【モバマス】森久保乃々「ただののの」


引用元:

1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/12(月) 21:22:26.80 ID:Lju6G2ic0
前へ。

ほんの少しの、些細で小さな、けれど確かな一歩を踏み出して前へ。

それまで居た場所から前へと出た。

自分の意思で。望み、欲して、自分で願ったそのように。

前へ。

これまでよりも前へ。これまでよりも先へ。これまでよりも、傍へ。

踏み出した。出て、至った。

そうして至ったこの場所。この、ここの、こうして辿り着いたこの今を感じ始めてから数分。

たったの数分。机の下の聖域に居れば一瞬。レッスンに追われていればいつの間にか。眠りへ落ちる前の妄想を描いていればわずか。そんな、ほんの数分の時。

たった、ほんの、それだけ。

でも、それでもそれなのに、そんな数分が何十分にも何時間にも感じられた。

長く永い、まるで永遠のように。

感じられた。感じられて、感じられる。

永く遠く果てのない、最期の終わりの予兆さえ訪れ迫ってこないような、途方もない時。

あまりにも大きく深すぎて不安にすらなってしまいそうな――けれど、それでいて嫌ではない時間。

嫌ではなくて。どころか、祈りを込めて一途に手を伸ばしてしまいたくなるような。

SSWiki :





2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/12/12(月) 21:23:02.97 ID:Lju6G2ic0
永遠に感じられるまま、永遠になってしまってさえ構わない。

この時が永遠になるなら。それならもう、他のどんな時間が来なくてもいい。

他のどんな時間も。もしかしたら得られるのかもしれない楽しい空間も、喜びに満ちた世界も、この今とは違う他の幸せのすべても。

自分の感じられるすべてが、ただこの一時だけになってしまったって構わない。永遠にこの時が流れて、永遠にこの時で停まってしまっても、いい。

良くて、そして、叶うのならそれを願ってしまいたい。

成ってほしい。実ってほしい。叶ってほしい。

それほど。そんなふうになって、本当に心から本気でまっすぐ思えてしまうような、そんな幸せな時間。

身体が熱く火照るような、心が温かく染められていくような。

身体が激しく高鳴るような、心がときめく感情に尽くされるような。

身体が甘い痺れに震えるような、心が恍惚とした想いに塗り染め尽くされるような。

そんな時間。

そんな、幸せな時間。

溢れるほどに満ちて、零れて止まらないほど満ち満ちて。

どうしようもないほど強く深く、どうにもならないほど濃密な、これ以上なんてありえないほどの量に包み抱かれて。

心も身体も。自分という存在、そのすべてがそうしてただひたすらな幸せに塗られて。もういっそ押し潰されてしまいそうなほど、どこまでも、濡らされて。

そんな時間。

そんな幸せで幸せな、幸せの時間。



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