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食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」その4

334 : 乾杯 ◆ziwzYr641k - 2013/09/26 22:22:55.64 VsZoKgEE0 573/711

――施設内部


「つまりは現実逃避ってやつだ。能力を使うコツはおろか、自分が能力者だってことまですっかり忘れちまってる」

お手上げだとばかりに白衣の男が肩をすくめた。
だが、その目だけは、上条当麻の一挙一動をつぶさに観察している。

「見た目は同じでも中身はまったくの別人格。元の記憶を思い出させようとあれこれ尋ねてみたが、徒労に終わった。
どころか、自分が何故研究員たちから狙われ、今こうして捕えられているのかすら、覚えちゃいねえのさ」

「……お前ら、食蜂にいったい何を」

「オイオイ、ちっと考えりゃわかるだろ? やつの能力を利用しようと躍起になってる俺らが、んな真似して何の得があるってんだぁ?」

男は暗にこういっていた。
食蜂操祈は自ら無能力者になったのだと。

絶句した上条に、男はお構いなしに喋り続けた。

曰く、いまの食蜂操祈は常盤台の学生ではなく――そもそも常盤台中学という存在すら知らない。
曰く、ホテルに滞在中の、とある中学校に転入しようと考えている外部の人間。
曰く、彼女が能力開発で得たはずの莫大な収入は、亡くなった両親が残してくれた遺産ということになっている。

曰く、この学園都市には昔から親しい、友達以上彼氏未満の少年がいる。


全てを聞き終えた上条が、よろめくように後ずさった。

335 : 乾杯 ◆ziwzYr641k - 2013/09/26 22:27:46.57 VsZoKgEE0 574/711

ふと、病院で布束が告げたことを思い出す。自分で自分に洗脳をかけた可能性について。
疑似の記憶を植え付けたのだとしたら、洗脳が滞っていることも有り得ると彼女は言っていた。
しかし、それはあくまでセキュリティを高めるための処置だったはず。

ここに来て、布束の仮説が正しかったということを再認識することはできた。
食蜂を自由に命令に従わせることができる状態なら、ここまで潜入される以前に誰かしら敵方の駒として洗脳されていたはずだからだ。
それはそれでいい。
だが、食蜂操祈は何ゆえに、わざわざ無能力者としての記憶を捏造したのか。
その理由に一つ、心当たりはあった。
認めたくない心当たりが。

「考えてみりゃ、何て事はない話だ。あの小娘は自分が、あるいは自分の持つ能力が、嫌いだったんだろうなぁ」

「……嫌いだって? ……どうしてんなことがテメエに」

「いやぁ、わかりきった話じゃねえかぁ? 周囲の人間から疎まれ、恐れられるのが当たり前の人生を送ってきたんだぜ? 人間不信以上に、自己不信に陥っていたって何ら不思議じゃねえだろぉ?」

聞いているうちに顔が歪みそうになるのを、上条は歯を食い縛って耐えた。
自分の右手が、今までになく重みを増した気がした。

もし食蜂に施された洗脳を幻想殺しで解いてしまえば。
彼女は全ての記憶を取り戻し、そして再び自分の能力と向き合わなくてはならなくなる。

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