京太郎「鼓動する星 ヤタガラスのための狂詩曲」 3/4

200:◆hSU3iHKACOC4:2016/09/11(日) 00:50:12.49 ID:0u6VSuLa0

これにツインテールのオロチがこう言った。

「ヘルが女王だろう? 北欧神話のままを再現できるのなら、そのまま役を引き継げばいい」

するとヘルが黙り込んだ。そしてうつむいた。うつむいたままヘルはこういった。

「正直な話をすると、今のナグルファルは私の手に負えるような集団ではないの。

超巨大な亡霊たちのネットワークというだけでも仕切るのが難しいけど、今のナグルファルは人間だけのネットワークじゃない。

京太郎ちゃんが壊した地獄には獣と神の残骸もたくさんあったわ。

本来なら私が受け持てない領域の魂たちなんだけど、みんな一緒についてきちゃったのよね。

京太郎ちゃんを王だと思っているからよ。

確かにナグルファルは私が展開している異界よ。所有権は確かに私が持っている。でもね、かじ取りをするのは京太郎ちゃんとお父様でしょ?

このまま放り出されると非常に困るのよね。別に王様として仕切ってほしいわけじゃないの。ネットワークの安定のために玉座に座ってほしいのよ。

ただ『王になる』といってくれさえすれば良いの。そうすれば獣と神のネットワークは納得してくれる」

すると姉帯豊音とオロチが唸った。言いたいことがよくわかった。しかし簡単にうなずけなかった。

須賀京太郎の性格と、日本の混乱した戦場を合わせるとどうにもいい案が浮かばなかった。特に須賀京太郎はロキと共に修行でも始めるような勢いだった。

須賀京太郎の性格上やると決めたら間違いなくやり通す。となって、ナグルファルの話などしたところで全く意味がない。

地獄から出た以上、利用する意味がないからだ。ただ、姉帯豊音とオロチは必死になってヘルの願いを叶えようとした。

地獄の女王ヘルは二人にとって既に友人だった。また、単純に見捨てるのは心が痛んだ。そして無言が数分続いたところでいよいよ姉帯豊音がうなずいた。

姉帯豊音がうなずくのを見て、オロチも小さく肯いた。二人とも失敗を前提でうなずいていた。顔に自信が一切なかった。

そうして肯いた姉帯豊音がこういった。

「わかった。須賀君に話してみるよ。でもあまり期待しないでね」

するとヘルは喜んだ。無表情なまま、体を使って喜びを表現していた。可愛らしいドレスのスカートがふわふわしていた。

本当にうれしいらしく、姉帯豊音とオロチも見ていてうれしくなった。

ただ、可愛らしいドレスを着てものすごい勢いではしゃぐので、梅さんの目が鋭くなった。オロチを見て叱り付けた時の目と同じだった。

なかなか恐ろしかった。


続きを読む