八幡「やはり俺のアイドルプロデュースはまちがっている。」後日談/番外編#06


最初から


一つ前




番外編

「ライラさん編」

8 : ◆iX3BLKpVR6 - 2016/06/07 00:20:42.80 J34r1N8z0 1538/1853




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人には得手不得手というものがある。


得意であることと、そうでないこと。その内容や数に差はあれど、誰しもが等しく持ち得ているもの。

勉強は出来るが、運動が苦手。歌は下手だが、絵が描ける。
なんだっていい。挙げればキリが無い程に、人にはそれぞれ得手不得手がある。幅広く言ってしまえば、ルックスや性格だってその内に入れてしまって良いだろう。

そんな誰もが当たり前のように受け入れているそれは、しかし実際の所は不条理な事この上ない。
この世の中には、得手よりも不得手の方が多いと嘆く者の方が、圧倒的に多いのだから。


八幡「............」


そして例によってこの俺もその一人。

勉強も出来るし、運動も苦手ではない。手先も割と器用だし、顔だってそこそこ良い。
だが悲しきかな、そんな基本ハイスペックな俺でも、友達と恋人だけはいない。とある冷酷非道才色兼備女子から言わせれば、もうそれだけで補って余りある程マイナスらしい。......あくまでも言われた当時の話だが。


どうやら机や手元に向き合う事は得意でも、他人と向き合う才は与えられなかったようだ。

9 : ◆iX3BLKpVR6 - 2016/06/07 00:22:26.91 J34r1N8z0 1539/1853




八幡「...............」


本当に嫌になるよな。何が嫌になるって、得手不得手がある事を良しとせず、欠点がある事を許せない輩が多い事だ。
そりゃ、誰だって苦手を無くせるものならそうしたい。努力や反省で直す事が出来るのなら、それは本当に素晴らしいと、俺だって思う。

だが、現実はそんな簡単にはいかないのだ。


八幡「............」 きょろ


人にはどうしたって変えられないものがある。出来ない事がある。払拭できないコンプレックスや、癒えない古傷があるんだ。

出来ない事を出来るようになる。乗り越えられない壁を、乗り越えられるようになる。なるほど。それは素晴らしい。

しかしそれは、一部の人間のみだ。誰もが、そう易々と叶えられると思うな。
自分が出来る事を、他人も出来ると思う等、なんと傲慢なことか。


八幡「............」 きょろきょろ


世界はそこまで等しくはない。
誰しもが等しく悩みを抱えていても、その内にある全容は、不平等と言える程に格差がある。

他人でも、自分でも、そんな暗い部分を認めずしてどうする。どうして、出来ない事を肯定してやれない。

得手があるなら良いじゃないか。不得手があったって、それを補って余りあれば良い話じゃないか。

弱い所に劣等感を感じるのは仕方がない。恥るのも分かる。だが、悪とする必要は無い。


得手も不得手も、等しく、己の一部なのだから。

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