渋谷凛「今はまだ子供だけど」

1:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/03/20(月) 19:59:28.40 ID:MgFaGPwuO

「ん......ぅ、ん......」

吐息を漏らしながらぎゅうっと。顔を、柔らかくて温かい目の前の壁へと押し付ける。

ぐりぐり、あまり大きくなりすぎないよう控えめに鼻を。すりすり、目立つような動きにならないよう気を付けながら頬を。ぎゅっと、ぎゅうっと、顔を押し付けて密着する。

すると、声。

そこと私の顔との間で行き場を無くして閉じ込められた生暖かい空気。それに口許をじんわり濡らされつつ、普段なら不快でしかないはずのその感覚をむしろ喜びながら私が恍惚としていると、周りからいくつかの声。

驚いたような、微笑ましいような、羨むような、いくつかのいろいろな声。

それが響いた。

この部屋の中。事務所の大人組にとってはすっかり行き付けらしい居酒屋の、十人くらいまでならゆったり寛げそうな個室の中。

私と、プロデューサーと。それから何人かの大人組と。事務所の人間だけの個室の中へ、ざわめくみたいにいくつかの声が上がって響き渡る。

視界は真っ暗。顔は強く押し付けているし、そもそも目だって閉じている。

でも、それでも分かる。

そんな状態の今でもはっきり分かる。その声は......その視線も、何もかも全部が、きっと私へ向けられているんだろうなってこと。

私へ――プロデューサーのあぐらの上に頭を乗せて、そのままお腹の辺りへ深く深く顔を埋める私へ、向けられているんだろうなって。


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