

涼「分かりました。お2人にも、どうかよろしく伝えてください」

友紀「まっかせて!」


101 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:33:49.76 :A4BQZlQT0

涼「では、お元気で」

友紀「またねー♪」フリフリ

涼「また...」


テクテク...


涼「...」


涼「......っ」ピタ


102 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:34:24.93 :A4BQZlQT0

涼「...友紀さん!」クル

友紀「お?」

涼「聞いてください、友紀さん! 私......ううん、」


涼「僕は! これからも、僕の夢を追い続けますっ!」

友紀「!」


103 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:35:10.36 :A4BQZlQT0

涼「何があっても負けません!」

涼「今よりも、もっともっとカッコよくなりたいからっ」

友紀「...うんっ」

涼「夢を諦めた人、見失いかけてる人......そんな、誰かの力になりたいから!」

友紀「うん、うん!」

涼「絶対にあきらめない! 必ず、トップになってみせます!!」

友紀「よく言った!」

涼「だから、見ててください!」


104 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:36:12.05 :A4BQZlQT0

涼「今度は、もっとカッコいい僕として! いつかまた友紀さんに会いに来ます!」

友紀「うんっ!」

涼「その時は! 一緒にキャッチボール、してくれますかーっ?!」

友紀「もっちろん! いつでもおいでー!」

涼「ありがとうございます!」

友紀「待ってるからねー!」ブンブン

涼「それじゃあ!」

友紀「ファイトー! 涼ーーッ!!」


タタタ...


105 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:36:46.99 :A4BQZlQT0

友紀「強い子だな、本当に」

友紀「...」

友紀「手、か」


友紀「良いなあ......」


...pipipipi


106 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:37:29.28 :A4BQZlQT0

pipipi...


友紀「...電話」

友紀「プロデューサーから」

友紀「.........」


ピッ

友紀「もしもーし。あ、プロデューサー! お疲れさま」

友紀「そろそろ戻って良いの? ちょうど良かった、今行こうと...」

友紀「...ぅえ、迎えに来る? ......う、うん。そっか...。えっとね、今公園で......」


――



107 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:40:47.75 :A4BQZlQT0

《Side Y》


P「...あ、いた」

友紀「おそーい」

P「悪い悪い、ちょっとちひろさんに捕まってな」

友紀「ちひろさん? なんで?」

P「領収書出せって。少しぐらいなら、経費で落とせるかもしれないんだと」

友紀「...なるほど」


108 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:41:54.97 :A4BQZlQT0

友紀「何を買ってたのかなぁ? うん?」

P「いや何って......食べ物とか、飲み物とか」

友紀「ケーキもある?」

P「それは、これから取りに...。もしかして、秋月さんから聞いた?」

友紀「うん! 準備終わるまで帰って来るなって」

P「良かった。ちゃんと会えてたんだな」


友紀「で、ビールはあるの?」

P「お前なぁ...」

友紀「どうなの? ねえねえ!」

P「......500を1本。今日だけな」

友紀「うわーい! やったー!!」

P「どんだけ喜ぶんだよ」


109 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:42:30.36 :A4BQZlQT0

友紀「それを聞いちゃ、うかうかしてられないね! 早く事務所に戻らなきゃ!」タッ

P「あっおい、待てって」

友紀「はやくはやくぅー!」タタタ

P「走ってもビールは逃げないぞー」


P「...って、足はえー......」


110 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:43:20.84 :A4BQZlQT0

――

友紀「ケーキだぁ!」

P「ちょっと小さかったか...? 人数分大丈夫かな」

友紀「大丈夫だって! ほら、後は帰るだけだよ!」

P「待て待て、ケーキ持ってるんだから。流石に歩いてだろ」

友紀「......ん、そっか」

P「焦らなくて良いんだよ、ゆっくりで」

友紀「はーい」


111 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:44:20.31 :A4BQZlQT0

P「...げ、もう薄暗い」

友紀「日が暮れるの、早くなったよね」

P「だな。この時間、こないだまではまだ明るかった気がするのに」

友紀「秋だねえ.........っくしゅっ」

P「寒い? 上着いるか」

友紀「ううん、平気!」

P「なら良いけど」

友紀「きっと誰かがあたしのウワサしてるんだね。ほら、誕生日だし!」

P「なんだそりゃ」


112 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:45:15.30 :A4BQZlQT0

P「風邪ひくなよ? 涼しくなってきたのは良いけど、薄着じゃもう肌寒いくらいなんだから」

友紀「涼しい...」


友紀「秋の月に涼しい、か。ふふ、この時期にぴったりだね」

P「ん? 月はまだ出てないぞ」

友紀「なんでもなーいよっ」

P「ああそう」


113 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:46:08.31 :A4BQZlQT0

P「...で、ユッキは今日何してたのさ」

友紀「うん、涼と遊びに行ってたんだ!」

P「りょう? ......あぁ、秋月さんか」

友紀「涼もね、明日誕生日なんだって。知ってた?」

P「へぇ。いや、知らなかった」

友紀「2人でプレゼント選んだりしたの!」

P「どうせだったら、うちに寄ってケーキでも食べていけば良かったのに」

友紀「...ううん。明日から、ちょっと忙しいみたいだし」

P「そっか」


114 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:47:24.77 :A4BQZlQT0

友紀「これね、涼から貰ったプレゼント!」

P「おー、リストバンドだ」

友紀「かっこいいでしょ? タオルも貰ったし、早速使っちゃった」

P「似合う似合う。その袋も?」

友紀「これは......自分にプレゼント!」

P「欲張りなやつめ」

友紀「へへへ。プロデューサーは、何をくれるのかなぁ」


P「......あげないって言ったら?」

友紀「FA移籍してやる」

P「大袈裟...」

友紀「誠意は言葉じゃなくってね...」

P「冗談だよ。一応用意してるから、後でな」

友紀「わーい!」


115 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:48:16.96 :A4BQZlQT0

P「それにしても、珍しいね」

友紀「なにが?」

P「名前。呼び捨てにしてるの、初めて聞いた」

友紀「あぁー、そうだねぇ...」

P「秋月さんと何かあったの?」

友紀「......ふふっ。それは、プロデューサーにもナイショ」

P「ふーん?」

友紀「女の子には、秘密があるものなんだよ♪」


116 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:50:49.39 :A4BQZlQT0

P「......何か変なモンでも食ったか」

友紀「どういう意味?!」

P「だって、そんな女子力に溢れた言葉、普段は使わないでしょ」

友紀「あ、ひっどーい! あたしだって正真正銘、花も恥じらう乙女座の女なんだよ?」

P「いや、それは知ってるけど...」

友紀「......ふんっ。今日はいつもより、女の子の気分なだけだし」

P「女の子の気分、ねぇ」

友紀「ふーんだ」


117 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:51:25.11 :A4BQZlQT0

P「なに、少しは女の子扱いした方が良い感じ?」

友紀「...普段はしてないような言い方だね」

P「そんなつもりでもないけどさ」

友紀「良いもん、どうせあたしなんか」

P「なんなら、手ぇぐらい繋いでやろうかなって」

友紀「......っ」


118 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:51:57.39 :A4BQZlQT0

P「ははは、なんちゃっ...


キュッ


P「......て?」


119 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:52:29.21 :A4BQZlQT0

友紀「...」

P「あの、ユッキさん?」

友紀「左手、空いてたから」

P「お、おう」

友紀「今日くらい良いでしょ」

P「......別に良いけど」


120 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:53:10.10 :A4BQZlQT0

友紀「...」ニギ

P「...」

友紀「......良いなぁ、男の人の手」ボソ


友紀「あたしも欲しかったなぁ」

友紀「...なーんて」


121 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:53:48.74 :A4BQZlQT0

P「......ほんと、大丈夫かお前」

友紀「...大丈夫だよ」

P「つらいなら、少し休んでいこうか?」

友紀「平気。遊びすぎて、ちょっと疲れちゃっただけだから」

P「疲れてるなら尚更、」

友紀「大丈夫だってば」

P「...そ」

友紀「うん」


122 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:54:36.91 :A4BQZlQT0

P「......まぁ、何があったのかは聞かないけどさ」

友紀「そこは聞いてよぉ」

P「あ、聞いても良いなら聞くぞ」

友紀「あー...やっぱりダメ。ナイショ」

P「どっちだ...」


123 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:55:48.21 :A4BQZlQT0

P「...その、」

友紀「?」

P「何て言うか...アレだ。えーっと」

P「...んん~~...」

友紀「な、なに唸ってるの」

P「......よしっ」


124 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:56:46.96 :A4BQZlQT0

P「俺は今から、超恥ずかしい独り言を言います」

友紀「う、うん」

P「できれば、耳を塞いでもらえると助かる」

友紀(手繋いでて塞げないんだけどな)


P「...なんでセンチになってんのかは知らないけど」

P「友紀が女の子で良かったって。俺はずっと思ってるから」

友紀「...へ」


125 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:57:39.35 :A4BQZlQT0

P「男だったら、野球の道に進んでたのかもしれない。もしかしたら今頃、プロで活躍してたりして」

P「でももしそうだったら、今のお前とは会えてなかったし、こうして誕生日祝うなんてこともなかったと思う」

P「俺は今こうして横にいてくれる、女の子の友紀が好きだから。この出会いには感謝してるわけ...」

P「...で、だな......」

友紀「...」


P「......っだぁぁあ恥ずかしい!」

友紀「な、なな...っ、」


126 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/14(木) 23:59:21.98 :A4BQZlQT0

P「何だコレめっちゃ恥ずかし......」

友紀「す すすっ、すきって...」

P「...待て、もしかしたら今の超キモかったんじゃないか?」

友紀「あうぅぅぅ......っ」

P「落ち着け俺...。深呼吸、深呼吸」フー

友紀「あ、あたしも。吸ってー......」


P「...なんか、すまん。急に変なこと言って」

友紀「う、ううん...」

P「聞かなかったことにしてくれても、構わないから」

友紀「...」


127 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:00:21.66 :DFI7p8B60

友紀「......ふ、ふーん、そっかそっかぁ」

友紀「プロデューサー、あた、あたしが...す、すきなんだ」

P「いや、ちがっ、お前がってそういうことじゃなくて、」

友紀「...きらい?」

P「...嫌いじゃない」

友紀「じゃあ好きってことだね」

P「いやほら、好きっていうのはだな、お前が男じゃなく女だからというところに係ってるのであって」

友紀「へえ~、ふーん」

P「話をちゃんと...っ」

友紀「好きかぁ、へぇ...」


P「......もういいやそれで」ハァ


128 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:00:56.36 :DFI7p8B60

P「だから耳塞げって言ったんだ...」

友紀「いやぁ~聞いちゃったものはねぇ」

友紀(女の子で良かった、だって)

友紀「ふふ。そっかぁ」


友紀「......うん、ありがと。えへへっ」

P「...おう」


129 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:01:31.77 :DFI7p8B60

P「......なあ」

友紀「んー?」

P「もう手離して良いか」

友紀「なんで?」

P「すげー恥ずかしいから」

友紀「んー...」


友紀「ダメー♪」ダキッ

P「ちょっ」


130 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:02:03.03 :DFI7p8B60

友紀「あたしも、プロデューサーのこと好きだよっ!」

P「だから、そういう意味じゃ」

友紀「あたしのはそういう意味だから!」グイ

P「どういう......っておい引っ張んな、危ないから!」

友紀「ぎゅーっ」

P「力強すぎだろ! 放せっ」


131 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:02:42.64 :DFI7p8B60

友紀(......公園で待っている間、ずっと考えていたことがある)

友紀(涼の手が、夢を掴む手なら。あたしの手は何のためにあるんだろう、って)


友紀「ね、プロデューサー。聞いて?」

P「聞くけど...これ、歩き辛くない?」

友紀「つらくない!」


友紀(今ちょっとだけ、その答えが分かった気がするよ)


132 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:03:59.61 :DFI7p8B60

友紀「あたしさ、野球が好き」

P「お、おう。知ってるけど」


友紀(あたしの手では、どうしても届かなかった夢があって)


友紀「でね? 今はアイドルも好き!」

P「......何だ突然」

友紀「プロデューサーのことも好きだし、ファンも仲間も、みんなまとめて全部大好きだよ!」


友紀(でもだからこそ、今この瞬間がある。だったら...っ)


友紀(だったら。きっとこの手は、好きなものを掴むための手なんじゃないかって。そう思った!)


133 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:04:50.57 :DFI7p8B60

友紀「こうして好きがどんどん増えてくのって、すっごく幸せなことだなって思うんだ」

友紀「プロデューサーに会えて、ほんとに良かったよ! 好きをいっぱいくれて、ありがとね」

P「わかった、分かったから。一旦離れて...」

友紀「放さないっ」ギュ

P「いっだだだっ! 腕もげる!」


友紀(バットにマイク、ビールでもプロデューサーでも、何でもバッチ来いだよ)

友紀(1度掴んだ"好き"......あたしはもう、手放すつもりはないからね)


友紀「覚悟しててよ? 絶対、ぜーったい離さないから」

友紀「離れたくないってそっちからも言わせるぐらい、あたしのこと、もっと好きになってもらうからさ!」

友紀「これからもこうしてずーっと、あたしとバッテリー組んでいてほしいなっ! プロデューサー!」


134 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:05:28.17 :DFI7p8B60

P「......よくもまぁ、恥ずかしげもなく言えるなお前」

友紀「恥ずかしくなんかないよ? だって本音だもん」

P「さいですか」

友紀「うんっ」


友紀「...なんでこっち見ないの?」

P「見れるかバカ」

友紀「あ、もしかして、照れてる?」

P「うるさい。照れてない」

友紀「やーい照れてるー! 珍しいー♪」

P「しょ、小学生かお前は...」


135 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:05:59.22 :DFI7p8B60

P「......そっちこそ、覚えとけよ」

友紀「んー?」

P「さっき移籍するとかなんとか言ってたけど、そんなの知らん」

P「FAだろうがポスティングだろうが、お前には絶対させてやらないから。いいな」

友紀「...」


136 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:07:24.71 :DFI7p8B60

友紀「え、ちょ、今何て言ったの...?」

P「は?」

友紀「ごめん、周りの音でよく聞こえなくって」


P「......知らん!」スタスタ

友紀「うぁっ、ちょっとー!」

P「くっそぉ...。バカ、あほ、野球脳、たらし、ガサツ、バカ、声でかい、それから......、」

友紀「なんか悪口言われてる気がする!?」

P「うっさい! 帰るぞ、ほら」

友紀「待ってよぉ......とりゃっ」

P「ええい引っ付くな!」

友紀「良いじゃん、くっついてた方があったかいし!」

P「さっき寒くないって言ってたろ」

友紀「急に冷えてきたのっ」

P「嘘つけ」

友紀「あーさむいさむい! 今日は寒いなー♪」

P「やれやれ...」


P「......まぁ、寒いなら仕方ないか。うん」


おしまい


137 :◆uMEAzbBMSc :2017/09/15(金) 00:10:31.66 :DFI7p8B60

おわり

ユッキも涼ちんも誕生日おめでとう


重大発表する直前ぐらいの時間軸を想定......という補足だけ、最後にさせてください

ディアリースターズと876コラボイベントに思いを馳せつつ


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