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【アイマスSS】如月千早「冬の桜」

1: ◆uYNNmHkuwIgM 2017/02/25(土) 00:15:32.31 ID:mE80kCkL0



2月の月末の休日。

私はある人と旅行に出かけました。

休日こそが営業日の職なので罪悪感を覚えますが、プロデューサーは笑顔で了承してくれました。

2: ◆uYNNmHkuwIgM 2017/02/25(土) 00:17:03.39 ID:mE80kCkL0



新幹線と電車で2時間ほどの旅。あまり長くはないのですが、他愛もない会話さえ私たちには難しく、半ばで会話は尽きてしまいました。

ガタゴト揺れる車内、ぼんやり窓の外を見ると木々の合間合間に小さな家が見えます。


ここに住んでる人たちは日々どんなことを思ってるのでしょう?

ひっきりなしに訪れる騒音に、眉を顰めているのでしょうか?

それともその音に慣れてしまって、心地よく耳を傾けているのでしょうか?

普段の食べ物はどこに買いに行くのでしょう?

少なくとも車は必要だと思います。

でも、住んでいるのが車を運転するのは難しい高齢者だったら?


私の知らない暮らしに想いを馳せていると、車内のアナウンスが目的地の駅名を告げたようで、慌てて降りる準備をします。

同行者も何か物思いにふけっていたようで、慌てて荷物をまとめるのが見えます。2人で忘れ物がないのを確認し、電車をあとにします。

3: ◆uYNNmHkuwIgM 2017/02/25(土) 00:17:51.44 ID:mE80kCkL0



駅を出ると冷たい風がぴゅーっと吹き抜けました。思ったより寒くて1つ身震いすると、心配そうな声で同行者が言います。

千種「千早、寒いならこれを使いなさい」

そう言って差し伸べてくれたのは使い捨てカイロでした。それを受け取るとじんわりと温かさが伝わります。

千早「ありがとう......お母さん」

4: ◆uYNNmHkuwIgM 2017/02/25(土) 00:19:29.46 ID:mE80kCkL0



2人で隣に並んで目的地まで歩きます。こうして一緒に歩くのは何年ぶりでしょうか?

いつもの速さで歩く私。時折、隣のお母さんがそそっと早歩きをするのが見えます。

そんな仕草をみて気がつきました。私の記憶の中のお母さんの歩幅と、隣を歩くお母さんの歩幅が全く違うことを。

半歩後ろでお母さんの背中を追いかけていた記憶の中の私と、半歩後ろで私の背中を追いかけているお母さん。

1つ1つ記憶と今をすり合わせるよう、歩く速さを少しづつお母さんの歩幅に合わせます。

チクタクと頭の中でメトロノームのリズムを調整して、ちょうどいいリズムを探って。

5: ◆uYNNmHkuwIgM 2017/02/25(土) 00:21:11.28 ID:mE80kCkL0



################

そうこうしているうちに目的地に着きました。

そこでは満開の桜が私たちを出迎えてくれました。

千種「本当に、こんな季節に桜が咲いてる...」

私はお腹のあたりでブラブラ揺れているカメラを取り出し、シャッターを切ります。

メモリを再生してたった今切り取った風景を呼び出すと、今感じている寒さと乖離した温かな風景が広がっていました。

千早「うん。すごく綺麗...」

 

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