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リヴァイ「細い月の下」

1: ◆uSEt4QqJNo 2016/12/25(日) 23:22:30 ID:Ua6E3uk.





人里離れた場所にあるひとつの民家。
そこが隠れ家になっている。

その家に交代で見張りをし、エレンとヒストリアを匿っていた。

遠くを見ていた今日の見張り当番、ジャンが物音に気づく。
馬の蹄の音だ。一瞬身構えるがすぐに警戒を解いた。


「……ハンジさん達か」


まだ夕陽に染まったばかりで目視できた。
緊張で少しだけ速まった鼓動を落ち着かせるように息を吐く。


「ビビりすぎだろ、ジャン」



2: ◆uSEt4QqJNo 2016/12/25(日) 23:23:05 ID:Ua6E3uk.




共に警戒にあたっていたコニーから声が飛ぶ。
からかう声だがそれに安堵が滲んでいた。


「うるせぇ。緊張感持てよ」


滲んでいたものに気づいてはいたが軽口で返して自分と相手を落ち着かせる材料にする。
そうしてからハンジ達へ手を振った。


「ハンジさん」

「やぁ、元気かい? 変わりない?」


ハンジは馬を止め、馬上から笑顔で近況を聞く。


「ええ、特には何も。状況報告ですか?」

「まぁね」


馬を降りながら答えたあと「ご苦労様」とジャンとコニーの肩を叩いて中へと入っていった。
ハンジの部下が馬を繋ぎ、ハンジのあとを追うまで見届け、二人は再び見張りを続けた。



3: ◆uSEt4QqJNo 2016/12/25(日) 23:23:35 ID:Ua6E3uk.





暫くしてハンジ達は隠れ家から出てきた。
然程時間は経っていなかったため報告以外には何もなかったのだろうとジャンは思った。

外へ出たハンジが両手で身体を抱くようにして少し身震いをする。
月明かりが映える時間が迫っていることもあり、部屋から出てきたばかりでは寒さを余計に感じるのだろう。


「見張り、寒そうだね。温かくして頑張ってね」


ハンジは微笑みながらジャンとコニーへ労いの言葉をかけた。
二人は「はい、そうします」と返事をして見張りを続ける。



4: ◆uSEt4QqJNo 2016/12/25(日) 23:24:17 ID:Ua6E3uk.



それを聞いてハンジは一度笑顔で首肯するが「あっ」と声を漏らした。
それに疑問を持ってジャンが訊ねる。


「なんですか?」

「いやいや、なんでもないよ」


手と頭を振りながらはぐらかされそうになるがジャンは食い下がった。


「気になるじゃないですか。どうしたんです? 忘れ物とか?」

「うーん……そうじゃないんだ。そういえば12月だったなって思ってね」


そのハンジの言葉に呼応して今度はニファが「あっ」と声をあげた。



5: ◆uSEt4QqJNo 2016/12/25(日) 23:25:49 ID:Ua6E3uk.





ハンジ達が帰ったあとの部屋にリヴァイは窓を見ながら湯気の上がるカップのふちを指で囲うようにして持ち上げた。

その中身は紅茶ではなかった。こんな状況では手に入れるのは難しく、また我が儘を言っている場合でもない。
小さく舌打ちをしてそれに口をつける。喉に流れる液体が温かく、こんなものでも身体を温めるには役に立つなと思った。

窓が風でカタカタと揺れ、一層寒さを際立たせているように感じる。

今日の空は雲で覆われ昼でも薄暗かった。
なんだか今の調査兵団を暗示しているようでリヴァイは少し不快になった。

目線を外から中へと移すと角にほんの少々の埃を見つけた。
不快感が増し、眉間にシワを寄せるとその埃を排除するために席を立った。



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