ほむら「憧憬と代替」


1 : ◆FLVUV.9phY - 2015/11/15 23:16:29.16 Txdvh5tjo 1/79


夏雲が漂う空はこの上なく青くて遠い。
空を飛ぶ術を持つ私だけれど、知る空はいつだって真っ暗でこの上ないのだ。
良く知る空にはいつだって月と星が浮かんでいて、眼下には足を引くように瘴気が渦巻いている。

それが私、暁美ほむらの良く知る空だ。

厚い雲と低い曇、それから青と飛行機雲。そんなものを見上げて目を細める。
晴れ晴れとした空模様とは裏腹に私の心はいつだって暗澹。

どんなにこの世界が素晴らしく澄み切っていたとしても、ここにまどかはいない。
ただ、ただそれだけなのだ。

「今更、よね」

「何が今更なんですの?」

ほとんど無意識に零れ落ちた一言に問いかけを受け、思わずうんざりしたように頭を振る。

同性から見ても端的な、異性からすれば思わず食い入るような美少女。
名前は志筑仁美。私のクラスメイトでこの世界では美樹さやかの親友。
そして悔しいことにまどかの親友でもあったお嬢様だ。

元スレ
ほむら「憧憬と代替」

2 : ◆FLVUV.9phY - 2015/11/15 23:17:18.32 Txdvh5tjo 2/79


「何か用かしら?」

「クラスメイトが木陰のベンチで黄昏ていたら声をかけるのが普通では?」

「そんな常識はないし私とあなた程度の接点ならば、
普通は声を掛けたりしないのが常識的だと思うのだけれど」

後ろからベンチを回り込んで来て私の隣に腰を下ろす彼女を視線で追いながら、私は拒絶の言葉を並べる。

「そんな他人行儀なことを言わないでくださいまし。私とほむらさんの仲じゃありませんか」

「私はあなたと仲良くなったようなつもりはないし、
そもそも私とあなたの接点なんて美樹さやかくらいのモノだったでしょう」

腰を下ろした志筑仁美から半歩分遠ざかって座り直す。
随分とベンチの端に近づいてしまったけれど、仕方がない。

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