【モバマス】忍「おんぼろパンプキン」

2: 名無しさん@おーぷん 2017/08/12(土)14:08:15 ID:lf6


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吐息まで凍てついてしまいそうな深い夜。まばらにしかない車はサービスエリアを賑わせるには力不足だった。時折遠くで聞こえるエンジンとスキールの音が鼓膜を震わせる。

目の前の彼女の真っ直ぐな瞳は、どこまでも突き抜けていきそうで。
私が体を避ければ、地平の果ての星まで射抜くんじゃないだろうかと思えるよう。

「......お願いします! 乗せてください!」

その頼みを断ることは、できなかった。


*


転載元:【モバマス】忍「おんぼろパンプキン」

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3: 名無しさん@おーぷん 2017/08/12(土)14:08:57 ID:lf6

1.

もったりとした重たい臭いが鼻に付く。古びたカーエアコンが醸す年季の薫りは、とても良いとは言いがたかった。窓を開けたい気分になるが、真冬の東北で外気を取り入れる選択は自分にはできない。

現れては後方に流れていく、行き先を示す緑標識。表示を見る限り、目的地まではまだたっぷり七時間はかかる。心なしアクセルを踏む足が強くなった。

普段は一人きりの深夜ドライブ。助手席にある慣れない影は私には気になるが、重量級のダンプ・カーはそんな重みはモノともせずに走ってくれる。何度となくメンテを重ねた老体だが、足回りは健在だった。

「......寒かったりしない?」

ハンドルを握りながら、視線だけをちらと移して尋ねてみた。
全体的に落ち着いた色の、と言えば聞こえはいいが、言い換えるならやや野暮ったい、地味な服装の少女。ハイネックのコートも、今は外しているキャスケット帽もマフラーも、どれもこれも茶系統。申し訳程度に、チェックスカートだけが鮮やかな赤色だった。


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