食蜂「好きって言わせてみせるわぁ」その4







334 : 乾杯 ◆ziwzYr641k - 2013/09/26 22:22:55.64 VsZoKgEE0 573/711

――施設内部


「つまりは現実逃避ってやつだ。能力を使うコツはおろか、自分が能力者だってことまですっかり忘れちまってる」

お手上げだとばかりに白衣の男が肩をすくめた。
だが、その目だけは、上条当麻の一挙一動をつぶさに観察している。

「見た目は同じでも中身はまったくの別人格。元の記憶を思い出させようとあれこれ尋ねてみたが、徒労に終わった。
どころか、自分が何故研究員たちから狙われ、今こうして捕えられているのかすら、覚えちゃいねえのさ」

「......お前ら、食蜂にいったい何を」

「オイオイ、ちっと考えりゃわかるだろ? やつの能力を利用しようと躍起になってる俺らが、んな真似して何の得があるってんだぁ?」

男は暗にこういっていた。
食蜂操祈は自ら無能力者になったのだと。

絶句した上条に、男はお構いなしに喋り続けた。

曰く、いまの食蜂操祈は常盤台の学生ではなく――そもそも常盤台中学という存在すら知らない。
曰く、ホテルに滞在中の、とある中学校に転入しようと考えている外部の人間。
曰く、彼女が能力開発で得たはずの莫大な収入は、亡くなった両親が残してくれた遺産ということになっている。

曰く、この学園都市には昔から親しい、友達以上彼氏未満の少年がいる。


全てを聞き終えた上条が、よろめくように後ずさった。

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