【モバマス】P「土をかぶったプリンセス」

2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/15(土) 20:07:35.46 ID:+jykf0ly0

1.

誕生日、ってのを手放しで喜べなくなったのは、一体いつからだったろう。二十歳になったときは酒と煙草の解禁に小躍りしたものだが、それ以降は歳を重ねる、ともすれば死に近づく自分が嫌になる気持ちの方が強かったように思う。

生まれ落ちてから三十を数えた年は、年初からロクなことがなかった。
前年末に買った宝くじは四桁の当たりすらなかった。政権が代わって酒税と煙草税が上がった。春頃についでとばかりに消費税も上がった。さして給料が上がる訳でもない昇進を果たし、責任が増した。好きな球団はクライマックス・シリーズに進むこともできなかった。
挙げ始めれば止まらないほどに散々だった。

三十になるその日、誕生日を祝う人はいなかった。親元から離れて十年以上が経っていたし、自分で家族を作る努力もしていなかった。男やもめの職場の同僚には、そんな可愛げのあることをしてくれる奴はいなかった。交友のある人たちもまた同様だ。

ただ、たまたまのプレゼントをしてきた友人がいた。昔からの付き合いのある男だ。こちらの誕生日を祝う意図はなかったんだろうが、奇しくもそれはその日だった。
渡されたのは、一枚の薄っぺらな紙。
履歴書だった。

「人手不足なんだろ? こいつ、雇ってやってくれねえかな」
続きを読む