杏子「銀河鉄道の夜」


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/06/23(土) 22:17:02.40 ID:811PJHcj0
杏子「頼むよ神様――こんな人生だったんだ。せめて一度くらい、幸せな夢を見させてよ......!」

魔女の結界を落下していく杏子の瞳から涙がこぼれました。
轟轟と音を立てて舞台は崩れているはずなのに、何の音もしません。
杏子はまるで涙のこぼれる音が聞こえるようでした。

そんなとき、どこからともなく汽車の音が聞こえてきました。
崩落した天井の向こうは星空で、きらきらといくつもの星星が輝いているのが見えるのです。
ああ、あすこには幸せがあるのかな。
見れば見るほど星星には小さな林や牧場やらある野原のように見えてきました。
そして杏子は周りがみんな夜空になったかのように思いました。


以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2012/06/23(土) 22:24:40.00 ID:811PJHcj0
気がついてみると、さっきから、ごとごとごと、杏子の乗っている小さな列車が走りつづけていたのでした。
ほんとうに杏子は、夜の軽便鉄道の、小さな黄いろの電燈の並んだ車室に、窓から外を見ながら座っていたのです。
車室の中は、青いビロウドを張った腰掛が、まるでがら明きで、
向うの鼠いろのワニスを塗った壁には、真鍮のおおきなボタンが二つ光っているのでした。

すぐ前の席に、夏の晴れた空のような髪をした、せいの高い少女が、窓から頭を出して外を見ているのに気がつきました。
そしてその少女の肩のあたりが、どうも見たことのあるような気がして、そう思うと、もうどうしても誰だかわかりたくて、たまらなくなりました。
いきなりこっちも窓から顔を出そうとしたとき、俄かにその少女が頭を引っ込めて、こっちを見ました。

それはさやかだったのです。

杏子が、さやか、おまえは魔女になってしまったんじゃないのかと云おうと思ったとき、さやかが
「みんなはたくさん心配してくれたけれども間に合わなかったよ。まどかもね、ずいぶん声をかけてくれたけれども遅かった」と云いました。

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