エレン「ドリフターズ?」 豊久「大将首二ツ目」【後編】


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エレン「ドリフターズ?」 豊久「大将首二ツ目」

486: ◆B2mIQalgXs:2015/07/07(火) 21:22:03 ID:EBaORmwU

――――その男の背中の力強さを、今でも鮮明に覚えている。


その男は決して振り返らない。

人類の怨敵にして天敵たる巨人を前に、彼は一度として退くことはなかった。


ついて来いと、

本当に恐ろしいことはなんなのかを教えてくれたその背中は、まだ遠い。

十年以上の時を経ても色褪せず、変わらず己の前に立っている。


その背中に憧れた。

ああなりたいと願い、鍛え、戦って。生きた。


生きることは、苦痛と困難の連続だ。


そうして辿り着いた。


世界への第一歩に。






























487: ◆B2mIQalgXs:2015/07/07(火) 21:22:59 ID:EBaORmwU

.........
......
...

ウォールシーナ・エルミハ区――――調査兵団の支部として宛がわれた石造りの建造物の一室。

そこは見事なまでに書類仕事を行うためだけの機能美が備わった部屋だった。

殺風景な部屋だ。出入り口の扉の左右の壁は本棚。向かって正面には作業机と、背後には飾り気のない木枠をはめ込んだ窓に、灰色の遮光カーテンがぴくりともせずに頭を垂れている。

木製の机の上には花瓶のひとつもなく、その木目が分からないほどの書類がうずたかく積まれている。

床も同様だ。足の踏み場もないほどに散らかっている。持ち主の激務が容易に想像できるほどの煩雑振りである。

椅子にぐったりを背を預けて、死んだように眠っている人物がいる。三十代に差し掛かった年代の男性だ。

すぅ、と静かな呼息、はぁ、と吐息が一定のリズムを刻んで、断続的に静謐な部屋の中に響く。

その安眠と静謐を妨げるノイズが一つ。コンコン、と打ち鳴らされるノックの音だ。

最初は静かに、しかし部屋の主の反応がないことを焦るように、次第に強く激しく、音は次第に大きくなっていく。

そしてとうとうしびれを切らしたのか―――――扉は蹴破られる。

吹き飛んだ扉が盛大な音を立てて床を転がるが、部屋の主はそれでもなお眠りから覚める気配がない。

よほど疲労がたまっているのだろう。静かに胸が上下するだけで、僅かな身じろぎもない。

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