鷹富士茄子「幸運メーター」

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/15(土) 23:25:45.89 ID:dRzYrjA20

昔から、色んな人に「運がいいね」と言われてきた。

それは単純な尊敬だったり、羨望からくる皮肉だったり。

しかし発言の意図がどうであれ、私は運がいい、ということは揺るがない事実だった。

商店街のくじを引けば一等の温泉旅行が当たり。

おみくじは引けば大吉で。

遊園地に遊びに行けば、自分が百万人目の来場者になり。

適当に塗ったマークシートが全問正解になる。

とても恵まれていると思うけれど、これまでの煩わしい嫉妬を考えると、あっけらかんと済ますことは出来ない。

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3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/15(土) 23:26:23.65 ID:dRzYrjA20

手に余る幸運を他の人にも分けられたら、良かったのかもしれない。妬まれてしまうのも、自分自身ばっかりが得をしているからなのだろう。
幸運を人に与える、という思考の時点で、なんだか驕り高ぶる億万長者のようで嫌になる。


最近はアイドルとして人と触れ合うことで、幸運を多くの人に分けようと奮闘しているものの、かけだしの身では立てる舞台が少ない。生まれつきの運は、まだアイドル活動に作用していないようだ。

どうすれば、みんなが幸せになれるのか。

そんなことをつらつらと考えていた矢先のことだった。

人の幸運が見えるようになった。




4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/15(土) 23:27:11.30 ID:dRzYrjA20

46。

母親の頭上に、数字がふわふわ浮いていた。数字の向こう側が透けて見えるが、目を凝らさなくても読み取れる。

朝特有の寝ぼけた頭には、怪現象の処理は難しかった。最先端の温度計による賜物か、それなら熱があるのかな、そうは見えなかったな。お母さん何付けてるんだろう、と開ききらない目をこすりながら洗面所へ向かう。

薬品臭い冷水を顔全体に染み渡らせる。顔を上げて鏡を見ると、私の頭上にも母と同じような数字が。

「えっ!?」

つい、素っ頓狂な声を上げてしまう。水の刺激で冴えた頭は、ようやく異常を認知し始めたらしい。私に与えられた数字は「100」だ。母より大きい値であることだけは分かる。しかしそのことが良いことなのか、高ければ強いのか。

「茄子―、どうしたー?」

「い、いやなんでもない」

私を心配する母の声に、慌てて返す。例の黒い奴が出たと騒ぐことも考えたが、それで母がこちらに来られても混乱を広げるだけだと、下手なごまかしはせず黙ることにした。沈黙は金。

その目論見は成功したようで、母はそれ以上何も言ってこなかった。


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