高峯のあ「牛丼並……4つでいいかしら?」 2/2

380:☆1/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:25:46.53 ID:IA7e4saJ0

──
────
──────
【大型家電量販店】


周子「お?」

泰葉「あっ、周子さん?」

周子「その声は泰葉ちゃんだ。奇遇だね」ヒラヒラ

泰葉「お疲れ様です」ペコリ

周子「サングラスまでして、厳重装備だねー。お買いもの?」

泰葉「え、えぇ。一応」

周子「あ、立ち止まると目に付くから、歩こーか」

泰葉「はい」

周子「わざわざ街中に出向いて、何をお求めで?」

泰葉「えっと......」

泰葉「......WEBカメラと、あと周辺機器を」

周子「WEBカメラ?」

泰葉「ちょっと物入りで。あ、そうだ」

泰葉「あの......、楓さんと高峯さんを見ませんでした?」

周子「ん? 見てないけど.........ひょっとして、はぐれた?」

泰葉「......はい」


☆関連記事☆

381:☆2/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:28:05.60 ID:IA7e4saJ0


周子「連絡取れないの?」

泰葉「楓さんにはメールとラインを送りましたが、如何せん返信が無く......」

泰葉「高峯さんに至っては、アドレスすら知らず......。今度しっかり聞いておきます」

周子「あたしが連絡しといたげるよ。まあ、なんとかなるでしょー」

泰葉「すみません、本当に」

泰葉「あの二人って、奥手なのに無謀なチャレンジ精神を持ってるから、余計に心配なんですよ。私は通販で買おうって言ったのに......」

泰葉「人目もあるし.........、高峯さんなんてこの前、街中で周囲から声をかけられようと躍起になっていたんですよ? アイドルという自身の立場を省みず」

泰葉「......誰にも気付かれなかったって、嘆いてましたけど」

周子「仮にも、泰葉ちゃんなんて全国民が知ってるレベルのアイドルだしねぇ」

周子「(.........?)」チラッ

周子「ンー......?」ジー

周子「.........ん、ん、んっ??」

泰葉「えっ、どうしました?」


━━━━━━━━━━
【マッサージチェア売り場】


中年男「ぐう......ぐー......」

爺「...グゴー.........グゴー......」

女性「すぅ.........」

楓「...............Zzz...」

婆「すかー......、きゅるる......」


泰葉&周子「......」

泰葉「な、何の違和感も無くまぎれてる......、異常なフィット感......」

周子「気持ち良さそうに寝てるねー。あたしも隣、行っていいかな?」

泰葉「あれでも彼女、アイドルなんですよ? 例え素顔でも......」

泰葉「ランクは一番下で、最近体力と歌唱力に悩んでて」

泰葉「必死に頑張ってる、立派なアイドルなんですよ?」プルプル

周子「泰葉ちゃん。とりあえず涙拭こ?」


━━━━5分後━━━━


泰葉「とりあえず楓さんはあのまま放置として......」

周子「のあさんは.........うぅん、やっぱり連絡来ないね」

泰葉「あの人、何のためにスマホ買ったんでしょう」

周子「そりゃあ、遊ぶためでしょー。最近グラブってるって言ってたよ」

泰葉「へ、へえ......」


382:☆3/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:29:12.02 ID:IA7e4saJ0


泰葉「高峯さんが行きそうな場所とか、心当たり有りませんか?」

周子「んー......そだね」


『───本日も○○日本総本店池袋にお越しいただき、誠にありがとうございます』


周子「のあさんはサバイバルとかで例えると、誰にも空腹を悟られずひっそりと死んでいくタイプの人だから......」

周子「ぶらぶら行動せず、一か所でじっとしている可能性が高いね」

泰葉「周子さん? なんでそんな陰惨な例えをするんですか?」


『───お客様に、迷子のお呼び出しを致します』


周子「あるいは、どこかに助けを求めるかも。ラインに気付いていないとしたら......」

周子「......ウン。他人には無関心に映りような人だけど、信用が出来る人には、案外もうベッタリな人だから」

泰葉「(そうなんだ......)」


『───ライトベージュのハンチング帽に、サングラス、白のスカーチョをお召しになった15、6歳くらいの女の子で』


泰葉「............あの、周子さん」

周子「んー?」

泰葉「なんか......すごく嫌な予感が.........」


『───ぱっつん前髪のショートボブがとても魅力的な、長崎県からお越しの』

『───岡崎泰葉ちゃん』


泰葉「」

周子「(あぁ......)」


『───お母様の、のあ様がお探しになっています』

『────どなたかお見掛けになりましたら、近くのスタッフかインフォメーションセンターまで、お伝え下さい』


泰葉「わ、私だってアイドルなんですよッ!?」

泰葉「しかもこういう事されたら、結構シャレにならない問題になるレベルの!!!」

周子「お......落ちつこ? とりあえず......」


───ざわざわざわ
───ヒソヒソヒソヒソ...

───あれ、岡崎泰葉じゃない? ホンモノ?
───なんかの企画? やばっ、可愛い......


周子「とりあえず、写メ撮ってる人達に囲まれる前に、早くスタッフを探そう。保護して貰おう、場合によってはあたし達を」

泰葉「お連れ様のお呼び出しとかもう少しマシなのがあるでしょう!! 何で迷子案内なんですか!? 迷子になっているのは高峯さんじゃないんですか!? 何でですか!?」

泰葉「もおおぉーーーっっ!! だから嫌だったんですよ!!! だから嫌だったんですよぉ!!!!!」

周子「や、泰葉ちゃん......落ち着いて......もう少しボリュームさげて......」


☆つづく
──────
────
──


383:☆1/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:30:09.01 ID:IA7e4saJ0

──
────
──────
━━━━夜━━━━
【岡崎家】


のあ「さあ、始めましょうか」

のあ「動画の配信を」

泰葉「.........あの」

泰葉「道具を購入してから申し上げるのも、かなり気が引けますが」

泰葉「......やめませんか?」

のあ「............」

楓「(泰葉ちゃん、島ラー油取って下さい)」モグモグ

泰葉「(あ、ハイ)」

泰葉「高峯さん。えっと......」

のあ「なにかしら」

泰葉「私の空き部屋で行うのは別に構いません。ですが」

泰葉「プロデューサーさんも言ってましたが、録画の投稿ならまだしも、生配信というのは......些か危険すぎるかと」

泰葉「高峯さんが仰っていた、例の秘策。顔を隠すというのは、情報の秘匿に関して良い点を突いているとは思うのですが......」

のあ「......」

泰葉「せめて録画にしてはいかがですか?」

のあ「............」

泰葉「............」

楓「(泰葉ちゃん、きざみにんにく取って下さい)」パクパク

泰葉「(あ、ハイ)」

のあ「.........生がいい」

泰葉「......本気ですね?」

楓「そうですよ。私も春巻きとビールは生が好きです」

泰葉「楓さんは静かにご飯食べてて下さい」

楓「はい」


384:☆2/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:31:13.55 ID:IA7e4saJ0


泰葉「高峯さん、不快に感じたら申し訳ないです。ですが、これは貴女達が心配だから言わせていただきますが......」

泰葉「目的はお金稼ぎですか? 得られる報酬に比べて、リスクが大きすぎて見合ってない気もしますが」

のあ「......いいわ」

のあ「危険を孕むとしても、打算を超え、手を伸ばしたい物がある」

泰葉「......それは?」

のあ「経験よ」

のあ「岡崎泰葉.........アイドルの完成形に近い貴女を形成する経験、根幹となる意志。それは他者に誘起されたものではなく......」

のあ「紆余曲折の歩みも、粒粒辛苦の努力も、貴女が貴女足り得る要素は全て、貴女自身が選び培った賜物」

のあ「失敗からの成功も、挫折からの躍進も」

のあ「非凡な才能では如何ともし難い、私と貴女の絶対的な差。それが経験」

泰葉「......」

のあ「結果を得るには、何をしたいか、そのために何をするか......、ということ」

のあ「......泰葉」

のあ「私はまだアイドルとしてマイナスなの。せめて、ゼロに向かい歩みたい」

楓「......」モグモグ

のあ「貴女でさえ......、巷ではトップアイドルに最も近いと称される岡崎泰葉でさえ、かつて力と名声を渇望し、形振り構わず焦がれていた時期が存在した筈」

泰葉「(............)」

のあ「......」

泰葉「高峯さん」

のあ「......なに?」

泰葉「言いたいことは大体分りました。ただ......」

泰葉「私にも......、楓さんや周子さんと一緒にいる時と同じように」

泰葉「ミステリアスでも、サイバネティックビューティーでも、寡黙の女王でもなく」

泰葉「背伸びしないで、貴女の言葉で、普通に接してくれませんか」

泰葉「......お願いです」

のあ「(............)」

のあ「.........つまり、試せるうちに、色々挑戦しておきたいの」

楓「生配信も公開するくらいなら、公開しないようにやったほうが良いと言いますし。公開先に立たず、ですね」モグモグ

泰葉「それを言うなら後悔先に立たず、です」

泰葉「(この人達は、“やらずに後悔しないように、やってから、やったことを後悔する”タイプなんだよなぁ.........うぅん)」

泰葉「(んんん〜............っ)」

泰葉「...................................................分かりました。協力しましょう」

のあ「泰葉......」

楓「泰葉ちゃん、ねぎなんばん取って下さい」

泰葉「あ、ハイ」

のあ「......ありがとう、泰葉」

泰葉「いいえ。けれど、見守る立場としていくつか条件があります」

のあ&楓「(───ッ!?)」

のあ「ミ......、見守る立場??」

楓「あ、あれ......泰葉ちゃんも一緒に撮りましょうよ?」

泰葉「私も生配信に映る体で進んでいた計画だったんですか!? じゃあこの話はナシですよ!!!」


385:☆3/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:32:33.24 ID:IA7e4saJ0


のあ「ソ......そんなっ......!」

泰葉「そんなに目を見開くほどショックでした!?」

楓「私達二人で、生配信......!? む、無理に決まってるじゃないですか!!」

楓「この......今、私が食べてる冷奴の角で岩を砕くくらいに無理な話ですよ!!!」モグモグ

泰葉「清々しいほどに言い切りましたね!!」

楓「あるいは、街往く5000人に高垣楓の名前を尋ねて『これ誰か知ってますか?』と質問して正答者が出るくらいに.........、む、む、無理な話ですよぉ......っ」グスッ

泰葉「な、泣かないで下さい.........その、自分をあまり卑下しないで......」

泰葉「というか、貴女達のその無謀なチャレンジ精神の推進力は一体何なんですか?」

のあ「お金欲しいし......」

泰葉「さっきアイドルとして経験がどうのとか綺麗ごと言ってたくせに、結局浅ましい欲望じゃないですか!!」

のあ「ふ、副産物的な......」

泰葉「(副産物!?)」

のあ「ヤ、泰葉も............、い、一緒に......!」オロオロ

泰葉「(ぐっ......、寡黙の女王から一転。怯える子犬に......)」

楓「うぅぅ〜......。や、泰葉ちゃん〜......っ」ポロポロ

泰葉「(〜〜〜〜〜〜〜っっ............!!)」


━━━━━━━━━━
?自分の素顔と本名は公開しない
?個人情報が特定されるような単語を言わない
?事務所の情報も曝け出さない
?泰葉は映らない所でサポートする
?やめたくなったら即申し出る
?有意義で生産的な活動を極力心がける
?泰葉が不在時は絶対に配信しない
?危険な事は絶対にしない
━━━━━━━━━━


泰葉「これが最低ラインです!! プライバシーを考慮した、最低の!!」

泰葉「いいですね? どれか一つでも破ったら......」

泰葉「......ほんとに、ちょっと叱りますから」

のあ「あ、あの......せめて?は......」オロオロ

のあ「だ、だって......この活動は、一種の宣伝だし......」

泰葉「それは、ある程度慣れてからにしましょう。勿論、事務所の許可が下りてからの話ですが」

楓「や、泰葉ちゃん.........その、?はどうにかなりません?」オロオロ

楓「げ、ゲーム実況とかしたいなぁって......、その、ちょっぴり思ってたり..................む、無理ですよね、やっぱり」

のあ「......楓」ポン

楓「のあさん......っ」

のあ「乗り越えましょう、この苦境を。立ち向かいましょう、この困難に」

のあ「底なしの絶望を強いられる経験が、私達を更なる高みへと導く糧となるわ」

泰葉「いや私は別に絶望を強いてるわけじゃないですからね!? お二人の自由意思に任せますから!!!」


☆つづく
──────
────
──


386:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:36:25.10 ID:IA7e4saJ0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


のあ「......」

楓「......」

泰葉『......』

楓「えっと......」

楓「これ、いつ配信始まるんですか?」

泰葉『もう始まってますよ』

のあ&楓「!?」

楓「えっ......、え、ええっ!?」

のあ「ソ、そうなの?」

泰葉『はい』

のあ「......こ、...ッ」

のあ「こんにちは......っ」ドキドキ

楓「こんにちは〜♪」

のあ&楓「............」

のあ&楓「........................」


『★来場者数:0』


のあ&楓「...............................................................」

のあ「......エッ?」

楓「えっと、あの」

楓「でも......これ、“来場者数”がゼロですよ?」

泰葉『はい。まだ、誰も見ていない状態ですね』

のあ「...」

楓「...」

泰葉『お二人とも? これはあくまで例えですが』

泰葉『新人アイドルのお披露目、デビューライブ。場所は路上・地下街・専用劇場・ライブハウスなど様々ですが』

泰葉『......観客がゼロというのは、とりわけ珍しい話ではありません』

楓「そ、そうなんですか?」

泰葉『はい。頑張りましょう』

のあ「そうね」

楓「頑張りましょう♪」

泰葉「(私達、何やってるんだろう)」


387:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:37:04.27 ID:IA7e4saJ0


楓「......ちなみに、お二人はどうだったんですか?」

泰葉『? どうとは......』

楓「あ、デビューです」

泰葉「偉そうに言った手前、非常に恐縮ですが......私は......」

泰葉「アイドルに転向する以前から子役として知名度があったので......、まあそれなりの会場で歌わせていただきました」

のあ「所属して数か月後にプロデューサーの肝いりで、人気のある子達のライブに割り込ませて貰ったわ」

楓「......っ!」

楓「わ、私は............」

楓「アイドルとして活動を初め1年、まだデビューはしていませんが......」

楓「......ッ!?」

楓「ま、まさか......!」

のあ&泰葉「??」

楓「まさか、これが! この動画生配信が私のデビューライブっ!?」

泰葉「(!?)」

のあ「......しかも、全国ネット」

楓「全国ネット!! なのに、来場者ゼロ!?」

楓「コ、この異常事態は、一体......」ガクガク

楓「ハァー、ハァー、ハァー......!!」プルプル

泰葉『落ち着いてください! 気をしっかり!!』

泰葉『まずこの配信が楓さんのデビューライブではないですよ。歌うつもりですか?』

楓「ハァー、ハァー......っ!」プルプル

楓「キ、希望とあらば......っ」

泰葉「(そうなんだ......)」

のあ「落ち着いて。深呼吸を」

楓「は、はぁ〜〜っ......すうぅっ............っ」

楓「はぁ〜〜〜〜〜っ......」

楓「......ネットでデビューしねぇとダメだからねっ、と」

楓「............、ふうっ」

楓「取り乱してすみません。落ち着きました」フー

泰葉『途中のダジャレも気を整えるルーティンの一部なんですか!?』

楓「はい」

泰葉『つ、つくづく大物ですね、貴女は......』

楓「ふふふっ。今はまだ歌も踊りも未熟で、写真撮影のお仕事でしか目立てませんが」

楓「いずれは、世紀末歌姫とでも名を轟かせて見せますよ」

のあ「......頑張りましょう、共に」←【Gランク】

楓「はいっ」←【Gランク】

泰葉「(いけるのかなぁ。この動画配信)」←【Bランク】


『★来場者数:0』


☆つづく
──────
────
──


389:☆1/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/07(土) 23:59:05.51 ID:IA7e4saJ0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


『★来場者数:0』


泰葉『ひょっとこのお面、少しずれてますよ』

楓「あ、ハイ」

泰葉『ネコのお面の向きも若干直してください』

のあ「......」クイッ

泰葉『あと、持って来ていただいたマカロン、すごく美味しいです。ありがとうございます』パクパク

楓「なんか、心なしか楽しそうじゃないですか?」

楓「いつもよりトーンが高いですよ?」

泰葉『いつも撮られる側なので、こういう裏方って.........』

泰葉『なんか......良いですね。新鮮というか』

楓「普段は裏方のスタッフさん達の気持ちが分りますか?」

のあ「“目から鱗が落ちる”ね」

泰葉『そういう使い方なんですか? その慣用句』

泰葉『ともかく、私はカメラの死角でお菓子を食べているので、お二人は生配信に集中してください』

のあ「......私もマカロン食べたい」

泰葉『そのネコのお面の口部分から入りますかね? それとも一旦、フレームアウトします?』モグモグ

のあ「......頑張れば、入る」


━━━━━━━━━━
★放送タイトル:【初見歓迎】現役アイドル兼、デキる大人達による雑談【現役アイドル】

★内容:ひとつ屋根の下に住む、現役アイドルのデキる大人達による放送です。悩み相談歓迎。現役アイドルです。

★コミュニティ:ひとつ屋根の下放送局
━━━━━━━━━━


楓「......誰も来ませんねぇ」

のあ「そうね」モグモグ

楓「これでもかと“現役アイドル”というキャッチーな単語をプッシュしたのに」

泰葉「(撒き餌が胡散臭すぎる気もするけど......黙っておこう)」

泰葉「(まぁ、これだけアイドルアイドルと書いたら、興味本位で来る人はいるでしょう)」


390:注: *はそれぞれ違う人です ☆2/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:00:48.80 ID:LjSZ5DkF0


泰葉『職業を公開したからには、素性は厳守ですよ』

泰葉『いいですね?』

楓「はぁい」

楓「(......!!)」

楓「アッ!!! えっ!!?」

泰葉『?』

楓「あ、あ、あっ......!!!」


『★来場者数:1』


のあ&泰葉「!!!」

楓「ぁ、あ、い、いっ.........!!」

楓「い、いらっしゃいませっ!! よよよようこそおこしくださいました!!!」

のあ「...」

楓「あの、その、あ、アゥ、オゥ......!」オロオロ

泰葉『落ち着いてください! オープンしたてのレストランの従業員みたいになってますよ!』

のあ「...」


『来場者数:4』


楓「ヒ、ヒエッ......」

のあ「...」


*{ なにこれ}

*{ 現役アイドル?}

*{ こんにちは}


楓「」

泰葉『まずは自己紹介して、挨拶ですよ。今回の目的は雑談ですから、落ち着いてください』

のあ「...」

泰葉「(高峯さん、平静だなぁ。楓さんはあんなにオロオロしてるのに)」

楓「ア、あのぅ......、えっとぉ......」ソワソワ

泰葉『自己紹介ですよ、自己紹介』


*{ 画面外にもう一人いる?}


泰葉『っ!』

のあ「......あの」ボソッ

楓&泰葉「!!」


391:☆3/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:04:12.28 ID:LjSZ5DkF0


のあ「......自己紹介」

のあ「............タ」

のあ「高峯、のあです......ハイ」


*{ たかみねのあ?}

*{ 日本人?}

*{ なんか聞いたことあるような......}


楓「」

泰葉「(ば、ばかぁーーーーっっ!!!)」

【×?自分の素顔と本名は公開しない】

のあ「(あっ!!!)」

泰葉「(ガチガチに緊張してるじゃないですか!!)」

のあ「ア、あぁ......」プルプル

のあ「た、たかッ、高峯の、あ、あっ............」


のあ「た、高峯乃アーデスハイト......です」


泰葉「(高峯乃アーデスハイト!?)」


*{ ハーフさんっぽい}

*{ 納得}

*{ すげえ名前}


泰葉「(ごまかせた!?)」

のあ「よ、よろしく......」ドキドキ


*{ よろしくおねがいします}

*{ よろしくー}

*{ 銀髪綺麗だなぁ}


のあ「(......)」ポワポワ

のあ「......ま、満足したっ」

泰葉『名乗っただけでですか!?』


☆つづく
──────
────
──


392:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:05:48.99 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


泰葉『この流れで、名乗っちゃいましょう』

楓「そ、そうですね」

楓「えっと、ネコのお面を付けた高峯乃さんの隣にいる、ひょっとこのお面を被ったのが......」

楓「................................................................................................」

楓「......か、カエデです。芸名です............」

泰葉『......』


*{ かえで? カエデ?}

*{ ありがちなハンドルネーム}

*{ †楓†}

*{ ていうか二人とも背でかくね?}


泰葉「(ごまかせた......本名なのに)」

楓「あ、は、ハイ。身長は171あります」

のあ「......私は168」

泰葉「(何だろう、尋問を受けてる人みたい。特に楓さん)」

泰葉『あの、お二人とも』

泰葉『そういうデータも正直に答えないで、少しぼかしましょう』


*{ で、画面外にいるのは誰ですか?}

*{ みんな本当にアイドルなの?}


泰葉「(ウッ......!)」

楓「そ、そうですね。正真正銘アイドルですよ」

のあ「......」

楓「私と高峯乃さんはほぼ同期ですが、カメラの後ろでお菓子を食べながら眺めているのは......その」

楓「......私達より年下なのに世渡り上手で、優しくて、面倒見の良い、とっても頼れる子なんです」

泰葉『......』


393:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:07:52.98 ID:LjSZ5DkF0


楓「今回の配信に関しては流石に厳しい意見も頂きましたが......」

楓「でもそれは私達の事を本気で案じてくれている裏返しだと気付いて、やっぱりいい子だなぁって、しみじみ思いました」

のあ「......私達の無理に何でも付き合ってくれて、料理も作ってくれる」

のあ「......迷子になった時に、迷子センターまで駆けつけてくれたし」

のあ「......隣人に迷惑を掛けたとき、代わりに謝ってくれた」

のあ「......部屋をゲr......、汚しても、嫌な顔せず掃除してくれた」

のあ「......隣人の接待を、代わりにこなしてくれたし」

のあ「......スマホ選びも結局手伝ってくれたし、マッサージもしてくれる」

のあ「......最近では、食べたいメニューを言えば作ってくれるようになった」

のあ「......正に、至れり尽くせり」

楓「絵に描いたような良い子ですねぇ。うんうん」

泰葉「(......ん???)」


*{ 使える子だ}

*{ 使える年下だ}

*{ で、誰なの?}


楓「いえいえ、確かに年下ですが芸歴は私達より遥かに上で、大先輩なんですよ? そうですよね? やす───」

泰葉『わ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ーーーーーーーーーっっっ!!!!!』ガタッ!

のあ&楓「ヒッ!!」


*{ やす?}

*{ 部下の刑事とか後輩設定でありそうな名前}

*{ よわそう}

*{ 湘北高校2年かな?}

*{ おいヤス、パン買って来いよ}


泰葉「」

楓「そ、そうです......、年下のヤスちゃんです......。じ、事情で画面には映りませんが......」

楓「ミ、みなさん、よろしくお願いします」


*{ 高峯乃さん、カエデさん、よろしく}

*{ ついでにヤス}

*{ おいヤス、ちょっとジャンプしてみろよ}


泰葉「(わ、私の扱いって一体.........)」


☆つづく
──────
────
──

※高峯のあ......高峯乃(高峯乃アーデスハイト)、高垣楓......カエデ、岡崎泰葉......ヤス、視聴者......*(複数人)
※表記は特に変えませんが、呼び合う時に上記のハンドルネームを使用します


394:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:08:50.27 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


楓「......それで」

のあ「......」ドキドキ

楓「自己紹介も終わりましたし、これから何をしましょうか」


*{ そこから?}

*{ 雑談をしましょう}


楓「!! で、ですね! おはなし、おはなしを......」

のあ「............」

楓「............」

のあ「......イ、いい天気ね」

楓「ソ、そうですね」

楓「.....................」

のあ「.....................」

楓「......フ、フヘヘ......」プルプル

のあ「ヒ、フヒ.........」プルプル

泰葉『......』

楓「..............................」

のあ「..............................」

楓「.........................................................................................................」

のあ「.........................................................................................................」


楓「ヤ、ヤスちゃん......」グスッ

泰葉『お二人だけで完結するのではなく、視聴している方も交えてみては如何でしょうか』

のあ「......成る程」

楓「......じ、じゃあ誰か、何か話したい事とかありますか?」


396:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:17:25.64 ID:LjSZ5DkF0


*{ お趣味は?}


楓「趣味」

のあ「趣味は......」

楓「.........」

のあ「......色々」

楓「.....................」

のあ「.....................」

楓「......ヒ、ヒヘヘ......」プルプル

のあ「フ、フヘッ......」プルプル

泰葉「(会話の引き出しが乏しい......)」

のあ&楓「..................」

泰葉『お......、終わりですか? もう』

楓「................................................」

のあ「................................................」

のあ「......そうね」

楓「今日は、かなり皆さんとお喋りできた気がします」フー

泰葉『私の時間間隔がおかしいんですか? あれっ?』

泰葉『まだ10分しか経ってないですよ?』

のあ「10分......」

楓「いえ、じゅうぶんでしょう」

泰葉『不十分ですよ!!』

楓「......十分だけに。ふふっ」

泰葉『分かりづらいです』


*{ おつかれさまー}

*{ 今度は顔見せてください}

*{ おつです}


のあ「......疲れた」

のあ「泰葉。スムージーが飲みたい」ゴロン

泰葉「無理ですよ。売ってる店なんて知りませんし」

のあ「......コンビニ」

楓「あっ、この前みんなで池袋の家電量販店に行ったときに、5000円でハンディブレンダー買いましたよ♪」

楓「上の棚に置いておきました。えっへん」

のあ「......果物も色々買っておいた」

泰葉「そ、そうなんですか? いつの間に............じゃあ、ちょっと待っていて下さい」

のあ&楓「はぁい」


☆つづく
──────
────
──


397:☆1/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:20:05.06 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家】


のあ「......」チュー

楓「このスムージー、チョコバナナ味ですか?」

泰葉「はい。レシピが同梱されていました。バナナとココアと牛乳で簡単に作れます」

のあ「......美味しい」チュー

楓「ほろ苦くて、でもバナナの甘みと香りがしっかり感じられて、すごい元気になりそうな味です♪」チュー

泰葉「ありがとうございます。さて、それで......」

泰葉「続けます? 今後の配信」

のあ「......続けるわ」

泰葉「そうですか」

泰葉「内容はどうします? 同じく雑談でいいですか?」

楓「今回の配信で、かなり要領が掴めましたね」

泰葉「そうですか?」

のあ「......簡単な物ね」

泰葉「(二人とも、お面で顔は見えなかったけど.........結構あたふたしていたような)」

のあ「......ただ」

楓「??」

のあ「......私と楓だと些か、協調性という名の鮮やかさが不足しているわ」

泰葉「鮮やかさ?」

泰葉「つまり......?」

のあ「......」

のあ「不器用な私と楓と視聴者の間をフォローしてくれる、潤滑油のような助っ人が欲しい」

泰葉「潤滑油......助っ人」

泰葉「ホント、いつも突拍子もないことを言いますね」

楓「一番は、泰葉ちゃんが居てくれたらいいんですけど」チュー

泰葉「......すみません。楽しそうで何よりですが、私も自信がないので、私以外でお願いします」


398:☆2/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:21:04.07 ID:LjSZ5DkF0


━━━━後日━━━━
【岡崎家 空き部屋】


泰葉「さて、あと1時間後に放送予定ですが」

泰葉「結局今日もお二人で良いんですね?」

のあ「......ん」

楓「ああ、助っ人の件でしょうか?」

泰葉「提案ですが、しばらく二人で慣らした方が良いと思いますよ。まだ2回目なのに誰かに頼っていたら、今後の活動が危ぶまれるというか」

泰葉「方向性・地盤を固めた方が得策かと」

楓「一理あるかもしれませんね。そもそも、配信に映るという事は......」

楓「泰葉ちゃんの部屋に来るという事でもあり、ある程度親しい間柄で、私達の関係を知っている人に限られてきますし」

のあ「......そうなるわね」

泰葉「となると、当て嵌まる人選はプロデューサーさんくらいしか......」

楓「それは......」

のあ「ちょっと......」

泰葉「お面の上からでも露骨に嫌そうな表情が伝わってきました......」

のあ「......だって、男の人だし」

楓「そもそも、プロデューサーさんに秘密で配信してるわけですし......」

のあ「(........................)」


のあ「(......♪)」


のあ「(......♪♪♪)」


のあ「!!!!!!!」


のあ「っ!!」ガタッ

泰葉「えっ?」

楓「のあさん? どうしました?」


399:☆3/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:23:15.41 ID:LjSZ5DkF0


のあ「ちょっ、あっ......!」ガタガタ

楓&泰葉「??」

のあ「ス、少し待っていて頂戴。既知の間柄で、かつ私達の関係と部屋を把握していて......」

のあ「助っ人として考え得る限りの、最大の適任者がいたわ」

のあ「あと1時間。配信までに連れてくる」バッ!

楓「あ、はーい......???」

泰葉「い、行ってらっしゃい。気を付けてくださいね」


のあ「(ふ、フフフ......♪)」ワクワク

のあ「(周子ちゃんが居たわ。私達のお部屋事情を知っていて、そして安心して喋れて、フォローが上手そうで......)」

のあ「(......信頼できる子が。ふふっ、今なら事務所にいるはず♪ 迎えに行こう)」

のあ「(く......、靴履きづらっ......!)」ガタガタ

のあ「(おろしたてだからかな? 微妙にサイズがあってないし土踏まずが痛い............あ、焦っちゃダメ、高揚を抑えて......)」ガタガタガタ

のあ「(あ。先にメールを送ろうかな、この前アドレス分かったし)」ガタガタガタガタ

のあ「(よし、準備完了っ)」スタッ

のあ「(〜〜〜♪♪)」ガチャ

のあ「(〜〜〜〜〜...♪)」バタン

のあ「(......♪)」スタスタ


時子「............」


のあ「ヒ、ヒエッ......」


━━━━5分後━━━━
【岡崎家 空き部屋】


のあ「...」

楓「...」

時子「......」

泰葉「(まずいですよ......)」

☆つづく
──────
────
──


400:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:32:07.02 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


時子「珍妙な事をやっているわね」

のあ「イ、いえ......」

楓「ハ、はい......」

時子「動画配信? なに、コレ生放送なの?」

泰葉「そ、そうですね」

時子「目的は、浅ましい欲に塗れた小銭稼ぎってトコが関の山かしら」

のあ「ソノ、一応......、自分達の宣伝を名目で......っ」

楓「オ、お金は......、あくまで人気の指標として......」

時子「ふぅん」

のあ「(......ヤ、泰葉)」チラッ

泰葉「(は、はい?)」

楓「(ワ、私達......その、お肌のシンデレラタイムなので帰っていいですか?)」ビクビク

泰葉「(露骨に逃げないで下さい!!)」

泰葉「(お願いします!! 吉野家や漫画喫茶では置いて行かれましたが、もう私を一人にしないで下さいッ!!)」ギュウウゥ!

楓「(ア、アバラががががっ......!!)」ギュウゥゥ!

泰葉「(高峯さん......、何でですか? なんで時子さんが適任者なんですか?)」

楓「(適任者というより独裁者では......)」

のあ「(ヤ、止むを得ない事情があったのよ)」


〜〜〜〜10分前〜〜〜〜
【玄関先】

のあ『ヒ、ヒエッ......』

時子『奇遇ね』

のあ『ア、ハ、............』オロオロ

時子『これから買い物かしら?』

のあ『イ、いいえ、アノ............』ガクガク

時子『......ハァ? なに?』

のあ『ソノ、あの............』プルプル

時子『......なに。何かやましいことでもあるのかしら?』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


泰葉「(愚直すぎませんか!?)」

楓「(ごまかせたのに......)」

のあ「(ス、すみまセン...)」


401:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:33:15.76 ID:LjSZ5DkF0


時子「動画配信、ね」

時子「ああ......、そう言えばそんな課題もあったかしら。些末な事過ぎて、脳の片隅に追いやられていたわ」

のあ&楓「......?」

泰葉「??」

時子「......で」

時子「この放送内容の......、なにコレ」


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★放送タイトル:【初見歓迎】現役アイドル兼、デキる大人達による雑談【現役アイドル】

★内容:ひとつ屋根の下に住む、現役アイドルのデキる大人達による放送です。悩み相談歓迎。現役アイドルです。

★コミュニティ:ひとつ屋根の下放送局
━━━━━━━━━━


時子「私の見間違いという事では無いとは思うわ」

時子「“デキる大人達”という謳い文句だけ............些か解せないのだけれど」

時子「詳しく教えてくれるかしら」

楓「ソ、それは、ソノ......」モゴモゴ

のあ「私達......、二人の......」モゴモゴ

時子「なに?」

楓「アノ、そ、その......、す、少し盛ったカナー......と、お、思ったンデスが......」モゴモゴ

のあ「そ、ソウ.........、わ、私達......」モゴモゴ

時子「なに? 貴女達が?」

時子「人間の耳で聞き取れる周波数で話しなさい。不快すぎて蚊の飛ぶ音と間違えて」

時子「......思わず、叩きそうになったわ」

のあ&楓「ヒッ!」

時子「......デキる、大人?」ジー

のあ「ハ............ッ............そ、ソノ..................」プルプル

楓「エ、アァ......................................................」プルプル

時子「............」


のあ「ス、すみません......私達の事では、断じて無いです......っ」ポロポロ

楓「ごめんなさい.........調子に乗りました...............もう殺してください......」グスン

時子「(......)」

泰葉「(頑張って下さい、二人とも頑張って下さい......っ)」グスッ


☆つづく
──────
────
──


402:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:36:14.05 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


泰葉『はいっ、始まりましたー。“ひとつ屋根の下放送局”っ」

のあ「ハンバーガーは潰してから食べる派」

のあ「高峯乃アーデスハイトです」

楓「ハンバーガーはピクルスを抜いてもらう派!」

楓「カエデでーす♪」パチパチ

泰葉『ハンバーガーよりシェイクが好き派』

泰葉『画面外のヤスです』

のあ&楓「わーい」パチパチパチ

時子「............」


『★来場者:0』


のあ&楓「ゥグッ......」

泰葉『(厳しい)』

時子「ふぅん」

のあ「す、スミマセン......、スミマセン......」

楓「わ、私達が不甲斐無いばかりに.........に、睨まないで下さい」

時子「睨んでないけど」

時子「ただ」

時子「何故私に宛がわれたのが鬼の仮面なのか、説明をお願いできるかしら?」

泰葉『!!!!』

泰葉『ス、スミマセン.........節分の時のお面が偶然余ってて。というか、今はそれしか用意できず......』

泰葉『......も、申し訳ありません。に、睨まないで下さい』

時子「......睨んでないけど」


━━━━20分後━━━━


『★来場者:3』


*{ 一人増えてる}

*{ 女の子が3人。いいですねぇ}


時子「まあ、及第点じゃないかしら。貴女達にしてみれば」

泰葉『実は、先日もこのくらいの人数でした』

楓「あ、そうだ。自己紹介します? 鬼さんも」

時子「鬼さん?」ピクッ

楓「ヒッ! ご、ごめんなさい......」

泰葉『名前、どうしましょう?』

時子「さあ。観覧希望者ということにしておきなさい」


403:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:37:42.34 ID:LjSZ5DkF0


泰葉『ですが形式的に、一応お願いします』

時子「......仕方ないわね」

時子「財前時子よ。浅学菲才な豚でも、名前くらいは記憶できるでしょう」

時子「せいぜい覚えておきなさい」


*{ 財前時子?}

*{ 時子様?}

*{ 前に名古屋で一日署長やってたアイドル?}

*{ 不遜の女王、財前時子?}

*{ 待って、本物?}


【×?自分の素顔と本名は公開しない】
【×?個人情報が特定されるような単語を言わない】


泰葉『〜〜〜......ッ!!』ブンブンブンブン!!

時子「アァ? なによ......不様に涙を流して」

のあ&楓「...」

泰葉『(実名はまずいですよ! 何か、何か別の名前を......お願いします、お願いします......っ!!)』

時子「..................」


時子「......同姓同名よ。悪いかしら」

時子「そのアイドルの物真似とか.........やってる」


*{ 同姓同名かー}

*{ 声と口調が本物そっくり}

*{ よろしく}


泰葉「(ごまかせた!? なんで!?)」

のあ&楓「(いい人達だなぁ......)」ポワポワ


☆つづく
──────
────
──


404:☆1/4 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:40:09.75 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


時子「で」

時子「配信内容としては、雑談と悩み相談だったかしら?」

泰葉『“悩み相談”?』

楓「“悩み相談”......ですか?」

時子「書いてあるじゃない」

時子「とうとう目も見えなくなったのかしら? その年にして老眼とは恐れ入るわ」


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★放送タイトル:【初見歓迎】現役アイドル兼、デキる大人達による雑談【現役アイドル】

★内容:ひとつ屋根の下に住む、現役アイドルのデキる大人達による放送です。悩み相談歓迎。現役アイドルです。

★コミュニティ:ひとつ屋根の下放送局
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泰葉『本当ですね』

楓「書いてありますね、確かに」

泰葉『あれ。この項目を考えたのって』チラッ

楓「あっ」チラッ

のあ「......」

のあ「......いいかな、と思って」

泰葉『相談に乗れるほど、人生経験が豊かなんですか?』

時子「一番年下のくせに随分と偉そうなクチ聞くわね、貴女」

泰葉『!!』

泰葉『確かに.........すみません、少し傲慢でした』


*{ ヤス自重しろ}

*{ 震えて眠れ}

*{ 靴を舐めろ}


泰葉『ここまで言われる程でした!?』

時子「舐めないの?」

泰葉『舐めませんよ!!』


405:☆2/4 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:43:01.55 ID:LjSZ5DkF0


のあ「悩み相談......、出来る」

のあ「何故なら、私はデキる大人だから」

のあ「デキる大人は、後輩や周囲の人からの相談をよく受け持つもの」

のあ「......私も然り」

泰葉『が、頑張って下さい』

楓「ハイ、じゃあ1番の方〜?」


*{ 彼女が出来ません}

*{ 就職先が決まりません}

*{ 嫌いな上司との関係について}

*{ 車が欲しいです}

*{ 知らない女性に認知を依頼されました}

*{ 悩みがないのが悩み......、かな}


楓「ぁっ、ちょ.........ぁっ」アセアセ

楓「イ、1番の方............み、皆いっぺんに言わないで......っ」オロオロ

泰葉『じゃあ最初に流れてきたコメントを拾いましょう。“彼女が出来ません”』

のあ「......代表的、かつ典型的な相談ね」

のあ「実は、私も......同じ悩みを持っているわ」

泰葉『そうなんですか?』

時子「なら、今のコメントを書いた相談依頼者と結婚すればいいじゃない」

時子「ハイ解決」パン

のあ「す、スピード解決......!」

楓「で、デキるッ......!」

泰葉『こういうのはデキるじゃなくて、なげやりって言うんです!』

楓「というより、ウチの事務所では滅多に聞かないですねぇ。アイドルやタレントの恋愛事情」

泰葉『むしろ聞こえたら大問題かと思いますが......、というか......』

泰葉『カエデさん。興味をお持ちなんですか?』

楓「ふふふっ、聞く分には♪」

泰葉『んー......』

泰葉『ウチの事務所は......、まあ、プロデューサーがアレですから』

のあ&楓&時子「アレ?」

泰葉『知りませんか? 今度本人に聞いてみると良いですよ』

時子「......ホモなのかしら」

楓「あー」

泰葉『本人の名誉と沽券のために言いますが、ソッチではないです!』


*{ 勿体付けんな}

*{ 早く言え、シメるぞ}

*{ おいヤス、マガジン買って来いよ}


泰葉『あ、あの.........わ、私の扱い悪くないですか? 気のせいですか......?』プルプル


406:☆3/4 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:45:07.42 ID:LjSZ5DkF0


のあ「......とにかく」

のあ「私も興味があるわ」

楓「詳しく聞いてもいいですか?」

のあ「ええ。いぶ───......グッ!!」

のあ「.........じ、事務所の知り合いの女の子に恋愛映画を勧められて、何本か拝見した」

のあ「青春って、感無量ね」

楓「なるほど、学園ラブコメですか」

のあ「もし仕事で、今後私が若さ迸る青春作品に出演できるのなら......」

のあ「自分はヒロインではなく.........その脇役、主役の友人役」

のあ「全ての事情を察して俯瞰的で達観しているオーラを嫌というほど醸し出しながら、クドい言い回しで後押しする、いかにもピエロな役を演じたい」

泰葉『準主演、助演的な立ち位置の役ですね?』

楓「あぁ、アレですね。電話したら、とりあえず目当ての女子のデータを事細かに教えてくれる情報通のキャラ」

泰葉『いえ、それはよく分かりませんが......』

時子「目指すなら、主演でいいじゃない」

時子「何故、敢えて二番手に甘んずるのか理解に苦しむわ」

のあ「......理由は、様々」

のあ「まず、主演を全う出来る自信がない」

泰葉『それはみんな同じですよ』

のあ「あと、もう24だし」

時子「なら、四捨五入すれば二十じゃない」

時子「ちなみに私も二十」

泰葉『私も二十ですね』

楓「年齢は関係ありませんよ高峯乃さん♪ 私だって............」

楓「(.......................................)」

楓「.................................さ、三十......ッ!?」

時子「ヤス。飲み物」

泰葉『あ、ハイ』

のあ「あと.........恥ずかしいわ」

時子「何が?」

のあ「キスシーン」

時子「......ちょっと、笑わせないでよ。まさかとは思うけれど、その年で初心なのかしら?」

楓「(......)」

のあ「極薄のラップはあるにしろ、色情に耽る状況で平常心を保てる自信が無い」

楓&泰葉&時子「(ラップ......?)」

*{ ラップとは一体}

*{ そうか、ああいうシーンってラップしてたのか}

*{ 流石は高峯乃さん。お詳しい}


407:☆4/4 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:47:09.48 ID:LjSZ5DkF0


泰葉『現実でも恋愛経験は?』

のあ「............」

のあ「な、ない......ですね」


*{ アイドルだ!}

*{ 高峯乃さんは本物のアイドルだ!}

*{ 穢れを知らずに純粋なままでいて}


のあ「青春には憧憬の念を抱けど、もはや叶わぬ望み」

のあ「......だから、巡り合わせを切に望むわ」

泰葉『まあ......、よく皆さん「社会人になるとそういう出逢いの機会が全然無い」と嘆いてますね』

楓「私この前、さな────......ゴホッ!」

楓「ふ、婦警さんと一緒に相席居酒屋に行きましたよ!」

のあ「えっ」

楓「フフフ......、相席の男の人に沢山奢ってもらいましたっ!」

時子「色気より食い気ね」

泰葉『花より団子とも言いますね』

のあ「か、楓......っ! こ、今度一緒に行きましょう?」

のあ「わ、私も、リア充っぽいことをしてみたい」

泰葉『!!!』

泰葉『だ、ダメですよ高峯乃さん! カエデさんの場合は婦警さんという強靭な味方が居ましたが......』

泰葉『貴女達の場合は、その......、あの............』

時子「ハッキリ言いなさい」


*{ そうだそうだ}

*{ 何がいけないのかな? んー??}

*{ おいヤス、ちょっと金貸せよ}


泰葉『グッ......!』

泰葉『高峯乃さん! 男の人って、貴女が想像しているより遥かに怖いんですからね!』

のあ「......でも、合コンとかしてみたいわ」

時子「私も興味はあるわね。下卑た会合で、どんな面ぶら下げた豚がいるのか拝見したいものね」

泰葉『あぁ、まあ時子さんが一緒なら......安心ですね』

時子「どういう意味よ」


楓「あれっ......」

楓「これ、悩み相談になってますか?」

☆つづく
──────
────
──


408:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:53:19.84 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


泰葉『先程は......』

泰葉『なんか、逆に高峯乃さんが相談者の立場でしたね、ウン』

のあ「さあ、どんどん行きましょう」

泰葉『待って下さい? どっちの立場で行くつもりですか?』


**{ むしろ皆さんはその業界にいて、例えばどんな悩み事とかあるんですか?}


楓「悩み事?」

泰葉『んー......』

時子「......」

のあ「あ」

のあ「はい、はい」

泰葉『ハイ高峯乃さん、どうぞ?』

のあ「......事務所の皆に、よく“ロボット”と噂されています」


*{ ろ、ロボット?}

*{ 機械的な受け答えとか、そういうこと?}

*{ 表情が硬いとか仕草が強張ってるとかそんな感じじゃない?}

*{ まるで意味が分からん}


泰葉『(し、視聴者も混乱してる)』

楓「(のあさん、まだ気にしてたんですね......)」

時子「あぁ。私も昔よく言われてたわ」

泰葉『そうなんですか?』

時子「ロボットではないけれど“顔面凶器”とか、かしら」

泰葉『そ、それは..................へ、へえ......』

楓「はい、私も昔あります。“親父ギャグの人”とか」

泰葉『それは確実に自己紹介が原因だと思います。第一印象がアレでしたものね、楓さんの場合(第4作参照)』

のあ「......貴女は?」

泰葉『そうですね......、私は......』

泰葉『うぅん.........』

泰葉『ん〜〜〜〜っ..............................』

楓「わ、わかめちゃん」

のあ「ブローノ・ブチャラティ」

時子「失敗前髪」

泰葉「(し、失敬な......ッ!!)」プルプル


409:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:54:19.28 ID:LjSZ5DkF0


**{ 高峯さん、それは決して悪口じゃないですよ}


のあ「......知っているわ」

のあ「好奇の関心で、皆は私を無機質な例えで称したと」

のあ「少し衝撃だったけれど......、今は慣れたわ」


**{ 痛みに慣れというのはありません。貴女がそれを負の印象としてとらえていたのなら}

**{ 事務所のみんなとの一方的な遺恨は、貴女の胸にしこりとして留まり続けます}

**{ 悪気はないにせよ、貴女がそれを厭わしく感じているのなら}

**{ 少しずつでも、それを正直に打ち明けるべきです}


のあ「......」

楓「(や、泰葉ちゃん? これは......?)」

泰葉「(悩み相談ですよ。高峯さんが相談者の)」

時子「ヤス。お腹空いたわ」

泰葉『あ、ハイ。じゃあ何か持ってきます』

のあ「......いいえ、負の印象ではない」

のあ「自分の事を客観的に捉える、好機と私は考えた」


**{ ............}


のあ「これからも、私は変わらず皆と接するわ」

のあ「けれど、それは.........皆に媚び諂い、己を歪め、迎合するわけではない」

のあ「この事務所に所属するまで、私は、幾度となく似たような経験をしたことがある」

のあ「......今回は、変化を受け入れると決めただけ」


**{ 高峯さん}

**{ それが貴女の考えならば、尊重します}

**{ ただ、一人で抱え込むのはやはり良くないと思うので、事務所の仲間を頼ることも大事ですよ?}

**{ おそらく事務所では、きっと貴女の事を姉のように慕っている人がいると思います}

**{ そういう子の申告を快く受け入れて頂ければ、必ず力になってくれるはずです}

**{ 少しずつ、自分を出していきましょう}


泰葉『(..................???)』

のあ「ええ。覚えておくわ」

楓「では、次の悩み相談に行ってみましょうか」

時子「......」モグモグ

泰葉『(なんだろう、この謎の違和感は......)』

のあ「次の悩みは............」

のあ「............吉野家とその他牛丼チェーンの圧倒的な実力差について」


☆つづく
──────
────
──


410:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:56:06.41 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【アパート前】


楓「のあさーん♪」ヒラヒラ

楓「お待たせしました、では行きましょうか♪」

のあ「......急だったけれど、良かったかしら」

楓「いえいえ、構いませんよ」

楓「前々からのあさんと、二人きりで行ってみたいと思っていたんですよ」

楓「ご案内しますよ、小料理がとっても美味しい居酒屋を♪」


━━━━10分後━━━━
【居酒屋】


楓「それにしても、いかがですか? 生配信」

のあ「......少し慣れたら、録画した動画も投稿していきたい」

のあ「......コミュニティも人が増えると良いけど」

楓「安定した収入まで、まだ先は長そうですねー」

店員「お待たせいたしました、こちら生二つとお通しです」

楓「ぁっ、はーい」

のあ「(......♪)」

楓「では、乾杯しますか♪」

ppppppp......♪


のあ&楓「!」

のあ「メール......」

楓「ですね。二人同時に」

のあ「......泰葉からだわ」

のあ「さっきの、悩み相談の件かしら」

楓「あぁ......、吉野家以外の牛丼チェーンが好きな人を軒並み敵に回しそうな内容でしたからね」

のあ「......怒っているのかしら」

楓「どれどれ?」カチャ


【★差出人:岡崎泰葉】
【★件名:no title】
【2回目の配信、お疲れ様でした。
あの後、時子さんがこたつに籠って、帰ってくれません。
お二人とも、一度戻ってきてください。お願いします】


のあ「...」

楓「ミ、見てない............私は何も見てない......っ」プルプル


411:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:57:27.84 ID:LjSZ5DkF0


━━━━その頃━━━━
【岡崎家】


泰葉「...」

時子「さっき、配信の時に出してくれたアレ」

時子「貴女が作ったのかしら」

泰葉「ハ、はい」

時子「パンプキンプディング」

泰葉「はい......たまたま作ったのが置いてあって......」

泰葉「その、はい。えっと......、その、私、料理ってあまり得意じゃなくて......」オロオロ

泰葉「その、あの、一度桃華ちゃんと薫ちゃんと三人で子供向け番組で料理を披露する企画で、その、自信が無く......」

泰葉「収録が終わった後も、練習を続けてる次第で......」オロオロ

時子「......」

時子「貴女」

時子「これから、夜はどうするつもりかしら」

泰葉「な、何か出来合いのものを作ります...」

時子「............」

時子「なら、私の味覚で評価をしてあげるわ」

泰葉「(───!!!?)」

時子「のど乾いた」

時子「なにか出して」

泰葉「ァ、あ、は、ハイッ!!」

泰葉「(!? 、......??)」


━━━━一方━━━━
【居酒屋】


のあ「(............)」ピッ

楓「の、のあさん......??」

のあ「......」スッ

のあ「乾杯」

楓「!!!!」

楓「か......っ!」

楓「かんぱーーいっ♪ わああああぁーーーーーーーーーっ!!!」カチャ!!

のあ「い、イエー......」


☆つづく
──────
────
──


412:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 00:59:05.79 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
━━━━後日━━━━
【岡崎家】


のあ「はぁ...」

楓「ふぅ...」

泰葉「どうしましたか、深いため息なんて吐いて」

のあ&楓「............」


のあ「生配信」

のあ「......やることが尽きたわ」


泰葉「はぁ、そのことですか」カチャ

のあ「ッ!?」

泰葉「ハイ、これ紅茶です。ドイツの老舗メーカー、ロンネフェルトのダージリンらしいですよ。時子さんから頂きました」

楓「り......リアクションが薄い!?」

泰葉「えっ?」

楓「き、緊急事態ですよ!? まだ2回しか生配信してないのに!!」

泰葉「想定の範囲内ですよ」

泰葉「そもそも発案から実行に移すまで短かったので、見切り発車の企画だとは察していましたが」

のあ「ち、違う。スランプなだけよ」

泰葉「絶好調の時がありましたか?」

楓「むぐぅ......」

泰葉「少し落ち着きましょう。焦っても何も始まらないですよ」

泰葉「むしろ、少し休止してみては如何ですか?」

のあ「お、お金が......、動画収入がっ」

泰葉「不安定な収益を当てにしなくても、地道にお仕事でやりくりしましょうよ。ね?」

泰葉「そんなに入用なんですか?」

のあ「が、ガスと電気が止まる......」

泰葉「けっこう深刻ですね!! 何故そこまで放置していたんですか!?」


414:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:00:34.51 ID:LjSZ5DkF0


━━━━1分後━━━━


楓「この紅茶、美味しいですね」ズズッ

のあ「......高貴な香りがする」ズズッ

泰葉「別に私は、配信を続けること自体に異議があるワケではないのですが......」

泰葉「あくまでお二人が主体なので、お二人に頑張っていただかないと」

のあ「ん......」

楓「知恵を絞りましょう。何かいい案がありますか?」

泰葉「そうですね......?」


━━━━━━━━━━
★放送タイトル:【初見歓迎】現役アイドル兼、デキる大人達による雑談【現役アイドル】

★内容:ひとつ屋根の下に住む、現役アイドルのデキる大人達による放送です。悩み相談歓迎。現役アイドルです。

★コミュニティ:ひとつ屋根の下放送局
━━━━━━━━━━


泰葉「第1回では、雑談をしましたね」

泰葉「第2回では、悩み相談を」

のあ「ええ」

楓「そうですね」

泰葉「あとは......」

泰葉「この、高峯さんが煽りを付けた“デキる”大人に目を向けてみては如何でしょう」

のあ「......つまり?」

泰葉「つまりは、その......理知的な一面や感心されるような女子力を披露するとか」

楓「デキる大人って、そういうものなんですかね?」

泰葉「わ、私に聞かれても。どうなんですか、高峯さん?」

のあ「......泰葉」

泰葉「はい?」

のあ「............それだわ」

泰葉「えっ?」


━━━━後日━━━━
【岡崎家 空き部屋】


泰葉『というワケで......』

泰葉『今回は雑談でもなく悩み相談でもなく......』

泰葉『お三方に、デキる大人度チェックをして頂きます.........ハイ』

時子「............」

時子「......狂ったのかしら?」

泰葉『ク、狂ってないです.........すみませんっ......』

のあ&楓「(......)」ドキドキ

☆つづく
──────
────
──


416:☆1/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:02:21.61 ID:LjSZ5DkF0

──
────
──────
【岡崎家 空き部屋】


『★来場者:8』


時子「......何かしら。この、打ち切り寸前のバラエティ番組が無駄な足掻きを見せているような不様なテコ入れは」

泰葉『ス、すみません...』

泰葉『今回の課題は全て公平性を期すため、私が考案させて頂きました』

時子「......別に良いけど」

時子「それより、何か甘い物ないかしら」

楓「は、ハイッ! ただいま持って参りますっ!」ガタッ

のあ「...」

泰葉『美しさやセンスや品の良さを醸し出す、凛とした所作』

泰葉『優しさや母性など、温かい包容力の一端を垣間見せる女子力』

泰葉『模範となる行動、一般常識、社交性』

泰葉『デキる大人であれば、皆さん当然備わっているかと思われます』

のあ「愚問ね」

楓「はいっ」

時子「......」サクサク


*{ カエデさんが凄いと予想}

*{ 楽しみ}

*{ 時子さん、物を食べてる時にちらっと見える唇がすごい綺麗}

*{ カエデさん頑張って}


泰葉『下馬評はカエデさんが一番ですね』

楓「えへへ......♪」

のあ「...」

時子「......」サクサク


*{ 時子さん、それ何食べてるんですか?}


時子「鳩サブレー」


417:☆2/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:03:43.98 ID:LjSZ5DkF0


泰葉『第一チェックは、“取り分け”です。ここにサラダとパスタを用意しました』

泰葉『これを上手に綺麗に、小皿で人数分取り分けてください』

泰葉『居酒屋や会食の場で、嫌というほどよく見る定番女子力アピールですね。ですがこれが意外と難しい』

泰葉『ちなみに、審査はご覧いただいている皆さんにお願いします。では、カエデさんから』

楓「はいっ! 居酒屋と言えば私ですっ!」

楓「では、いざっ......」スッ

泰葉『さあカエデさん、カトラリーから箸を選択して素早く盛り付けを行っていますが......』

楓「へ、ヘヘ......」ガタガタ

楓「.........ァ。アァ......」プルプル

楓「フ、フヘ......、ちょ、ちょっとむ、難しい、ですね......っ」パラパラ

泰葉『カットレタスが枯葉のようにテーブルに舞い落ち、パスタがするすると箸から滑り抜けていきます』

泰葉『盛り付けも.........、均等ではなくごちゃごちゃに混ざってしまって、もうレタスパスタのようになっています』

楓「み、ミニトマトはちゃんと一人ひとつで綺麗に分けられましたよ!」フフン


━━━━2分後━━━━


泰葉『元に戻しました。では次に時子さんお願いします』

時子「......」カチャ

泰葉『フォークとスプーンを器用に挟んで.........、あ、もうこの時点でカエデさんより女子力高いですね』

楓「!?」

泰葉『トングのようにして綺麗に分けて、しかも手早い』

時子「......はい、終わり」


*{ 時子さんの圧勝}

*{ 時子さん家庭的}

*{ 時子様素敵です}


泰葉『つ、次は高峯乃アーデスハイトさんです......一応』

のあ「......」


418:☆3/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:06:07.52 ID:LjSZ5DkF0


のあ「......」カチャ

泰葉『さあ、高峯乃さんはフォークを手に取りました』

のあ「(......)」

のあ「(............)」クルクル

楓「? パスタを巻き付けた?」

のあ「(............)」

のあ「............カエデ」

楓「は、はい?」

のあ「あーん」

楓「あ、あー......」パクッ

のあ「............」

楓「......」モグモグ

のあ「......どうかしら」

楓「お、美味しいです」

のあ「............そう」


*{ 高峯乃さん優勝で}

*{ 女子力関係ないけど、すごく良かったです}

**{ 私もあーんされたい}


時子「これ......、真面目にやらないほうがいいのかしら」

泰葉『ま、真面目にお願いします』


━━━━5分後━━━━


泰葉『第二チェック“食リポ”です』

楓「ま、また食べるんですか?」

泰葉『食べたのはカエデさんだけですね』

泰葉『食リポは芸能界で、誰もが一度は挑戦する道』

泰葉『グルメリポート、雑誌の紹介コラム、バラエティ企画などで多く経験する機会があるでしょう』

泰葉『その料理の味と魅力を、イメージを分かりやすく端的に伝えるのは実際かなりの技術と語彙力を要求されるでしょう』


419:☆4/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:10:24.62 ID:LjSZ5DkF0


泰葉『アイドルとして、皆さんも既に経験したことがあるのではないでしょうか?』

のあ「......ないわ」

楓「ないです」

時子「ええ」

泰葉『? 時子さんは意外ですね。割と多くの雑誌や海外ロケを行っていると耳にするので、そういった経験はお持ちかと思っていました』

時子「私のキャラで、ちまちまとした食リポは合わないわ」

泰葉『なるほど。言われてみれば』

楓「私、利き酒とかやってみたいです!」

のあ「......私も、利き肉とか興味あるわ」

泰葉『ああ、では高峯乃さんにちょうど良いものがあります』

のあ「えっ?」

泰葉『えっと......、ちょっと待っていて下さいね?』


━━━━1分後━━━━

ゴトッ!!
ゴトゴトッ!!


楓「......えっ」

時子「......」

のあ「!!」

楓「こ、これは何ですか? 冷凍の......」

泰葉『ご存じないですか?』

泰葉『3週間程前になりますか。とある4人組が、とある牛丼チェーンで16杯の牛丼を間違えて注文しました』

泰葉『1:1:1:13で割り当てられ、そのうち二人は自分の分を食べると猛ダッシュで帰宅』

泰葉『13杯分を食べることになった者も、3杯目の途中で断念し、店員にお願いし持ち帰ることに』

泰葉『そのうちもう一人は、その者に割り当てられた分の消化を手伝い、1時間ほど残ってくれました』

泰葉『その後、2日かけて7杯消費しましたが.........まだ3杯残っているんですよ』

泰葉『今日廃棄しようと思っていたんですが、如何ですか?』

楓「(......ぁっ)」

時子「それ、大丈夫なの?」

泰葉『品質は落ちていますが、冷凍したので問題ないかと......恐らく』

のあ「や、ヤス......まさか、これ......」

泰葉『......』

のあ「あ、貴女もついに“吉ラー”になったのね......!」

泰葉『吉ラー!?』

泰葉『違いますよ! これは以前、私達4人で行った時の残りです!!』

のあ「......あ」


(※テイクアウト牛丼の長期保存は味を損ね、冷凍でも3週間の保存は品質の保障が出来ません。絶対に真似をしないで下さい)


420:☆5/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:12:35.43 ID:LjSZ5DkF0


━━━━10分後━━━━


泰葉『解凍しました。ではまず、時子さんから』

時子「......」

時子「......こんな牛臭い物、食すに値しないわ」

泰葉『牛臭いと言われても......、これ牛丼ですから』

泰葉『では次、カエデさん行きましょう』

楓「っ!」パクッ

楓「ん〜っ!」モグモグ

楓「こ......、こんなに美味しいんですかぁっ!?」

泰葉「(わざとらしいリアクション)」

楓「えっとぉ、そうですねー......」

楓「あの......、え、あ、えー......」

楓「その............、牛肉の臭みが主張するわけでも無く、油っぽさが主張するわけでも無く、タレの奥深いコクが主張するわけでも無く、ご飯の優しい甘みが特に主張するわけでも無く」

泰葉『じゃあ一体何が主張するんですか!?』

楓「え、えぐみが」

泰葉『さっき美味しいって言ってましたよね!?』

泰葉『次は、高峯乃さん』

のあ「......」パクッ

のあ「............」モグモグ

楓&時子「(......)」

泰葉『いかがです?』

のあ「......当然、美味しいわ」モグモグモグ

のあ「厳選した素材は熟達の店員の腕を介し、丹念に煮込まれ柔らかくなった肉の旨味とタレの香りは、時を経過しても褪せることも無く......」

のあ「氷河期の凍土の如く、時代の至宝を遺すかのように保ち留めた泰葉の家の冷蔵庫は、驚愕の一言に尽きる」

泰葉『あ、ありがとうございます』

泰葉『......って何のリポートですか!? 冷蔵庫の性能!?』


*{ 頑張ってたカエデさんに一票}

*{ 冷凍でも三週間経ってるってヤバくない?}

*{ 3人とも、もう少しお面を上げてください}


のあ「......」モグモグ


421:☆6/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:15:18.04 ID:LjSZ5DkF0


━━━━10分後━━━━


泰葉『第三チェック“乾杯の音頭”』

泰葉『祝辞などと並び、こういった挨拶をスマートにこなしている大人を見ると』

泰葉『場数をこなしているなぁと、個人的には感心しちゃいます』

泰葉『去年の忘年会は留美さんが担当していましたね。実に簡潔で丁寧、かつ場の雰囲気に合わせた見事な挨拶でした』

のあ「忘年会?」

楓「あったんですか?」

時子「......」

泰葉『えっ?』

のあ&楓「呼ばれてない......」

泰葉「」

泰葉『ソ、その、今年は......私がしっかりお伝えしますよ』

のあ&楓「...」

泰葉『ではまず高峯乃さん、行ってみましょう』

のあ「ええ」

のあ「.........」

のあ「.....................」

のあ「たッ」

のあ「堪え難きを耐え、忍び難きを忍び......、以て万世の為に......その、あの......」プルプル

泰葉『お、重い.........その、もう少しマイルドに......』

泰葉『気を改めて二番手、時子さん。どうぞ』

時子「皆様、グラスをお持ちください」

泰葉「(じ、上品な優しい声色っ!! 違和感が......!)」

時子「皆様のお手元のグラスに注がれた赤ワインの量は今日この日、世界各国の紛争地帯で流されたと推定される血液と同量に調整されております。これの意味するところは、争いで失われた尊い犠牲を忘れてはならないというプロデューサーの配慮であると同時に、恒久の平和を───」

泰葉『小梅ちゃんがドン引きするくらいブラックすぎますよ!! 何の乾杯ですか!!!』

楓「では、次は私が行きますよ?」

泰葉『あ、ハイ。カエデさん、どうぞ?』

楓「さあ皆さんっ♪ 今日はビールをあびーるほど飲んで、飲んで、来年を楽しく迎えましょうっ♪」

楓「かんぱーいっ!」


*{ 楽しそうなので、カエデさん優勝}

*{ 学生のノリみたいだけど、むしろそれが良い}

*{ カエデさんダジャレ好きなんですか?}


泰葉「というより他二人が酷過ぎたので、相対的にカエデさんが良く見えたというべきでしょうか」

泰葉「では次に行ってみましょう」

楓「(......ッ?)」ギュルル...


423:☆7/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 01:19:06.44 ID:LjSZ5DkF0


━━━━10分後━━━━


泰葉『第四チェック“常識”クイズ』

泰葉『デキる社会人兼アイドルの皆さんなら完璧に備わっている、一般常識のクイズを出題します』

泰葉『早押しです。行きますよ?』

楓「はぁい♪」

時子「何を押すのよ」

泰葉『ス、すみません......、手上げでお願いします』

泰葉【問題。職場における基本的な行動『ホウ・レン・ソウ』、ホウは『報告』、レンは『連絡』、ではソウは?】

のあ「はい」

泰葉『高峯乃さん、どうぞ?』

のあ「騒動」

泰葉『ち、違います。ストライキでも起こす気ですか?』

楓「はいっ!」

泰葉『はい、カエデさん』

楓「騒然!」

泰葉『何が起こったんですか!?』

時子「......」スッ

泰葉『はい、時子さん』

時子「早期決着」

泰葉『だから何が起こったんですか!!?』

時子「相談」

泰葉「(ひ、ひょっとして時子さん.........二人に乗ってくれてます?)」

泰葉『正解です、では次の問題に行きましょう。これも先程と似たような問題です』

泰葉【問題。職場における基本的な心構え『3S』とは、『整理』『整頓』、ではあと一つは?】

時子「はい」

泰葉『どうぞ』

時子「殺処分」

泰葉『どこの殺伐とした職場ですか!!』

楓「はいっ!」

泰葉『カエデさん』

楓「酒」

泰葉『一息ついたんですね?』

のあ「はい」

泰葉『............はい、高峯乃さん』

のあ「さっぱりキレイ」

泰葉『ご長寿早押しクイズじゃないんですよコレ!?』


※その後、カエデが激しい腹痛を訴え、解散。原因は消費期限が切れた牛丼と判明。
ヤスが土下座し、時子はその様子を写真に収め、高峯乃アーデスハイトは外食に行きました

☆つづく
──────
────
──


439:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/01/08(日) 12:35:06.50 ID:VR7jmKaY0

>>438
それだったら、泰葉どんだけ嫌われてるんだよ


441:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:09:10.78 ID:NTIrI5li0

──
────
──────
【岡崎家】


楓「クラス会?」

泰葉「はい。明日」

のあ「......」

泰葉「同じクラスの人から誘われて、その......、仕事の関係で今まで碌に参加していなかったので」

泰葉「ビュッフェのお店で食事と聞きました」

泰葉「明日の夜は生配信の4回目の予定でしたが.........、すみません、延期という事でお願いできませんか?」

楓「いえいえ、そんな申し訳なさそうに謝らなくても......、ですよね、のあさん?」

のあ「ええ、勿論」

のあ「一期一会の時を大切に、その集会を優先するべきよ」

のあ「......精一杯、楽しんできなさい」

泰葉「は、はいっ!」

泰葉「......」

泰葉「(......?? 妙に聞き分けが良いなぁ......?)」


━━━1時間後━━━
【居酒屋】


楓「どうしましょう、明日」

のあ「......どうしようかしら」


442:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:10:49.38 ID:NTIrI5li0


店員「お待たせ致しました、こちらブリ刺しとたこわさです」

楓「ぁっ、はーい」

のあ「(......♪)」

楓「それで、配信ですが」

楓「泰葉ちゃんがいなければ、配信の進行はおろか、皆さんとの会話すらこなせる気がしません」

のあ「......確かに」

楓「あと、あの後に......」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

時子『いい暇潰しになったわ』

時子『個人的な用件も済ませたし、あとはこんな酔狂な事、勝手にやって頂戴』

時子『あと泰葉』

泰葉『は、はい?』

時子『たまに足を運ぶから。貴女の料理、少しだけ認めてあげるわ』

泰葉『はぁ......別に構いませ───』

泰葉『───ッ!?』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


楓「時子ちゃんも、もう配信者から卒業宣言してしまったし......」

のあ「んん......」

のあ「延期......、ではなく」

のあ「明日、私達ふたりだけでこなせないかしら」

楓「!!」


443:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:13:41.15 ID:NTIrI5li0


楓「だ、大丈夫ですか? だって泰葉ちゃんが、その......いない時には配信しないって約束を」

のあ「......大丈夫、問題ない」

のあ「大切なのは、歩もうとする勇気と意志よ」

のあ「人間という生物は知らない事象を畏怖し、畏れるからこそ想像を掻き立て、憧れを抱く」

のあ「そして畏れを振り払い、踏み出し、進化を続けてきた」

のあ「......楓」

のあ「私達にとって、今がその時ではないのかしら」

楓「のあさん......」

のあ「他者に頼らず、自立を目指し、経験を積み、力を呼び醒ます」

のあ「アイドルとしてまだまだ未熟な私達が殻を破り、光射す空へと飛び立つための.........今が、その一歩ではないのかしら」

楓「......分かりました」

楓「トップへの道を踏み出しましょう、のあさん! 未知への挑戦ですね!」

楓「道だけに!」


【×?泰葉は映らない所でサポートする】
【×?泰葉が不在時は絶対に配信しない】


━━━翌日・夜━━━
【岡崎家 空き部屋】


のあ「......」

楓「......」


『★来場者:2』


楓「“ひとつ屋根の下放送局”、始まりました」

楓「お相手は、修学旅行で名も無い温泉の饅頭を買っちゃう派」

楓「カエデと?」

のあ「修学旅行でバスを間違えちゃう派」

のあ「高峯乃アーデスハイトです」

のあ&楓「イエー」

パチパチパチパチ


*{ お疲れ様です}

*{ あれ、今日は二人ですか?}


のあ「不服かしら」

楓「今日は、私達だけでお送りいたします。皆さん、ゆっくりしていって下さいね♪」

のあ&楓「イエー」


444:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:16:40.20 ID:NTIrI5li0


━━━━その頃━━━━
【クラス会】


生徒A「みんな飲み物持ってきたー?」

生徒B「誰か音頭とって、音頭!」

生徒A「じゃあ.........折角だし、泰葉ちゃんいける?」

泰葉「私?」

生徒A「泰葉ちゃんならしっかりしてるし上手くできるかなぁって思ってさ、お願いだよ♪」

泰葉「え、えぇー......。こういうのはクラス委員の仕事じゃないの?」

生徒B「先輩、お願いしますっ! せんぱーいっ♪」

泰葉「馬鹿にしてない? もう......」

泰葉「えー......、おほんッ」

泰葉「......イ、いいの?」

生徒A「ウン。お願い」

泰葉「えー、今日はみんな、授業と部活お疲れさまでした」

泰葉「クラスの殆どの方が顔を見せていただいて、ありがとうございます。私も普段は参加できないことが多かったですが、今日は......、少しハメを外しても良いかなと思っています」

泰葉「時間は90分ですので、それまで思う存分楽しみましょう。でも、他のお客さんに迷惑をかけないようにね? じゃあコップを持ってー?」

泰葉「か、かんぱーい!」

───かんぱーい!!


泰葉「......」

泰葉「(えぇい、気にしていても仕方ないや。とりあえずあの二人の事は忘れて、楽しもう)」


━━━━一方━━━━
【岡崎家 空き部屋】


のあ&楓「かんぱーいっ!!」

カチン!
ゴクゴクゴク


楓「ふぅー」

のあ「......」

楓「美味しい芋焼酎ですねぇ」

のあ「そうね。カエデ、燻製出しましょう」

楓「良いんですかね? こんなフリーダムで」


*{ いいんです}

*{ これがデキる大人の飲酒実況なんです}

*{ ビール飲みたくなってきた}


のあ「......いつも、ヤスの前では飲んでいないから」

のあ「いない時くらい、良いでしょう」グビッ

楓「高峯乃さん、冷凍の磯部揚げも出しましょうか?」

のあ「そうね」クイッ


【×?有意義で生産的な活動を極力心がける】


445:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:19:05.20 ID:NTIrI5li0


*{ 酒飲んでる仕草が色っぽい}

*{ 猫とひょっとこのお面をつけていなければ相当な美人かもしれない}

*{ カオスな絵面}


のあ「......ふぅ」

のあ「お酒が入ると、会話もいける気がする」

楓「じゃ、じゃあ早速行きましょう! その......」

楓「な、なにを話しますか?」


*{ ずっと気になっていたけど、誰の部屋で撮影してるの}


楓「この部屋ですか?」

のあ「ヤスの部屋よ」


*{ ヤスのくせに滅茶苦茶整理してる}

*{ ヤスなら牢屋みたいに質素な部屋かと思ってた}


のあ「空気清浄機もあるし、おまけにいい匂いもする」

楓「私も部屋の掃除しようかな」

楓「ちなみに私の部屋はすぐ隣の隣、のあさんに至っては隣なんですよ?」


*{ 夢のようなアパートだ}

*{ 女子寮?}

*{ 近くに何か有名な建物とかありますか?}


のあ「都内のアパートよ」

楓「近くには......特に何もありませんね。行きつけの居酒屋と吉野家があります」

のあ「宇都宮線? 水戸線......?」

のあ「楓、分かる?」

楓「た、高崎線じゃなかったでしたっけ?」

楓「......ごめんなさい、全然分からないです」

のあ「おかわり頂戴」

楓「あ、ハイ」


【×?自分の素顔と本名は公開しない】
【×?個人情報が特定されるような単語を言わない】


446:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:22:00.26 ID:NTIrI5li0


━━━━その頃━━━━
【クラス会】


生徒B「ねえ、泰葉さん? なんか食リポとかやってよ」

泰葉「な、なんで?」

生徒B「イイじゃん♪ アイドルの仕事でそーいうのってやんないの?」

生徒C「輿水幸子とか姫川友紀とか小早川紗枝とかあの3人組、最近よくテレビでやってるよね」

生徒C「あと松本沙理奈と水木聖來の温泉巡りもこの前見たけど、食リポすっごい上手だったよ? ユルい雰囲気だったけど」

泰葉「私は......思い返すと、1回くらいしかないかも。食リポ体験って」

生徒B「マジで?」

泰葉「うん。他の人が言ってくれるというか......、私みたいなタイプはカメラに向けていい顔で美味しいって言っておけば周りはOKだから」

生徒B「うわー、ぶっちゃけるね」

泰葉「そ、そうかな。あの......オフレコでね?」


━━━━一方━━━━
【岡崎家 空き部屋】

のあ「ふぅ」

楓「もう一本開けちゃいますか、次は日本酒で♪」


*{ カエデさん、お酒強ぇ}

*{ 放送開始30分、すでに一升瓶が2本空いています}

*{ 本当にアイドルなのか?}


楓「アイドルですよ! しっけいなっ!」バンバン!

のあ「......暑くなってきたわ」

楓「あっ! その台詞の後に『脱いでいいですかぁ〜??』って頻繁に口にする子が、ウチの事務所にいます!」

楓「これで証拠になりますか、ね??」

のあ「......脱いでいいかしら」


*{ 脱ぎたがりって有名なアイドルだと、とときん?}

*{ そこってかなり大手の芸能プロダクションじゃないか、ひょっとして}

*{ 脱ぐのはダメです}


のあ「......」グビグビ

楓「うぅん.........他のアイドルの名前を出しても、私達自身がアイドルだという証拠には弱いですね」

楓「証明って難しい......」


【×?事務所の情報も曝け出さない】


448:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:24:27.46 ID:NTIrI5li0


のあ「カエデは酒が強いから、同じペースで飲むと参るわ」

楓「いえいえ、高峯乃さんも相当強いですよね。流石に機械と囁かれるだけあります」

のあ「私は......顔に出ないタイプだから」

のあ「取り繕えば外見からはあまり酔っていないかのように見えるけど、本当は頑張っているのよ」

楓「ああ、居ますよね。お酒の場で頑張っちゃうタイプ」

のあ「私は.........サバイバルで例えると、誰にも空腹を悟られずひっそりと死んでいくタイプの人間だから......」

のあ「......だから、内心は酔いが回って凄いことになっているわ」

楓「どんな感じですか?」

のあ「......い、言わない」

のあ「......というより」

のあ「予ねてから気懸りだったのだけれど」

のあ「貴女は......、事務所に多く飲み友達がいるわね」

楓「ええ、そうですね」

のあ「......どうやって、その.........作ったの?」

楓「のあさん......、高峯乃さん」

楓「確かに私は、貴女と同じく会話下手で、他人と接するのは得意ではありません」

楓「ですがお酒の場であれば別。お酒が入れば、もうこっちのものです」

のあ「......耳にしたことがある。楓は、お酒が入れば凄い楽しい人だと」

楓「委ねるんです。体をアルコールに」

楓「翌日になっていれば、何故か『私が居酒屋でフィーバーしていた』という身に覚えのない噂で持ち切りになっており......」

楓「周囲からは『また飲みに行きましょう』と勝手に誘われます。何故だかは、私もわかりません」

のあ「.........」

楓「参考になりましたか?」

のあ「......今度、実践してみるわ」


*{ ところで、二人の後ろの棚にある巨大な箱は何ですか??}


楓「箱?」クルッ

のあ「これは......」


449:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:26:07.70 ID:NTIrI5li0

━━━━その頃━━━━
【クラス会】


生徒C「泰葉って一人暮らしだっけ?」

泰葉「うん、そうだよ?」

生徒C「じゃあ自炊だ?」

泰葉「そうだね......? 最近は複雑な事情で自炊を超えた事をやってる、かな」

生徒C「自炊を超えた?」

泰葉「複数人分のご飯を作ってるよ」

生徒C「え、何それ」

泰葉「(あっ......これマズイかなぁ)」

生徒B「なになに!? 泰葉さん、男でも連れ込んだの!?」

泰葉「な、なに言ってるのッ!? 違うよ......」

生徒C「でも、その複数人分ってどういう事?」

生徒B「泰葉さんって、彼氏とかいないの? 事務所的にNG?」

泰葉「あー、アー......うん、えっと......」

泰葉「......」

泰葉「(............それにしても)」

泰葉「(あの二人、本当に大人しくしてるのかな......?)」


━━━━一方━━━━
【岡崎家 空き部屋】


楓「あっ! これってもしかして、泰葉ちゃんの誕生日用に高峯乃さんが買って贈った......」

楓「ウン十万した、特注ドールハウスですか?」

のあ「楓。ウン十万ではないわ」

楓「えっ......」

楓「ま、まさか.........ウン百万?」

のあ「十ウン万よ」

楓「十ウン万......!」

のあ「特注ビクトリアンドールハウスのフルセット、ミニチュア制作キットおよび、有名キッチンウェア製品社限定コレクション付き......」


*{ やすはちゃん? ヤス?}

*{ ドールハウスでやすはで十時愛梨(仮)と同じ事務所って、まさか岡崎泰葉?}

*{ マジで? 本物だとしたらこの放送ヤバいんだけど}

**{ いえいえ、冷静に考えてください? 名前を出すだけなら、嘘でも私達だってアイドルって言い張れますからね?}

*{ やっぱり顔出さないと証明になんないね}

*{ ちょっと録画しとく}


のあ&楓「!!!!!!!」


450:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:28:51.44 ID:NTIrI5li0


楓「ァ......」

楓「ちちち、ち、ち、違いますよ!!! おおお岡崎泰葉じゃないですよ!!」

楓「その、あの、えっと.........う、ウゥ......!」

のあ「この誕生日プレゼントは、(聞き間違えて)4月16日に渡したもの」

のあ「岡崎やしゅ、泰葉の誕生日は7月16日」

のあ「ここから導き出される結論は多分、全くの別人だという事。これが万物不変、世界の心理」

のあ「だから、録画もしないで欲しい」


*{ なぁんだ。別人か}

*{ 流石は高峯乃さん。アメリカ全土を平伏させるレベルの圧倒的な説得力}

*{ 紛らわしいなヤス}

*{ これだからヤスはどうしようもないな}

*{ 冷静に考えれば、あの準トップアイドルの岡崎泰葉がこんな放送をするわけが無かった}


のあ&楓「(ホッ......)」

楓「けれどヤスちゃん、これ開けたんでしょうか?」

のあ「......開けていないのなら、返金できるかしら」ボソッ

楓「えっ?」

のあ「ナ、何でもないわ」


*{ 見ちゃえ見ちゃえ}

*{ 十ウン万するドールハウス見てみたい}

*{ そもそも十ウン万ってそれ、伏せる意味ある?}


のあ「......」ガサゴソ

楓「あ。ヤスちゃん、これ既に開けてますね」

のあ「誘惑に勝てなかったのね」

のあ「(返金は無理かぁ......)」


451:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:31:11.92 ID:NTIrI5li0

━━━━その頃━━━━
【クラス会】


生徒A「泰葉ちゃんは、二次会に行くの? カラオケなんだけど」

泰葉「えっ、二次会? うーん......」

生徒B「聴きたい! 泰葉さんの生歌聴きたいっ!」

生徒B「東京ドームのチケットが一瞬で完売する泰葉さんのライブが観たいっ!」

泰葉「そ......その時のライブは他のみんなもいたし、私だけの力じゃないよ」

泰葉「く、クラスの人の前だと普通に恥ずかしいな。とりあえず、最後のデザート食べてから決めていい?」

生徒C「あ、話題逸らした。 絶対逃げる気だ」

泰葉「ここのデザート、本当においしいよ? 特にこのラズベリーのクレープが、ほら?」スッ

生徒B「あーん♪」

泰葉「ハイ、あーん」

生徒C「何その、自然な流れであーんに持っていく技」

生徒A「泰葉ちゃん、女子力高いね♪」

泰葉「これ女子力っていうのかな?」

生徒C「どちらかと言うと小悪魔では?」

泰葉「(カラオケ......、どうしよう。慣れてないから恥ずかしい)」

泰葉「......」

泰葉「(.........それより心配になってきた。あとで電話しようかな......?)」


━━━━一方━━━━
【岡崎家 空き部屋】


楓「ぶはぁッ!」

楓「フゥー......!」トクトクトク


*{ 放送開始80分、遂に5本目の一升瓶に手を付ける}

*{ ぶはぁッ!}

*{ アイドルという肩書が危ぶまれる}

*{ これは自称アイドルの可能性が}

*{ むしろ女性の品性が失われつつある}


のあ「......へえ」

のあ「随分と精巧な意匠を凝らしてるわね」

楓「すごいですねー、今のミニチュアって」

楓「キッチンウェアのミニチュア、光沢や細部まで、いかにも本物っぽいですね」

のあ「リアルね」

のあ「ヤスが熱中するのも、頷けるわ」

楓「この扉とか、ホラっ! 開きますよ!」

のあ「扉は流石に開くでしょう」


452:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:32:42.62 ID:NTIrI5li0


楓「んー......、じゃあ......」

楓「高峯乃さん高峯乃さん? この電燈ってスイッチが付いてますけど、明かりがつくんですか?」

のあ「......」カチッ

のあ&楓「!!」ビクッ!

楓「うわっ! つ、付きました!!」

のあ「細部まで忠実に再現してるわね」

のあ「......」ドキドキ

のあ「これ、説明書によれば......」

のあ「このキッチンウェアのミニチュア。実際の料理が出来るとか」

楓「じ、実際の料理!?」


*{ 十ウン万しただけはある}

*{ 要らんとこ拘ってるな}

*{ かがくのちからってすげー!}


楓「!! ほ、本当だ。実際に図解まである」

のあ「本物の具材を細かく切り分け、調理する。鍋料理にローストターキー、ドーナツまで......」

楓「でもコレ、鍋とかフライパンとかの調理器具は角砂糖より一回り大きいくらいで......」

楓「竈(かまど)なんて、寸法が名刺くらいの大きさしかありませんよ? 器用な指先のスキルが要求されますね」

楓「ご丁寧に小さな蝋燭までありますよ」

のあ「全て、耐熱性ということかしら」

楓「!? べ、ベビースターラーメンくらいの太さしかない蛇口から水まで出ますよ!?」

のあ「時代は変わるわね......」

楓「昔はリカちゃん人形でドロップキックさせあう位しか出来なかったのに......」

のあ&楓「.................................」


のあ「何か、作る?」

楓「......そうですね♪」

のあ「メニューは?」


*{ ベーコンエッグ}

*{ カレー}

*{ 野菜炒め}

*{ アップルパイ}


楓「ではリクエストの中で、簡単そうなベーコンエッグに挑戦してみましょうか♪」

のあ「早速取り掛かりましょう」ガサガサ


【×?危険な事は絶対にしない】


455:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:42:14.15 ID:EzvXO8Z30

━━━━その頃━━━━
【クラス会】


泰葉「(はー、お腹いっぱい)」

泰葉「(やっぱり同年代と話すと、落ち着くな......。すごい楽しかった)」

泰葉「(確かにあの二人も気懸りだけど、流石にいい大人だし......大丈夫だよね?)」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
楓『いえいえ、そんな申し訳なさそうに謝らなくても......、ですよね、のあさん?』

のあ『ええ、勿論。一期一会の時を大切に、その集会を優先するべきよ』

のあ『......精一杯、楽しんできなさい』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


泰葉「(............)」

生徒A「泰葉ちゃん」

生徒A「二次会は大半が行くって言ってて、部活で遅れていたメンバーも数人合流するみたい」

生徒A「カラオケ、どうする? 電話で予約しちゃうけど」

泰葉「あっ、そうだね。えっと......」

泰葉「(......................................................)」


━━━━一方━━━━
【岡崎家 空き部屋】


のあ「このフライパンの直径が2?だから、ベーコンは1.5×0.7くらいの面積で2枚」

のあ「......ハサミで」ジョキッ

楓「玉子は黄身を少量、白身も少量、実際の卵から採取」

楓「......スポイトを使用し、ミニ計量器に入れ、攪拌棒でそれぞれ混ぜる」プルプル

のあ「......」ジー

楓「......」ジー

楓「高峯乃さん。これ、私のほうがハードル高くないですか?」

のあ「ぁっ」

楓「......」ジー

のあ「......」ジー

楓「ぁうっ」

のあ「......」ジー

楓「......」ジー

のあ「ピンセットを器用に使って、極小の折り紙で折り鶴を折っている気分ね」

楓「極細の筆を巧みに使って、米粒に般若心経を書いてるみたいな気分です」

のあ「................................................................................................................................................」ジー

楓「...................................................................................................................................................」ジー


456:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:44:21.34 ID:EzvXO8Z30


のあ「ふぅ」

のあ「できた」

楓「できましたね」

のあ&楓「(正直疲れた......)」ハァ

のあ&楓「(途中で投げ出したかったけど、向こうが真剣だから言うに言えず......)」

のあ「......」

のあ「あとは実際に調理する工程に倣い......」

楓「油をひいて焼くだけですね!」

楓「それくらい私にも出来ますよ、任せてくださいっ!」バッ!

のあ「待って。火を灯さないと」カチッ

のあ「備え付けの蠟燭を付けて、竈の下に挿入して......」

楓「フライパンをセットして、約4分!」カコッ

楓「楽勝ですねっ、これなら毎日できそうです!」

のあ「ふぅ、......ふぅ」

のあ「完成まで暇ね」

楓「そうですねー」グビッ

のあ「カエデ。先ほどから、一つ気になっていたのだけれど」

楓「はい?」

のあ「ドールハウスというのは、可愛らしい人形があってこそ成立する玩具のはず」

のあ「実際の生活空間を切り取り、忠実精巧に調度品や内装を表現するのは良いのだけれど......如何せん、寂しいと感じないかしら」

楓「言われてみれば、確かに」

楓「ヤスちゃん、お人形さんは集めていないんでしょうか?」

のあ「ん......」ガサッ

楓「?」

のあ「不透明の袋が、箱の底にある」ガサガサ

のあ「中に何か入っている。開けてみるわ」

楓「(.........)」

楓「い、今思ったんですが......今更ですが......」

楓「私達ちょっと、好き勝手に物色し過ぎじゃないですかね?」

のあ「......確かに」ゴソゴソ


457:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:46:58.15 ID:EzvXO8Z30


楓「今度、お互いの部屋の合鍵をヤスちゃんに渡しましょうか」

楓「元から、そういう約束でしたしね」

のあ「......そうね」ガサゴソ

のあ「怒るかしら。今更だと」

楓「思い返せばよく許してくれてますよね。同じ事務所といえ、あかの他人ですよ?」

楓「合鍵預けて、留守中に勝手に上がり込まれて、好き勝手に物色されて」

のあ「おまけに、料理も振舞ってくれる。嫌な顔一つせず」

楓「......内心、疎ましく思っていたりして」

のあ「......」

のあ「なんだか、心が痛むわ」ゴソゴソ

のあ「もう少し私達も甘えず、節度と遠慮を覚えましょう。迷惑に思われたら......、少し辛いわ」

のあ「あの子も、まだ16歳の子供なんだし」ガサゴソ

楓「そうですね。頑張りましょう!」


───ガサッ


のあ「ほどけた。.........これは」

楓「あっ、お人形さんですね?」

のあ「そのようね、可愛らしい♪ 3体の───」ピタッ

のあ「..................」

楓「..................」

のあ「............................................................」

楓「............................................................」

のあ「..................................................................................................................................................................」

楓「..................................................................................................................................................................」


楓「これ、私達......ですか?」


458:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:52:26.90 ID:EzvXO8Z30

楓「フェルトと細い毛糸で、素朴で分かりやすくて、小さくてとっても可愛らしい」

楓「今にも動き出しそうなくらい.........まるで、心がこもっているような」

のあ「私と楓、あと泰葉ね」

のあ「髪の色も、服装もしっかり似せて」

のあ「あの子が自作したのかしら」

楓「.........恐らく」

のあ「こんなもの、一体いつ......」

楓「まだ作り立てのような感じがします。毛玉も汚れも付いていないし、きっと......」

楓「のあさんに、プレゼントを買っていただいたすぐ後じゃないでしょうか」

のあ「............」

楓「............」

のあ「......私達、なにをやっているのかしら」

楓「......彼女に怒られるとか、疎まれているとか、迷惑に思われているとか......」

楓「私、泰葉ちゃんの事がようやく分かった気がします」

のあ「......ええ」

のあ「泰葉......、貴女は───」


*{ うわあああああああああああああああああ}


*{ 横を見てくれえええええええええええええええええ}


*{ 燃えてる!!!!! 燃えてるよおおおおおおおおおお!!!!}


のあ&楓「えっ??」クルッ


パチ、パチパチッ!

パキン、パキッ

───ボオオオオオオォォッ!!!


のあ&楓「(!!??)」


459:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:54:11.93 ID:EzvXO8Z30


のあ「す、少し目を離した間に、や、焼けすぎたッ!?」

のあ「な、なにもしてないのにッ!!」

楓「うわ、わ、.........と、とにかく消しましょうッ!!!!」

のあ「ま、まず換気を......ッ!!」ガタガタ

楓「〜〜〜〜〜〜ッッッ.........!!」

楓「あ、扇いだほうが、いい、良いですかね!?」オロオロ

のあ「い、いえ、水を掛けた方が早いわッ!!」ガタガタ!

楓「ま、まずいですよッ!! ドールハウス全体に火が───」


ブシューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!


のあ「アヴッ!?」

楓「ぶえっ!?」

のあ「ゲホッ!! ゲホッ......!?」

楓「ごっほ!! えっほ......!?」


時子「......」


のあ「───と、」

楓「時子ちゃん!!」

のあ「消火器......!!」

時子「なにやってんのよ」

時子「バカ」


ブシューーー!!!


楓「ト、時子ちゃ───ちょっ......ゲホゲホッッ!!」

のあ「モ、もう火は消え───ぶほっ! ごほっ!!」

時子「(............)」カチッ


460:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:55:12.11 ID:EzvXO8Z30


━━━━その頃━━━━
【クラス会】


生徒A「うん、分かったよ」

生徒B「えぇー!? 泰葉さんカラオケ行かないのぉ!?」

泰葉「うん。ごめんね?」

泰葉「......明日事務所で用事があって、今日は早めに帰らせて貰おうかな」

生徒C「忙しいんだ」

泰葉「折角の機会で、残念だけど.........ごめんね」

生徒C「ううん。大変だね」

生徒B「泰葉さん! じゃ、じゃあ今度誘うから、遊びにいこ!? 暇な時あったら、いつでも言って?」

生徒A「ウン、今日はお話出来て私達も楽しかったよ。お仕事頑張って♪」

生徒C「また、色々話聞かせてね。私達、すごい興味あるから」

泰葉「う、うん。私も今度、練習してくるから」

生徒A&B&C「練習??」

泰葉「な、何でもないっ! じゃあまた今度......、約束ね?」

泰葉「(............)」


ppppppp......!!!
pppppppp......!!!


泰葉「!」

泰葉「(電話?)」

泰葉「ンッ!!」

泰葉「も、もしもし?」


のあ『モ......もしもし......っ』


泰葉「高峯さん? どうしたんですか、電話なんて」

のあ『ウゥ......』


461:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:56:05.18 ID:EzvXO8Z30


泰葉「珍しいですね」

のあ『ヤ、泰葉ちゃん.........その......っ』

泰葉「(ちゃん付け......)」

のあ『オ、落ち着いて、聞いてね? アノ、その......』

泰葉「......??」

のあ『ごめんね、その............は、配信しちゃって......』

泰葉「配信......? あ、配信しちゃったんですか?」

泰葉「もう......やっぱり。約束したのに」

のあ『!! ゴ、ごめん! ごめんね......その、それで......』

のあ『え、炎上した......』

泰葉「っ!?」

泰葉「炎上し、たッ!? な、なにしたんですか!?」

泰葉「顔出したり、誰かを特定されたとか......!?」

のあ『ち、違うの......アゥ、ソノ、その......っ』

のあ『エ、炎上したの......』

泰葉「ネットがですか!?」


のあ『泰葉ちゃんの、家が......』


泰葉「」


462:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:58:23.40 ID:EzvXO8Z30


━━━━一方━━━━
【岡崎家】


ブツッ!!


のあ「ぁっ......」

時子「切られた?」

のあ「......」コクン

時子「あーあ」モグモグ

楓「お、落ちませんっ......テーブルの焼け焦げ......」ゴシゴシ

楓「時子ちゃんの家にあった、『激落ちパパ』で頑張って擦っても落ちない......」ゴシゴシ

時子「昔、百均で買ったのよ。そのメラミンスポンジ」モグモグ

時子「やっぱり、クソの役にも立たないわね。所詮100円じゃあ」パクパク

時子「ホラ。庶民らしく齷齪手を動かしなさい」

楓「うぅぅ......」ゴシゴシ

時子「ドールハウス半壊、テーブルには焦げ滲み、おまけに......」モグモグ

時子「ちょっとこの部屋.........臭うわよ」

のあ「ウゥ......」

時子「絶対怒るわね、あの子」

時子「何故約束を破り強行したのかしら。躾けられた豚でさえ言いつけは守るというのに、理解に苦しむわ」

時子「おまけに、いい歳して火遊びで事故を起こすなんて、貴女達の親が見たら恥ずかしさのあまり顔から火が出るのではないかしら」

楓「ひ、火遊びだけに......?」

時子「黙って手を動かしなさい」モグモグ

楓「は、ハイ......」ゴシゴシ


463:☆? ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 18:59:23.00 ID:EzvXO8Z30


のあ「怒られる......、折角信頼されてたのに......」グスッ

楓「人形まで作って貰ってたのに......っ」ゴシゴシ

時子「......なにそれ」

楓「? や、泰葉ちゃんのドールハウス用の人形......」

のあ「私と楓と泰葉ちゃんの3人に、似せた手製の人形が......」

時子「............へえ」

楓「あの、もし良ければ時子ちゃんも手伝ってくれたらなぁって......」

時子「嫌よ」モグモグ

時子「とりあえず、泰葉の開口一番に土下座する練習でもしたらどうかしら?」

楓「靴を舐める準備もしておきます......」

時子「殊勝な心がけね」

のあ「服も脱いでおくわ......」

時子「へえ」


───ガチャ!!


のあ&楓「ヒッ!!」

時子「......」


ドタドタドタドタ!!
ガチャッ!


泰葉「ハァ、ハァ......!!」


のあ「ヤ、泰葉......」

楓「ア、あの、そのっ......」

泰葉「............ッ!」


泰葉「だ、大丈夫ですか!? お二人とも......っ!!」


のあ&楓「えっ?」

時子「(......)」モグモグ


464:☆21 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:02:04.94 ID:EzvXO8Z30


泰葉「楓さん! 生きてましたか!?」

楓「あ、えっ.........あっ、ハイ......」

泰葉「よ、よかった......っ゙」グスッ

のあ「!! ......泰葉」

泰葉「ヴッ......、そのっ......!」

泰葉「た、高峯さんから電話で、い゙、家が、燃えたと聞いて......、あ、頭が真っ白にな゙って......っ」ポロポロ

泰葉「わ゙、私が前日に、も゙っと二人に強く釘を、刺しておけばと思って、も゙、も゙ゔダメだと思っ゙て......」

泰葉「楓さん゙の声が聞ごえなかったから、絶対に、や、焼け死んだと、お゙、思って......」グスン

楓「」

泰葉「でも.........家に着いても、消防車がいないから、い、一体何が起きたかと思って......」

泰葉「ホント、じ、心配じだじゃないですかぁ゙............、グズッ......」

楓「泰葉ちゃん......、その......」

のあ「ごめんなさい。心配を掛けて」

楓「約束破って、ごめんね? 泰葉ちゃん......」

泰葉「うぅっ......」

時子「......」モグモグ

時子「.........ハァ」

時子「泰葉。このクッキー、貰っていくから」

泰葉「えっ?」

時子「とんだ茶番。二人の全裸土下座の写真でも収めようとしたのに」

時子「我ながら、無為な時間を過ごしたようね。失礼するわ」スッ

楓「あ、あの......、時子ちゃん」

楓「その............ありがとうございました」

のあ「.........時子」

時子「............」

時子「燃えたら困るのよ」

時子「隣の、私の部屋が」

───ガチャ、バタン


のあ&楓「(ごもっとも......)」


465:☆22 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:03:58.60 ID:EzvXO8Z30


━━━━10分後━━━━


のあ「ヤ、泰葉?」

楓「お、怒ってます?」

泰葉「......怒ってません」ムスッ

泰葉「ドールハウスが燃えたんですね......。『家』って、そういう事か」

泰葉「でもせめて、勝手に配信しないで一声かけてくれれば良かったのに」

のあ&楓「お、仰る通りです......」

泰葉「......あっ!!」

のあ&楓「ッ!?」ビクッ!

泰葉「あの......、見ました? 箱の中にあった人形」

のあ&楓「(!!!)」

楓「........................」

のあ「........................」

のあ「..................ニ、人形............、知らないけれど......?」プルプル

楓「ソウデスネ......、ナ、ナンノコトヤラ......」プルプル

泰葉「そ、そうですか。良かった」

泰葉「ちょっと私的で恥ずかしい物なので。別に何でもないですけど」

のあ&楓「............」

のあ「泰葉、今回は本当に申し訳のないことをしたわ」

楓「弁償もしますし、合鍵も返します......」

泰葉「? いえ、別に持って頂いていいですよ。弁償もそんな......」

泰葉「今回は、私もクラス会で浮かれていた面もありますし......」

のあ「!! か、監督不行き届きで......全面的に免じてくれるなんて......っ」グスッ

楓「おまけに、今後も美味しい料理を作ってくれるなんて......」ウルウル

泰葉「調子に乗らないで下さい。撤回しますよ」

のあ&楓「ス、スミマセン...」


466:☆23 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:06:46.47 ID:EzvXO8Z30


泰葉「......年下の手前、偉そうな事は言えませんが......」

泰葉「その......貴女達は傍から見たら、無駄にアグレッシブなコミュ障なんですから、もう少し大人の自覚を持ってですね......」

のあ「む、無駄に!?」

楓「あ、アグレッシブな!?」

のあ&楓「コミュ障!?」

のあ「略してMAC(マック)!?」

泰葉「なんで略したんですか?(しかもDAIGOみたいに)」

楓「い、言い過ぎじゃないですか!?」

のあ「と、特にコミュ障だなんて......!!」

泰葉「す、すみません......。コミュ障は流石に言い過ぎました」

泰葉「でも、ちょっとは流石に反省してくださいね? こんなの、恥ずかしくて親に顔向けできませんよ」

のあ&楓「ウッ............」

のあ&楓「...............す、すみません」

のあ「私達の部屋の合鍵、渡します......」

楓「何でもします......、一気飲みとか」

泰葉「ご褒美じゃないですか」

泰葉「......じゃあ弁償はいいですから、兼ねてから疑問に思っていた二人の部屋の合鍵と、あと......」

のあ&楓「?」

泰葉「あと、もし二人が良ければ......」

泰葉「......カラオケの練習、付き合ってくれませんか?」

泰葉「四六時中、二人が心配で仕方なかったですよ。なので二次会のカラオケを断って様子を見に帰ろうと決めたところで......」

泰葉「高峯さんから、電話が」

のあ「......」

泰葉「次の機会にクラスの皆の前でちゃんと歌えるように、練習したいなぁと.........その、思いまして」

のあ&楓「............」

泰葉「な、なんですか! その訝しげな目線は......っ」

のあ&楓「............」


のあ「カラオケ......」

楓「行ったことないです......、その、私は常に体調不良で断り続けてきました......」

のあ「人前で歌うとか............絶対に無理」

泰葉「ただのコミュ障じゃないですかッ!!!」


467:☆24 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:10:16.21 ID:EzvXO8Z30


━━━━後日━━━━
【岡崎家】


泰葉「(あの事件から、2週間が経ちました)」

泰葉「(焼けたドールハウスは、もともと高峯さんから頂いたプレゼント)」

泰葉「(少し高額すぎて私も持て余し気味だったので、無くなって良かったとは言いませんが、弁償の申し出は断りました)」

泰葉「(その代わり、焦げたテーブルと芳ばしい臭いが染みついたカーテンの代替品を買ってくれるとのことだったので、それはお言葉に甘えておきました)」

泰葉「(ちなみに)」

泰葉「(今回のぼや騒ぎは、竈の中に入っていた緩衝材の紙を取り忘れて、それに引火したのが原因のようです)」

泰葉「(......その後、時子さんは『配信の約束を破っただけで、生命の危機に関する事態に発展するなんて、予測不可能ね。あの二人』とため息交じりにぼやいてましたが......)」

泰葉「(......本当に、大事にならなくて幸いでした)」

泰葉「(あと)」

泰葉「(二人とも流石に反省したようで、動画配信は凍結。それと......)」

泰葉「(あれから、めっきりウチに来ることが無くなりました)」

泰葉「(二人の部屋の合鍵は貰いましたが......、足を運ぶ理由も無く、持て余しています)」

泰葉「(週三で遊びに来ていた、子供のように騒ぐ二人の大人が居なくなって、少し寂しい気持ちもありますが.........)」

泰葉「(ただ......、その代わりに............)」

泰葉「......」チラッ


時子「......」モグモグ


泰葉「(どうしてこうなった......)」

時子「泰葉。お茶頂戴」


468:☆25 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:11:09.38 ID:EzvXO8Z30


━━━━━━━━━━
【事務所 給湯室】


のあ「......ハァ」

のあ「火事は起こすし、動画収入は結局ゼロ」

のあ「お金は無いし......、今日の昼ごはん、うまい棒」サクサク

のあ「............」

のあ「あれ......、なんだろう」

のあ「涙が......」

のあ「......っ」

のあ「私って......、ひょっとしてデキる女じゃ無いのかな......?」

のあ「............」サクサク

のあ「......無駄に、アグレッシブな、コミュ障......」

のあ「......略してMAC」

のあ「......」サクサク

のあ「あれっ? カッコイイかも......」


469:☆26 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:13:24.82 ID:EzvXO8Z30


───ガチャ


雪美「......」

のあ「オ、おはよう。雪美」

のあ「今日もカップ麺かしら」

雪美「......違う」フルフル

雪美「さっき......プロデューサーに買ってもらった............、だぶるそーだ?」スッ

のあ「ダブルソーダ......、あぁ、二つに分かれるアイスね。ナルトと自来也が一緒に食べてた......」

雪美「??」

のあ「ゴ、ごめんなさい。なんでもないわ」

雪美「......」

───パキッ


雪美「......はい」スッ

のあ「えっ?」

雪美「のあ......、最近お昼に......、そのさくさくのしか、食べてないから......」

雪美「......これ、あげる」

雪美「はんぶんこ」

のあ「.......................................................................................」

雪美「......どうぞ?」

のあ「.......................................................................................」

雪美「のあ......?」

のあ「......雪美」

のあ「世の中.........お金だけではないのね」

雪美「......のあ......泣かないで?」

のあ「......」グスッ

のあ「(......頑張ろ)」


★おわり
──────
────
──


470:◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:14:06.13 ID:EzvXO8Z30

以下、
1.おまけ??????
2.番外編A.B
3.番外編C
になります。もう少々お付き合いいただければ幸いです。


471:☆1/2 関連>>98 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:15:14.41 ID:EzvXO8Z30

──
────
──────
【おまけ?】
【事務所 廊下】


のあ「(......♪)」スタスタ

のあ「(ようやく取れたわ、『ぴにゃこら太』のキーホルダーっ!)」

のあ「(泰葉ちゃんの情報によると、それはそれはもう大変な人気があって......)」

のあ「(この間、島村卯月ちゃんと本田未央ちゃんも事務所で話してた、話題沸騰中のブサカワキャラクター)」

のあ「(ふふっ......、結構愛嬌のある顔してるじゃない)」

のあ「(このまぬけ面で何を考えているのか読めない所が.........どことなく私に似ているかも)」

のあ「(つまり私って、愛されキャラ?)」

のあ「(......♪)」ドキドキ

のあ「(......とにかく)」

のあ「(これさえあれば、皆との会話に入れる.........または注目の的にっ♪)」

のあ「(〜〜〜...♪)」スタスタ

のあ「お、おは───」ガチャ


卯月「あれ、未央ちゃん?」

卯月「この前の、ぴにゃこら太のキーホルダーはどうしたんですか?」

未央「うん? あぁ、アレ?」

未央「......どっか落としちゃった」

未央「というか、事務所の机に置いてたんだけど、いつの間にか無くなっててさー?」

未央「まあでも......、別に良いかなぁって。投資も100円だし」

未央「持て余してたから」


のあ「(───ッ!?)」


472:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:52:30.42 ID:VR7jmKaY0

卯月「ウッ......」

卯月「うぅん。事務所の皆も『微妙』って言ってますし」

卯月「私も最近、疑問に感じてきました。私は普通だと思いますけど......」

未央「噂に流れるから気を引き締めないと、日本人は。分かるかね、島村君?」

未央「もっと本質をみたまえ、本質をっ! ............なぁんて」

卯月「うーん......、可愛く、ないですか?」


のあ「(......)」パタン

のあ「(..............................っ)」

のあ「(......うっ)」

のあ「(嘘つき......。や、泰葉ちゃんの嘘つきぃ......っ)」グスッ

のあ「(流行ってるって言ったのに......、事務所で流行ってるって言ったのに......っ)」

のあ「(クレーンゲーム......、に、2万もかかったのに......っ)」グスン

のあ「(こ、こんなキャラ、ちっとも私になんて似てな───)」

ポンポン


のあ「───っ?」クルッ

凛「やっ」

凛「おはようございます、高峯さん」

のあ「リ......凛? お、おはよう」

凛「ん」チャリッ

のあ「!!! そ、それは......っ!」

凛「これ、ぴにゃこら太」

凛「の、キーホルダー。この前、偶然見つけたんだ」

凛「私は好きだよ。このキャラ」

のあ「!!」

凛「おお。高峯さんも持ってるんだ、奇遇」

凛「これで私と貴女はトモダチだね」

のあ「と、友達......」

凛「ハイ、高峯さん指出して? 人差し指」

凛「私の人差し指とくっつけて? よし、準備OK」

凛「トーモーダーチー」

凛「うん、完了。はい」

凛「......じゃあね♪」ヒラヒラ

スタスタスタ

───ガチャ、バタン


のあ「...............っ......??」

──────
────
──
【おまけ? 終】


474:◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:58:12.91 ID:VhXEdO3R0

※おまけ、番外編登場人物


475:☆1/2 関連>>95 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 19:59:47.77 ID:VhXEdO3R0

──
────
──────
【おまけ?】
【とあるマンション】


マストレ「......むぅ」

ベテトレ「......ううむ」

トレーナー「どうしたの、お姉ちゃん達?? 難しい顔しちゃって」

ルキトレ「お姉ちゃん、お風呂沸いたよー!」トコトコ

トレーナー「??」

マストレ「......」

ベテトレ「......」


マストレ「ある一人のアイドルについて、思考を巡らせていた」ウーン

ベテトレ「......まさか、ヒラリーが負けるとは思っていなかったんだ」ハァ

マストレ「......」

ベテトレ「......」

トレーナー「......」

ルキトレ「......」


マストレ「......」ギシギシギシ!

ベテトレ「イ゙ァ...、ガッ...!!」ギュウウゥゥゥゥ

ルキトレ「麗お姉ちゃん!? それ以上やったら落ちちゃうよ!!!」

ベテトレ「ギ、ァ......首ッ...折レ...、ギ、ギブ、ッ、ギぅギぅ......!!」

トレーナー「白目向いて泡吹いてる!! やめてあげてッ!!」

マストレ「オイ。大統領選関連株にいくら投資した、いくらスッた?」ミシミシミシ!

マストレ「正直に言ってみろ、聖」

ベテトレ「ァ!! ......ぁぐっ...!!」


476:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:02:35.28 ID:PzKt3qxF0


━━━━5分後━━━━


トレーナー「高峯のあさんっ!?」

マストレ「? なんだいきなり、素っ頓狂な声を出して」

トレーナー「あ、ううん。ただ......」

トレーナー「あの人......、か、格好いいよねっ♪」ポワポワ

ルキトレ「事務所でもみんな言ってるよねー。いいなぁ、私もお話ししてみたいなぁ」

マストレ「いや、詳しくは知らんが」

マストレ「......『寡黙の女王』高峯のあ」

マストレ「見目麗しいクールビューティーと囁かれてはいるが......なんだ、その......この間、彼女とビジュアルレッスンを行ったのだが」

トレーナー「高峯さんとビジュアルレッスンかぁ。ラブ・ロマンスな場面で演技指導とかしてみたい.........むしろ───」

マストレ「張子の虎と言うか、外見とは裏腹と言うか、夢にも思わないというか......」

ルキトレ「ねえねえ、誰もお風呂入らないなら、私が一番最初に入っていいですかー?」

マストレ「......お前達、私の話、聞いてる?」

トレ&ルキ「聞いてる」

マストレ「本当に?」

マストレ「つまり、だ。彼女は表情の演技については、あまり慣れていないらしい」

トレーナー「じゃあ、今度私が高峯さんと───」

マストレ「慶。前に頼んだ成績表、出来てるか?」

マストレ「以前私が書こうとしたのだが......、気の利いた指南をやれなかった。慶に代理を頼んだのだが......」

ルキトレ「うん♪ じゃあ今回も私が高峯さんの成績表付けとくね♪」

ルキトレ「今度は、コメントも書いておくよ? 元気出してくれるといいケド」


━━━━後日━━━━
【岡崎家】


楓「......」

泰葉「......」

のあ「......」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★Vi(ビジュアル)

高峯:D
・総評......高峯さん、こんな感じで笑って、元気出してください♪ 難しく考えず、頭空っぽにして気楽に行きましょう♪
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


のあ「こ、今度は......『D』......っ!」

楓「のあさん......、めげずに前を向きましょう。ありもしない評価を出されたという事は、逆に考えるとこれはラッキーですよ」

泰葉「(以前の評価は『0』。今回は『D』)」

泰葉「(これ......まさか......、いや、でもこんな幼稚園児の先生みたいなイタズラ......)」

のあ「......グスッ」

──────
────
──
【おまけ? 終】


477:☆1/2 時系列は、このおまけ→>>104→>>228です ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:03:55.95 ID:PzKt3qxF0

──
────
──────
【おまけ?】
【ライブ会場 関係者通路】


伊吹「んー......」

伊吹「奏、早く行こーよ? 挨拶するんでしょ?」

奏「ちょ......、ちょっとまって」

奏「......」

奏「(この先の楽屋に、本番を控え静々と瞑想し精神集中している高峯さんがいるのね......)」

奏「(はぁー、はぁー、ハァー......)」ドクンドクン

奏「(......っ、何を心乱しているのかしら。意中の人を校舎裏に呼び出して、その人の来訪を今か今かと待つ純情な乙女でもあるまいし)」

奏「(けれどこの、早鐘を打つような高揚と緊張は一体............まさか、これが、いや......)」

奏「(相手はあの寡黙の女王。ランクは私の方が上だけど、多少気が張って息が詰まるのは自明の理)」

奏「ふっ......」

奏「ごめんね、今落ち着いたから。行きましょう、伊吹ちゃん」スッ

伊吹「それ首相のポスターだよ。舐めてんの?」


━━━━2分後━━━━
【楽屋前】


伊吹「さて............、うんっ?」

奏「なに?」

伊吹「誰かの声がする。高峯さんと......」

奏「エッ?」スッ

伊吹「わっ......、なにその無駄に洗練された動き。ドアに耳当てて、盗み聞き?」

伊吹「自然な流れ過ぎて違和感なかったけど、盗み聞きはやめよーよ。ね?」

奏「(............)」

伊吹「(うわっ、スルー)」


━━━━━━━━━━
【楽屋】


周子「やっほー」ヒラヒラ

のあ「!!」ガタッ

のあ「し、周子ちゃん? 久しぶり......」

周子「のあさんと会うのは、紗枝ちゃんと一緒に雨宿りしてた時以来かな?」

周子「どう、緊張してる?」

のあ「............」コクン

周子「結構大きな会場だしね。しょうがないかー」

のあ「し、周子ちゃん......どうしてここに?」


478:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:04:49.12 ID:PzKt3qxF0

周子「ん? んー.........暇だったからかな。プロデューサーが融通を利かせてくれて、ここに入れて貰ったんだよね」

周子「エールに来たよ。のあさん、気張りや」グッ

周子「終わったらさ、どっか甘い物でも食べに行こーよ。シューコちゃんが奢ったげる」

のあ「お、奢ってくれるの!?」ガタッ

周子「喰い付きいいねぇ。うん、いいよ」

周子「近くに話題のシュークリームのお店があるんだ。一緒によばれようと思おて♪」

のあ「ウン......! し、周子ちゃん、約束だからね?」

周子「うんうん、その調子でLIVEバトルもぱぱっと乗り切っちゃおー」

のあ「ふふっ......♪」

周子「へへ......」

のあ「シュークリームかぁ......、そう言えば周子ちゃんって......」

周子「うん?」

のあ「『塩見周子』って名前、なんかシュークリームみたいで美味しそうだよね」

のあ「思わず、食べちゃいそうな名前してる」

周子「んー、確かに」

周子「初めて言われたよ。ふふふ......」

のあ「フフッ......♪」

のあ「気が緩んで、少し元気出てきた。頑張るね」

周子「おー、その調子その調子」


━━━━━━━━━━

奏「......」プルプル

伊吹「(震えだした)」

奏「い、伊吹ちゃん.........わた、私......っ」クルッ

奏「......芸名付ける」

伊吹「げ、芸名??」

奏「美味しそうで、食べられちゃいそうな芸名を......っ」

奏「こ、これ以上、塩バニラシュー子に後れを取るわけにはいかないの......っ」プルプル

伊吹「塩バニラシュー子!? 誰それ!?」

奏「そ......、『爽』なんて、ど、どうかしら......?」プルプル

伊吹「爽!? 速水爽!? いや読み方しか同じじゃないよ!! ちょ、ちょっと字の形も似てるけど......」

爽「あ、甘くて、お、美味しそうじゃない......? おまけにアイスみたいに冷えてて、クールで......これ以上ないくらいに私にぴったりな......」プルプル

伊吹「まずは頭を冷やそうよ!! 奏どうしたのホント!?」

紗枝「ほ、ほんならウチは......『紗々』なんて、ど、どうやろ......?」プルプル

美波「わ、私、私は...........................お、思い浮かばない......悔しい......っ」プルプル

伊吹「(どっから湧いて出たコイツら!?)」

奏「もう、かえる......」グスッ

伊吹「ここまで来たのに!?」

──────
────
──
【おまけ? 終】


479:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:05:17.81 ID:PzKt3qxF0

──
────
──────
【事務所】


夏樹「最近さ」

伊吹「んー?」

夏樹「だりーの様子がおかしいんだ」

周子「なら平気じゃない?」

夏樹「や、違うって。多少おかしいのはブレの範囲内なんだけどよ、いつもは」

夏樹「今回は......、髪の色を抜こうとしたり、堅い中二病みたいな言葉で会話して来たり......」

夏樹「明らかに誰かを意識してるっていうか」

伊吹「髪の色を抜く? 周子みたいなカンジ?」

周子「はい、ご紹介に預かりましたー」

伊吹「周子さん周子さん、貴女はどなたかを意識してその髪色に?」

周子「いかにもー」

伊吹「それはどなたですか?」

周子「ふふっ、とっぷしーくれっとです」

伊吹「だそうな」

夏樹「へいへい」

伊吹「......実は、うちの奏も似たような事をしようとしてた」

周子「奇遇だね。うちの紗枝ちゃんもやわ」

伊吹「......」

周子「......」

夏樹「......あとさ」

夏樹「ある人の話題になると......」

夏樹「感極まって泣くか、あるいはちょっと否定すると泣いて猛反発してくる」

周子「大変やね」

伊吹「......実は、うちの奏も似たような事がある」

伊吹「ある人の話題? ってのはよく分かんないけど、本人にとってショックなことがあると......」

伊吹「幼児退行する」

夏樹「うわっ、それ見てえ」

周子「奇遇だね。うちの紗枝ちゃんもやわ」

周子「あたしが、ある人の話題を話そうとすると」

周子「記憶が吹っ飛ぶ」

伊吹「ソレ、いちばん重症じゃない?」

周子「あるいは、都合のいい記憶に入れ替わる」

夏樹「......」

夏樹「まあ、ぶっちゃけていうと高峯さんの事なんだけどな」

周子「やっぱり?」

伊吹「えっ、そうなの?」


480:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:08:35.82 ID:pfJb6QoJ0


夏樹「......とにかく」

夏樹「相棒が高峯さんにご執心みたいで.........ハハ、ちょっと妬いちゃうぜ」

伊吹「ホントに思ってる?」

夏樹「悪ィ、正直に言うと......何が何だかよく分からねぇ」

周子「......ふぅ」

夏樹「高峯さんってさ、最近色んな奴の口からその名前を耳にするよな」

伊吹「良い人だよ? 映画も一緒に観たし」

夏樹「分かってる。アタシも何回か会話したけど、『女王』ってほど高飛車の印象も受けないし」

夏樹「『孤高』や『寡黙』ってほど、人との関わりを断とうとしていない気がする」

周子「(............)」

夏樹「あの人はすげえよ。LIVEバトルでかち合ったけど、所属して半年の新人とは思えないパフォーマンスだ」

夏樹「観てて、まさに惹き込まれるって感覚に陥ったし、実際アタシの隣にいただりーは泣き崩れてたし」

夏樹「でも、最近思うんだ」

夏樹「確かにあの人は、底が見えない人だ。ただ同時に『底を覗いたらいけない人』でもあるんじゃねーかな......って」

伊吹「んー......よく分かんない」

夏樹「誰にだって、触れられたくない部分はある。そうだろ?」

周子「(......)」

周子「本人が望むのなら、普通に関わっていて問題はないんじゃないかな」

周子「夏樹ちゃんの言うとおり、みんな線引きはちゃんと出来てるでしょ」

周子「......良い人だよ、本当に」

夏樹「......だな」

伊吹「うんうん」

夏樹「.........あっ、そうだ」スッ

夏樹「だりーに頼まれてたんだった。高峯さんのサイン、貰いにいかねーと」

周子「あたしが書いてあげよっか?」

夏樹「遠慮しとくよ」

伊吹「ねえ夏樹? 色紙3枚あるけど?」

夏樹「1枚はだりー用。もう1枚は、高峯さんがサインを失敗した時の予備用」

周子「しっかりしてるねー。多分予備は持ってて正解だよ」

周子「で、もう1枚は?」

夏樹「ん......、あぁ。ンー......これは...............」


夏樹「.........アタシ用」

伊吹「え?」

周子「お?」

夏樹「ん?」

──────
────
──
【おまけ? 終】


481:☆1/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:09:27.91 ID:pfJb6QoJ0

──
────
──────
【おまけ?】
【事務所 正門】


泰葉「......」スタスタ

泰葉「あっ」


時子「............」


泰葉「時子さん、お待たせしました」

時子「......フン」

時子「待ち合わせ時間5分前.........及第点ね」

時子「悠長に話す暇はないわ。早く行きましょう」

泰葉「あ、ハイ」


━━━━10分前━━━━
【スーパー 日用品売り場】


時子「トイレットペーパーがお一人様1パック限りなんて......」ガサガサ

時子「卑しい品性だわ。厚顔甚だしい......これでよくもまあチラシに大きく特売と銘打てたものね」ガサガサ

泰葉「ハ、ははは......」

時子「ほら、持ちなさい。これで2パック買うことが出来る」

時子「そのために貴女を連れて来たのだから。突っ立ってないで役に立ちなさい」

泰葉「(案外ちゃっかりしてるなあ)」


482:☆2/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:11:28.13 ID:pfJb6QoJ0


━━━━5分後━━━━
【スーパー 生鮮売り場】


泰葉「あの、時子さん?」

時子「......」チラッ

時子「その問いかけは、私が豚バラの目利きを中断しなければならない程の必要性と期待度を持つのかしら」

泰葉「イ、いえ! その......値段を比べながらで結構です」

泰葉「......先日は、ありがとうございました」

泰葉「火事の件についてです」

時子「......あぁ」

泰葉「貴女が駆けつけなければ、被害は大きくなっていかもしれませんし、二人だって怪我をしたかもしれません」

時子「別に、礼を言われる筋合いは無いわ」

時子「何回も同じことを言わせる気? 大脳辺縁系の記憶神経が焼切れたのかしら?」

泰葉「いえ、その......」

時子「貴女の部屋が燃えたら、私が困るのよ」

時子「偶然配信の様子を伺ったら、偶然炎上していて、あの二人が鶏のように騒いでいた」

時子「それだけよ」

時子「まぁ、貴女が借りを感じている物言いで気が済まなさそうな顔してたから、今日ここに連れて来たわけだけど」

泰葉「偶然......」

時子「ええ」

泰葉「あ。あと一ついいですか?」

時子「手短に済ませなさい」

泰葉「あの.........気に障ったら申し訳ないんですが、時子さん、その......」

時子「なによ」


483:☆3/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:12:13.24 ID:pfJb6QoJ0


泰葉「私の部屋から響く音......耳障りですか?」

時子「耳障り......?」

泰葉「は、ハイ」

時子「物音はするけれど、物騒がしいという程でないわ」

泰葉「えっ? じ、じゃあ、あの......」

泰葉「その、何故壁ドンを?」

時子「壁ドン? あぁ、そのこと」

時子「単なる挨拶よ」

泰葉「??」

時子「同事務所の仲間......知人、いえ雑用、奴隷......、下僕から聞いたのだけれど」

泰葉「ずいぶんランクが下がりましたね」

時子「壁ドンは......」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
?『時子さん、よろしくて? 今後一人暮らしをするならば、是非とも役立つ知識をわたくしが伝授致しましょう!』

?『庶民一般でいうところの集合住宅における、隣接する住民に対して、その住居を区切る壁を叩く行為は......」

?『希薄化するコミュニティや隣人との関係回復に一石を投じる、庶民の方々が考案した単純画期的な挨拶!! 独特に発展を遂げた、高度なコミュニケーションなのです!』

?『俗に庶民一般で、この行為を“壁ドン”と呼ぶようですわっ♪』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


泰葉「......エッ」

泰葉「ち、違いますよ。誰が言っていたんですか、そんなデマ......」

時子「..........................................................................................」

時子「............ハァ」

時子「悪かったわ、泰葉」

泰葉「い、いえいえ......知らなかったんですし、構いませんが」

時子「......あいつは、豚に格下げね。本当に使えない」

泰葉「(何の絡みだろう?)」

時子「ちなみに今日の、貴女の家の献立は何かしら」

泰葉「えっ? 今日はチキン南蛮でも作ろうかと......」

時子「......チッ。鳥か」

時子「早く言いなさいよ」スッ

泰葉「っ!? な、何故カゴに入れていた豚肉を戻すんですか!? 聞いたのは私の家の献立ですよね!?」

泰葉「ま、まさか......」

時子「......なによ」

泰葉「す、スミマセン............に、睨まないで下さい......」ビクビク

時子「......睨んでないけど」

──────
────
──
【おまけ? 終】


484:☆1/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:12:45.90 ID:pfJb6QoJ0

──
────
──────
【おまけ?】
【居酒屋 カウンター】


楓「ハァ......お酒がおいしい」

のあ「......」

楓「動画配信の件、散々でしたね」

のあ「......そうね」

楓「あんなに自己嫌悪に陥ったのは、久しぶりですよ。入社時、自己紹介の挨拶でダジャレをやって滑って以来」

のあ「......」

のあ「でも、奇跡ね」

のあ「普通動画配信で火事など起こしたら、晒し者の如く一瞬で拡散されると思ったけれど」

のあ「......特に音沙汰無く、皆無事を憂いてくれた」

楓「そうですねぇ。配信凍結は惜しまれますが、でも仕方ありませんね」

楓「おそらく、すぐに時子ちゃんが消火に来てくれたのも相まって、アレはヤラセに近い仕込みと思われたのではないでしょうか?」

のあ「......ありえるわね」

のあ「......」

楓「......」クイッ

のあ「楓は......」

のあ「泰葉に自分の部屋の合鍵、渡したの?」

楓「ええ。勿論、部屋にあった一升瓶と惣菜のプラスチックトレーの山を片付けてから」

のあ「......そう」

のあ「私も、部屋の掃除をしないと......」

楓「? この前に周子ちゃんが遊びに来る前、片付けたのでは?」

のあ「ええ。まあ......寄せたというのが正解かしら」

楓「なるほど......」

のあ「......はぁ」

のあ「......テキーラとライムでも貰おうかしら」

楓「あ、じゃあ私は日本酒を冷で」

のあ「......」

楓「......」

のあ「............」

楓「............」

のあ「......................................................」

楓「......................................................」


のあ「......カ、楓が呼ぶ? 店員を」

楓「......ジ、じゃんけんしましょうか」

のあ「チ、近くに通りかかるのを待ちましょう......」

楓「ソ、そうですね......」


485:☆2/2 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:13:15.47 ID:pfJb6QoJ0


楓「あと、気になったのが......」

のあ「?」

楓「時子ちゃんの事です。傲岸不遜でアクの強い性格と思っていた時子ちゃんでしたが......」

のあ「......イメージが変わってきた?」

楓「ええ。少しでしたが配信に付き合ってくれたり、助けに来てくれたり......」

のあ「血も涙も無い女王気質かと思えば、優しい一面もあるのね」

楓「ふふふっ。これは私の想像なんですが......」

楓「のあさんが事務所で『寡黙の女王』として多少のキャラ作りを頑張っているのと同じく......」

楓「時子ちゃんもひょっとして、あの高飛車な女王キャラは......」

楓「キャラ作りだったりして♪」

のあ「......素ではなさそうよね」

楓「そうですね。あるいは、普段はスイッチを切っているのではないでしょうか?」

のあ「スイッチ?」

楓「事務所の子でいうと、輝子ちゃんのハイテンションな性格や、杏ちゃんの仕事モードのように」

楓「仕事の時に、普段とは打って変わって本気を出すような......」

のあ「......つまり」

のあ「歯に衣着せぬ毒舌も、視線で人を殺しそうな眼光も、近寄りがたいオーラも......、私生活では40%ほどに抑えているのかしら」

楓「あくまで、推測ですよ?」

のあ「......いえ、確かに考えられるわ。だって普段から事務所の性格だったら、怖くて近くにいただけで失禁しちゃうもの」

楓「確かに!」

のあ「家では時子40%で......、仕事では時子100%」

楓「あはは! そんな幽遊白書の戸愚呂100%みたいに......!」

のあ「時子、100%中の100%......ッ!」

楓「あ、あははははっ!!」バンバン


───トントン


時子「...」

時子「......」グビッ

のあ「ヒエッ...」

楓「ト、時子ちゃんも......、の、飲んでたンデスネ............キグウデスネ......」

時子「......」


※このあと滅茶苦茶奢らされた
──────
────
──
【おまけ? 終】


486:☆1/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:15:02.75 ID:pfJb6QoJ0

──
────
──────
【番外編A】
【事務所】


P「......うぅむ」

留美「はい。コーヒーどうぞ」

留美「どうしたの? 朝から渋い顔して」

P「あっ、いただきます」

P「いえね? 留美さん......、また他プロダクションでトラブルが」

P「『プロデューサーと担当アイドルの熱愛発覚』ですよ。新聞の芸能面にも取り上げられていて......」

留美「可哀想に。あの事務所の子、すっぱ抜かれたの」

留美「今も昔も、男女の交情というのは歯止めがきかないわね」

P「ですねぇ。こういう同業者の不祥事が耳に入るたび、手綱を締めて真摯に向き合いたいものですよ」

留美「恋愛に?」

P「もちろん、仕事にです」

留美「噂には聞いていたけれど、Pくんって堅いわねぇ......」

P「男として当然ですよ!」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
楓『というより、ウチの事務所では滅多に聞かないですねぇ。アイドルやタレントの恋愛事情』

泰葉『むしろ聞こえたら大問題かと思いますが......、というか......』

泰葉『カエデさん。興味をお持ちなんですか?』

楓『ふふふっ、聞く分には♪』

泰葉『んー......ウチの事務所は......、まあ、プロデューサーがアレですから』

のあ&楓&時子『アレ?』

泰葉『知りませんか? 今度本人に聞いてみると良いですよ』
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


のあ「(...)」

乃々「(ヒ、ヒグッ...)」

楓「...」


487:☆2/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:15:34.64 ID:pfJb6QoJ0


P「我々と担当アイドルは一心同体! 共に仕事に打ち込み、苦楽を共有し、お互い成長を続けていく」

P「その中で思いを寄せたり、愛情に近い感情が芽生える事もあるでしょう。それは否定はしません」

P「ですが私達は立場が違うのですよ......、留美さん。恋愛が許される関係ではありません。ましてや......、一心同体と言いましたが、それは対等という事でもない」

P「プロデューサーという立場に傘を着て......、誰もが羨み、憧れ、恋し、隣にいたいと考えたことがある人気アイドルと付き合うなど......、それは周囲のあらゆる人間に対する背信と言ってもいい」

P「俺はこの肩書を利用して、ただ浅ましい欲に塗れたいがために、担当アイドルに茨の道を歩ませることなどしませんよ」

留美「......ほんと、堅いわね」

P「仕事熱心と言ってください! HAHAHAHA!!」

留美「なら、しばらくは恋人を作る気はないのね?」

P「ハイッ! 作る気はないというか、作れないというか.........、まぁ、当面は仕事が恋人ですかね?」

P「ですが不満など一欠片もありません! なぜなら、これは俺が自分で選んだ道ですから!!」

P「HAHAHAHAHAHA......!!」

留美「はぁ......、もう、人の気も知らないで」

P「えっ、何か言いました?」

留美「いいえ、何でもないわ」


楓「(なるほど、そういう事ですか......)」

のあ「(乃々ちゃん......♪)」チラッ

乃々「」ブクブク


488:☆3/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:16:19.76 ID:pfJb6QoJ0


━━━━夜━━━━
【岡崎家】


泰葉&楓「ごッ......!?」


泰葉&楓「合コンッ!!?」


のあ「ええ」


泰葉「高峯さんがですか!?」ガタッ!


のあ「そうよ」


泰葉「ッ......!」


楓「誘われた!?」ガタッ!


のあ「......高校時代の、友人に」


楓「ッ......!(居たんだ......)」


時子「のあ。醤油取って」


のあ「あ、ハイ」


時子「......」モグモグ


泰葉&楓「〜〜〜ッ......!」


489:☆4/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:17:07.36 ID:pfJb6QoJ0


楓「のあさん.........この間、相席居酒屋が羨ましいだの行きたいだの言っていたのに」

楓「そんなの、ズルいじゃないですかっ......、一人でリア充の階段を駆け上がろうなんて......」

のあ「私も、アイドルである前に一人の女なのよ。結婚願望くらい持ち合わせているわ」

時子「......」モグモグ

泰葉「だ......、ダメですよ高峯さんッ!!」

泰葉「前にも言いましたけど、男の人って、貴女が想像しているより遥かに怖いんですからね!!」

時子「今のを要約すると、男は人間の皮を被った品性下劣の変態性獣だって」パクパク

のあ&楓「ソ、そんなに......?」

泰葉「そこまで酷くは言ってませんよ!?」

時子「構うことは無いわ、泰葉。こう見えてもコイツは24歳......、辛うじて大人なんだから」

のあ「カ、辛うじて......?」

泰葉「けれど時子さん......、この前、その......私の部屋で何が起こったか覚えていますよね?」

時子「何事も社会勉強よ。そろそろ自己責任という言葉を身を以って知るといいわ」パクッ

のあ「問題ないわ、泰葉」

泰葉「えっ?」

のあ「今回私が誘われたのは恐らく数合わせだし......、隅っこで牛丼でもつついてるから」

泰葉「じ、自分で言ってて悲しくないですか?」

時子「それがいいわね。合コンなんて男に奢らせ飲み食いし、何食わぬ顔で帰宅すればいいのよ」

のあ「あと......」

のあ「その知人から、更に数合わせに私の知り合いも誘ってくれと頼まれた」

のあ「既に、連絡も済んで了承も得た」

泰葉「それは誰ですか?」

のあ「大丈夫。絶対に信頼できる適任者だから」

泰葉「うぅん......、高峯さんがそこまでいうのなら、私が口を挟む事では無いかもしれませんが」

泰葉「一つだけ。貴女だってアイドルの端くれなんですから、色々と、その.........自覚は持って下さいね」

のあ「余裕よ」

泰葉「(大丈夫かなぁ......)」

時子「楓。ラー油取って」

楓「あ、ハイ」


490:☆5/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:18:01.39 ID:pfJb6QoJ0


━━━━当日━━━━
【居酒屋 店前】


友人「のあちゃん、久しぶりー♪」

のあ「......ええ」

友人「今モデルとか色々やってるんだって? 調べたよー、すごいねぇ!」

のあ「エ、ええ......問題ないわ」

友人「アハハ♪ そのヤバい口調、変わってないねー♪」

友人「急な連絡でごめんね? 近くに住んでるって聞いたから、びっくりしたでしょ」

女性「はじめまして、高峯さん。よろしくお願いします」

女性「今日は男子メンツも結構すごいのが来るって話だから、期待してて?」

のあ「ソ、その......、私、慣れてなくて......」

友人「あーあー、いいよいいよ♪ もし無理っぽかったら、隅っこで牛丼でもつついてて」

のあ「!! ま、任せて......っ!」

友人「でさ? のあちゃん」

友人「もう一人誘ってくれるって話、あれはどうなったっけ?」

のあ「ァ、あぁ......、そ、そろそろ......ク、来る、わ......」


「こんばんはー♪」


のあ「(!!!)」

女性「うん? あの子?」


周子「初めましてー、どーもー♪」


のあ「(し、周子ちゃん......!)」

周子「お待たせしましたー。高峯の知り合い、塩宮(塩見)周子です」

周子「こう見えても未成年だから、お酒はNGなので、よろしくお願いしまーす」

友人「か......、可愛いーーっ!!」

友人「これがのあちゃんの言ってた子?」

のあ「そうよ」フフン


491:☆6/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:18:52.31 ID:pfJb6QoJ0


友人「よろしくね、今日は楽しもうねぇ♪ 塩宮周子ちゃん」

周子「おなかすいたーん♪ はやいトコ、美味しいご飯がたべたいなー」

周子「今の私なら、和でも洋でも中華でも何でもござれだよ」

女性「ウンウン♪ きょうは男子の奢りだから、どんどん貢がせちゃおう?」

周子「わーい♪」

周子「(へっへっへ......、頑張ろうね? のあさんや)」チラッ

のあ「(周子ちゃん......。もう全面的に今日は依存するから)」

周子「(だいじょーぶだよ。もし無理そうなら、隅っこで牛丼でもつついてて)」

のあ「(任せて。得意だから)」

周子「(楽しく食べて、健全に帰ろっか! しっかりガードしてあげるよ)」

のあ「(うん......!)」

女性「男子は、なんとハイステータスな良質男子が揃ってるっぽいよ? 医者の息子、芸能関係者、個人経営、大手美容メーカー勤務............選り取り見取り、フフフっ......♪」

周子「おー、いいねいいね」

のあ「(へえ......)」

友人「おっ! あの4人は......?」

女性「向こうからスタンドバイミーみたいに肩を揃えて歩いてくるのが、今日の獲物かな?」

周子「確かに。アルマゲドンみたい」

のあ「いえ、白い巨塔じゃないかしら」

友人「そうみたいだね。面子も揃ったし、今日は精一杯飲み食いして楽しもーっ♪」

周子「おー♪」

周子「っ」ピタッ

周子「....................................................................................」ジー

周子「..........................................オォッ?」

のあ「??」


492:☆7/7 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:19:56.10 ID:pfJb6QoJ0

━━━━20分後━━━━
【店内】


周子「............」

のあ「............」


男性A「じゃあ乾杯も済んだし、自己紹介しましょうか」

男性A「27歳、職業は友人さんの先輩と同じ、歯科衛生士です。年収は600万、最近はお洒落なバーで飲むのにハマってます。いい店を知っていたら、後でこっそり教えてください。今日は楽しみましょう」

男性B「35歳、喫茶店経営。年収は......まあそれなり。よく怖そうとか目付きが悪いとか言われるけど、実は猫とか大好きだから。あと腹筋とうなじ。喫茶店で働いてみたいって子がいれば、即採用します」

男性C「24歳、男性Aさんの後輩です♪ 今は美容関連のメーカー勤務で、今日はとにかく楽しくお酒を飲んで、みんなと仲良くできればイイなーって思ってますので、よろしくおねがいしまっす♪」


男性P「ヒ、ふひっ......!」プルプル


周子「............」

のあ「............」

男性B「ちょ、ちょいちょい......どうした? 震えてるけど」

友人「やだ、緊張してる? かわいー♪」

男性B「いやいや、コイツいっつも『合コンとか超余裕っすよ』とか『場数踏んでるし』とか得意気に言ってるから」

男性P「う、嘘ではないんだけど、その、今日は......っ」ガクガク

周子「............」チラッ

のあ「............」チラッ

男性P「ヒィッ!! た、か......! .........よ、よりによって......な、ナンデ............!!」

男性C「とりあえずパパッと名前と職業だけ言っちゃおって♪ お酒入ったら面白いタイプでしょ、お兄さん♪ ホラホラ」

周子「.......................................」

のあ「.......................................」


P「な、名前...、ソノ、ぴ、Pでシュ......ッ」

P「げ、芸能ぷ、プロデューサー............デス、その、あの......ッ!」

P「ヨ、ヨロシクオネガイシマス......」


周子「(のあさん)」

のあ「(............)」

周子「(今日は、とことんお腹いっぱいに食べれそうだねっ♪)」

のあ「(......そうね)」ワクワク

P「ヒ、ヒヘッ! ......な、ナンデ......!?」プルプル

☆つづく
──────
────
──


493:☆1/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:23:34.18 ID:AfiwAf2S0

──
────
──────
【番外編B】
【居酒屋 トイレ前】


P「なッ!」

P「な」

P「な」

P「な」

P「な」


周子「............」

周子「なんでいるの?」

P「それは俺の台詞だッッ!!!」

P「なんでいるんですか、高峯さん!? ついでに周子!!」

周子「あたしはついでかーい」

P「いや、周子は名前も偽名で一応変装はしてるし......! でも高峯さん、アナタ......!!」

のあ「......」

P「ノーガードじゃないですかっ!!」

周子「確かに」

のあ「......そうね」

P「アレェ!? なんでそこまで落ち着いていられるのお二方!?」

P「まともなのは俺だけか!? というかアイドルなんですから、こんな場所に来たら大問題......ッ!」

のあ「......婚活練習」

周子「付き添い」

周子「以上っ!」

P「オウッ......」


494:☆2/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:24:39.69 ID:AfiwAf2S0


周子「で、次はあたしからの質問」

P「ぐっ......!」

周子「まぁ、Pさんが事務所ではストイックな恋愛観を徹底してたとか、仕事熱心すぎてワーカーホリック一歩手前とかは......」

周子「この場では、特に言及しませんよ。安心しなはれ?」

のあ「......『合コンとか超余裕っすよ』『場数踏んでるし』」

周子「『仕事が恋人』『作る気はない』」

P「」

周子「とんだ二律背反やね♪」

のあ「所詮、貴方も男なのね」

のあ「事務所で貴方の話を聞いて......、少し感心していたのに」

P「」

周子「のあさんのあさん。それくらいでもーええやんかいさ」

のあ「......」

周子「PさんPさん」チョンチョン

P「こ、コロシテ......」プルプル

P「こ......コツコツと積み上げてきた俺の誠実なイメージががが......ッ」

周子「......まぁ、アイドルに手を出したワケではないし、ある種はポリシーを貫いていることに間違いはないんだけどさ」

P「!!!」

P「で、ですよね!?」

周子「Pさん?」

周子「こーつと、なぁ、うぅん......」

P「?」


周子「いやぁPさん、格好いいヘビ柄のスーツですねぇ♪」ニコッ

P「」ピシィッ!

のあ「......確かに。派手ね」

P「ソ、ソウデスカ......?」プルプル


495:☆3/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:25:27.34 ID:AfiwAf2S0


周子「こんな派手な恰好してるトコ、事務所で見たことないよ!」

周子「事務所どころか、任侠映画の俳優ですらも見たことないかも」

周子「いーや、スーツだけじゃないね? 財布も、靴も......!」ペタペタ

P「ア、アァ......」プルプル

のあ「(......)」

周子「それに、カッコイイ髪型やねぇ♪ 普段はいつもは落ち着いるのに、今日はビンッビン逆立ってる♪」

周子「木村夏樹ちゃんといい勝負が出来そうだね」

周子「くんくん......、ウン、香水も付けてるし」

P「ヒ、ヒィ......ッ」

周子「はーっ! 時計もネックレスも、ッ......」

周子「.........ハ? えっ、ロレックス?」

のあ「?」

P「ソノ......、か、借り物ッ......」プルプル

周子「......」

周子「こないなナリしてはるPはん、事務所のみんなが知ったら、そらえらいびっくりするやろうね?」

P「し、周子......お前......ッ!!」

P「の、望みは何だ!!」

周子「いやいや、そないきーつこて貰わんかて、だいじおへんて」

周子「Pさんや? 前にした、事務所での約束覚えてる?」

P「や、約束?」

周子「ほら、忙しいPさんの代わりにあたしが、ゲームギアをのあさんに返すってやつ」

P「............あっ」

のあ「(......?)」


496:☆4/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:26:56.27 ID:AfiwAf2S0


周子「へへへ♪ 奢ってもらう約束ー♪」

周子「Pさん? あたし、高級金目鯛釜飯(\1,500)と御造り5種盛り(\2,100)と和栗のティラミス(\700)が食べたいなぁ♪」

周子「あとお仕事は......、地元の祇園祭にも出たいし、温泉街訪問なんてのもまったりしてて素敵だね♪」

P「ぐくっ......、クソッ!」

P「人の足元を見て一著前に脅しを使うとは、いい度胸だなぁ......」

周子「ほほう?」ニヤリ

P「ス、スミマセンでした......ッ!」

P「なんでも言うこと聞きますので......、どうか、事務所の皆には今日の俺の行動は内密に」ペコリ

周子「まーまー。この後の合コンはあたしとのあさんで、バッチリPさんに惚れ込んであげるから」

P「嬉しいような悲しいような......」

周子「のあさん! 折角だし、のあさんも何か好きな物頼んじゃおうよ♪」

のあ「......そうね」

のあ「メニューにあった、上カルビ丼(\700)をお願いしようかしら」

P「!!」

P「そ、その程度でよければ幾らでも!! 流石は高峯さん、貴女は周子とは違い慈悲深く、まさに捨てる神あれば拾う神ありだ!!」

のあ「......あと」

P「?」

のあ「(............)」


━━━━━━━━━━
【岡崎家】


楓「泰葉ちゃん、醤油取って下さい♪」

泰葉「ッ......、ハ、はいっ......」スッ

楓「えっ?」

楓「これ......ソース? 刺身にソース? 泰葉ちゃん、聞いてます?」

泰葉「ウ、ウウウっ......!」プルプル

時子「......」モグモグ

泰葉「と、とと時子さんっ!! 高峯さん、やっぱり帰ってきませんよぉっ!!!」ガタッ!

泰葉「じ、自覚を持ってくれって言ったのにぃ......、周子さんまで一体何を......、あ、あぁっ......!」

楓「刺身にソース......、そんな奇抜な取り合わせ、いやでも逆転の発想.........もしかすると......」カチッ

泰葉「こ、これ無許可動画配信とか火事とかより遥かにまずいですよ!! す、スキャンダルにでもなったら......、あ、あああ〜〜〜っ......!!」ブンブン!

───ゲホッ!
ゴホッ、ゴホッ!! ミ、水ッ...


時子「......」パクッ


497:☆5/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:27:48.31 ID:AfiwAf2S0


━━━━翌日━━━━
【事務所】


P「...」ゲッソリ

ちひろ「プロデューサーさん、昨日の合コンはどうでした?」

P「......そりゃ、もう............えぇ」

P「上々でしたよ。二人の女性から熱烈な視線が」

P「まさに両手に花の状態で、モテモテって感じで」

ちひろ「収穫ですね、良かったじゃないですか」

P「二軒目はその子達と俺だけでご飯を......。その後、三軒目なんて............グスッ」

P「おかげで、今日はもうスッカラカンで......っ」

ちひろ「え、ええぇっ......! ちょ、ちょっと詳しく教えてくださいよっ♪」

P「......イ、嫌です」ブルルッ

ちひろ「?」

P「ま、まあ合コンの話は置いておいて」

P「ちひろさん。京都祇園祭付近って、なにかお仕事とかありました?」

ちひろ「祇園祭ですか?」

ちひろ「山鉾巡行のお囃子に参加するとか、近辺をリポートするとか割とありますね。京都出身の子達なら土地勘もありそうですし」

P「了解です。あとで目星を付けておきます」


498:☆6/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:29:14.93 ID:AfiwAf2S0


P「あと、そうだ......」

P「高峯さんについてですが」

ちひろ「? はい」

P「彼女がもし、ユニットを希望したら.........どうします?」

ちひろ「へぇっ! いいじゃないですか!」

P「そうですか? 個人的には、彼女はやはり他を寄せ付けない孤高でクールなイメージが強いから、馴れ合わずにソロという印象付けの方がバッチリ決まるんですが」

ちひろ「いえいえ、ギャップや親近感という観点でファンの心を鷲づかみにするポテンシャルはあるかもしれませんよ?」

ちひろ「意外性の発掘にもつながりますし、方向性が固まる前に試してみるのもアリなのでは?」

P「では例えば、どの子と組ませます?」

ちひろ「うーん......」

ちひろ「では女王繋がりで、財前時子さんとか?」

P「近寄りがたくて親近感が微塵も感じられませんよ......」

ちひろ「じゃあこれはどうですか? 前川みくちゃんと組ませて、猫耳姿で───」

P「芳しくないですね.........申し訳ないですが、高峯さんのイメージとかけ離れすぎるのは、あまり......」

ちひろ「でも、以前みくちゃんとアナスタシアちゃんと一緒に地方営業に行っていましたよね?」

P「それはそれ、これはこれです」

ちひろ「ん〜〜......、じゃあこんなのはどうですか?」

ちひろ「同じ年齢という事でヘレンさんと、チーム『24(トゥエンティフォー)』.........なぁんて♪」

P「............」

P「..........................................アリですね」

ちひろ「(ウソでしょ......)」

P「そうだ。もう一つ尋ねたい事がありました」

P「(............)」

P「俺が描いている方向性やイメージとしては真逆で、あまり本意では無いですが.........本人の希望であれば、無碍には出来ません」

P「ましてや、思い返せば彼女が俺に意見をするのは非常に珍しい。尊重して然るべきだ」

P「ちひろさんも仰いましたが、方向性が定まる前にひとつの経験としてやってみるのも悪くないでしょう。本人も、そして俺も勉強させていただきます」

ちひろ「えっと......、話があまり見えませんが?」


───ガチャ


のあ「......お疲れ様」

ちひろ「あっ、お疲れ様です高峯さん!」ペコリ

P「......ちひろさん」


P「メイド服のコスプレ衣装、倉庫に有りますか?」


499:☆7/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:30:09.74 ID:AfiwAf2S0


━━━2時間後━━━
【事務所 会議室】


卯月「わぁ......♪」

未央「うっわぁ! すっごい......!」

P「......」


ガチャッ!!!


美波「ぷ、プロデューサーさん!?」バッ!

奏「Pさんッ!!!」


P「!」

P「な、なんだ? 乱暴に入ってきて」

美波「凛ちゃんからラインで聞きましたよ! プロデューサーさんとちひろさんが、会議室で高峯さんにメイド服を着せて弄んでいるって!!!」

P「いや、弄んでは無いぞ? というか美波、大学は?」

奏「はぁ、はぁ......っ!」

奏「Pさん、今すぐにやめて頂戴。彼女を辱める気?」

P「奏、今日はオフじゃないっけ?」

未央「ちひろさん、あとは何かいるものありますかー??」

ちひろ『ううん、この裁縫道具だけで十分ですよ。ありがとうございます』


500:☆8/8 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:31:27.18 ID:AfiwAf2S0


奏「これは......カーテンで仕切りを作って、何をしてるの?」

P「ン? ちょっとした着せ替えショーを───」

奏「......何をしてるの?」チリッ

P「(ッ!? な、なんだこの殺気......!!)」

奏「高峯さんにそんな俗趣な服が似合うと思っているの?」

奏「彼女が纏う非日常を思わせる俗界を離れた衣服は、私達が歩むはるか未来を先行く奇跡の超越的芸術表現よ」

奏「思わず目を奪われ恍惚を呼び覚ますほどの、謎めいた凄艶さ。調律するように、彼女の意識が全体に淡く広がって.........そして気付くの。あぁ、この世界は、彼女を中心に回っているんだって......」

P「ッ!? ど、どうした奏!?」

美波「プロデューサーさん......。例えそれが高峯さんの希望であったとしても、涙を呑んでそれを止めるのが貴方の役割ではないんですか?」

美波「メイド服のように羞恥を覚える衣装を着て人前に晒せば、彼女自身が恥ずかしさのあまりどうなるか分からない程、彼女を知らないわけではないでしょう......」

美波「彼女は、本心と虚栄心の狭間で葛藤し悶える姿が堪らなく愛おしいんです。貴方にはそれがっ......わ、分からないんですか!?」

P「わ、分かりません......」

未央「まあまあ落ち着いて♪ 何言ってるか知らないけどさ、ほんとに可愛いよっ♪」

未央「あのカーテンの向こうで、いま服直してる最中だからさ? いっぺん見たら納得するって!」

卯月「ちひろさん? エプロンの丈はどうでしたか?」

ちひろ『ええ、いいですよー♪』

卯月「じゃあカーテン開けますねっ!」

卯月「それっ!」クイッ

美波&奏「(!!!!)」

P「おー......!」


卯月「どうですか? 美波さん、奏ちゃん?」

美波&奏「(..................)」


美波&奏「.........REVOLUTION」


P「(......この二人、どうしたんだ?)」

未央「(さあ?)」

のあ「(......♪♪)」

──────
────
──
【番外編A.B 終わり】


501:☆1/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:36:54.79 ID:1r/DFa8X0

──
────
──────
【番外編C】
【岡崎家】


楓&泰葉「自治会?」

のあ「......」コクン

のあ「ポストに会報が入っていたでしょう」

のあ「今週の土曜に、環境美化活動と相互の親睦活動を行うらしいわ」

のあ「......折角だし、参加してみようと思うの。二人も一緒に......」

楓&泰葉「(............)」

のあ「二人とも?」

泰葉「......楓さん、知ってました?」

楓「......いいえ」

のあ「!?」

泰葉「高峯さんは、本当に行動力は高いですね。頑張って下さい、感想とかも良ければ聞かせて下さいね」

楓「都内の自治会って、そんな献身的に活動してるんですね......へえぇ......」

のあ「な、何を言っているの?」

泰葉「私......自治会に加入してないですし」

楓「同じく、ハイ」

のあ「えっ」

泰葉「義務でない上に、住民票も移してないですし......」

楓「加入しなくても生活上の支障はないですし、ですからわざわざ会費を払う意味も無いですし......」

のあ「......」

のあ「ジ......じゃあ、その、飛び入りで参加を......っ」プルプル

楓&泰葉「すみません、仕事がありまして」

のあ「」


━━━━土曜━━━━
【路地】


会員「え〜......、今日はぁ、朝早くからお集まりいただいて、誠に、え〜、ありがとう、ございます〜......」プルプル

会員「あ〜......、班長含め、数名がぁ、え〜......、少し遅れるそうですがぁ......、えぇ」プルプル

会員「今日は、え〜......、美化活動という事で、まずはぁ、ゴミ拾いをぅぅ......」プルプル

会員「こつこつ営々ぃ、励んでぇ、参りましょう............」プルプル

のあ「............」

のあ「(2人? 自治会員、これだけ?)」

のあ「(私とこのお爺さんだけ? ここ、東京よね? 限界集落......?)」

のあ「(め、メイクしないで良かった......)」


502:☆2/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:42:47.66 ID:1r/DFa8X0


━━━10分後━━━


のあ「......」ヒョイ

会員「あ〜......」プルプル

のあ「............」ヒョイ

のあ「(......これが都会かぁ)」

のあ「(地元の自治会は、名所の見回りとか色々あったんだけどなぁ)」

のあ「(というか、このお爺さん何でゴミ拾わないの......?)」

会員「ぅ〜......、腰がぁ、ぅ〜......」トントン

のあ「(......なら仕方ないか)」ヒョイ

のあ「......」

会員「御嬢さんはぁ、ぁ〜、何歳?」プルプル

のあ「二十四歳です」

会員「はぁ〜、若いね〜、そ〜」プルプル

のあ「............」

会員「そういえばねぇ、うちの自治会にも、そのくらいの若い子がねぇ、あ〜......」プルプル

会員「もっと増えたらねぇ......」

のあ「............」

のあ「(え.........ちょっと待って?)」

のあ「(よくよく考えれば、今日ってゴミ拾いと......)」

のあ「(......そ、相互の親睦活動!?)」

のあ「(このお爺さんと!? お茶とおせんべいでも食べろっていうの!?)」

のあ「(ウソ......。タモリさん並のコミュ力があっても乗り切れる気がしないんだけど......)」

のあ「(ぁ、あぁ...)」

のあ「(なんか.........来なければ良かった......)」ガクン


「アパズドゥィチ、みなさん、おはようございます♪」


のあ「(??)」

のあ「(............ッ?)」キョロキョロ


アーニャ「ああっ! のあ、のあではないですか!?」

アーニャ「ダーヴィシトー! 貴女も参加、していたのですねっ♪」


のあ「(!?)」


505:☆3/3 ◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:55:47.56 ID:AfiwAf2S0


会員「あぁ、あ〜......」

会員「良く来ましたねぇ、おはようございます、那須田さん」プルプル

アーニャ「ドーヴラァウートラ、遅れて、もうしわけありません」ペコリ

会員「あぁ、いいんですいいんです、遅れたっていいんです、えぇ、えぇ」プルプル

アーニャ「スタリキー、この女性は、私と知り合いなんですよ?」

会員「あぁ、そうですねぇ、同じ会員同士ですからねぇ」プルプル

アーニャ「ふふっ......、のあ? これからよろしくお願いします♪」ニコニコ


のあ「」


アーニャ「?」

のあ「(ハッ!! き、気を失っていた......)」

のあ「(な、何故ここにアーニャちゃんが......何故!?)」

のあ「!!!」

のあ「(そ、そうかっ! 隣っ!! 隣ッ!?)」

のあ「(と......、とにかく近所に住んでいるんだ!! というか隣!!)」

のあ「(でなければここにいる説明が付かないもの!!)」

のあ「(ふ、フフッ......、汗かいてきた)」

のあ「(嬉しい、嬉しい......っ!! さ、参加して良かった......!!)」

のあ「(良かった、良かった......、とにかく、今日は楽しく───)」


アーニャ「ああ、そういえば......」

アーニャ「班長も、さきほど見ましたよ。そろそろ............あっ!」

会員「あぁ、班長さん、ごくろうさまです」

のあ「?」クルッ


時子「......」

のあ「ァァッ...」

──────
────
──


★おわり


506:◆AL0FHjcNlc:2017/01/08(日) 20:56:39.36 ID:AfiwAf2S0

以上です、ありがとうございました。

明けましておめでとうございます。
次回があれば今回の番外編に絡め、のあにゃん、あーにゃん、みくにゃんの3人+αでお送りする予定です。

余談:ネットで「高峯のあ」と調べたら検索候補の上か3番目くらいに「高峯のあ 牛丼」と出てくる事実を知り、ちょっと色々とまずいんじゃないかなと思いました。


507:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/01/08(日) 21:01:33.12 ID:KpL6IH54o

大丈夫、
Twitterのbotに「高峯のあは牛丼だけじゃない」みたいなこと言われるまでは平気





511:以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします:2017/01/08(日) 21:11:38.68 ID:/WY48mIRO

ホント時子様付き合いいいなw

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