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元スレ
舞園「霧切さん!」

2 : 以下、名... - 2016/02/14 00:54:35.97 3yd9q51J0 2/16

「一緒に帰りましょう!」

また来た、と思わされるのは何度目だろうか。
一人でいると必ず彼女が来る。頷きもしないうちに隣を陣取り、同じ歩幅で歩いてくる同級生。

霧切「...ねえ」

舞園「はいっ」

霧切「...やっぱり、何でもないわ」

私から話しかけると、彼女は決まって私の目を見ながらにっこりと笑顔を浮かべて後に続く言葉を待つ。
まるで構われてうれしがる犬のようなその姿がどうにも不憫で、私はいつも文句を言うのを躊躇ってしまう。
彼女の事は嫌いではない。けれどそれ以上でもない。なのに学園内で彼女と過ごす時間は、いつの間にか誰よりも多くなっていた。

4 : 以下、名... - 2016/02/14 01:02:59.39 3yd9q51J0 3/16

気が付けば私達は腕を組んで(というより一方的に掴まれながら)歩いていた。彼女は超高校級のアイドルなだけあって、自分のペースに引き込むのが上手いらしい。
離してと抗議の声を挙げても、彼女は話に夢中で聞いていない。寧ろそれも計算なのかもしれないが、推理したところで結果は変わらない。
わざとらしく溜息をつくと彼女はようやく私を見て、霧切さん、といつもの歌うような調子で名前を呼んだ。

霧切「...何?」

舞園「明日。バレンタインですよ」

霧切「だから?」

舞園「あげる人いないんですか?特に本命!」

霧切「義理も本命もあげる人なんていないわ」

舞園「ええ~私も?」

霧切「当然」

突き放せば突き放すほど彼女は私にすり寄って来る。現に酷い!なんて言いながら、結局私の腕を離してはくれない。

舞園「私はいますよ!本命」

聞いていない、と頭の中で返す。エスパーを謳う彼女なら聞こえていたかもしれない。
彼女は自分の話が好きだ。私も何度も舞園さやかという存在の話を聞かされた。
興味がないといえば嘘じゃない。けれど私は知らない内に、彼女の幼少期の思い出さえも知る人間になっていた。

霧切「アイドルが本命なんて周りに知れたら大騒ぎね。桑田君が泣くわよ」

舞園「桑田君はアイドルに夢持ち過ぎなだけです!私だって女の子だし、恋くらいしちゃいます」

霧切(......苗木君が恨まれないか心配だわ)

桑田君が彼女の事を好きなのも。苗木君と中学の時からの同級生なのも。皆彼女の口から聞いた情報だった。
本命チョコとやらが苗木君の手に渡るだろうというのは、私の推測に過ぎなかったけれど。

舞園「ね、霧切さんも今年は1つだけ用意しましょう」

舞園「それで、私と交換しましょう!ね、約束ですよ」

提案なのか約束なのか分からなくなる程一方的な取り決めだった。此方にメリットがない、何より面倒な話だ。
けれどつい漏らしてしまった溜息を彼女は肯定と受け取ったらしく、彼女は上機嫌に鼻歌を歌いながら私の腕を引っ張ってきた。
やっぱり彼女は自分のペースに引き込むのが上手い。私みたいなのは、すぐに飲み込んでしまうから。